ライター
多葉田 愛 セールスディレクター

国内外でまちづくりを手がけるUDS株式会社にて広報と新規事業の立ち上げを経験後、株式会社TABIPPOにて観光PRを担当。現在は福岡⇄東京の二拠点生活を送りながら、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」を運営。

海外も素敵だけれど、日本の自然と文化って何物にも代え難い素晴らしさがある。身近であるからこそ、見落としがちな母国の魅力に気が付いたのは、大学生の頃でした。

高校時代の留学をきっかけに海外の文化やコミュニケーションを学ぶ中で、「自分は外に出た時に、どれだけ日本について語れるだろう?」と、改めて国内に目を向けるようになりました。

そんな時に訪れたのが、屋久島、奄美諸島です。多様な動植物が生存する深い森と透き通るような海、そして先祖代々受け継がれる特有の文化。心身ともに浄化されるような忘れられない夏を過ごしました。

時が流れて、社会人になった後も、私は定期的に南の島々を訪れます。縁もゆかりもなくても、そこに残る原風景は故郷のように感じるから。


前回の世界自然遺産を巡る旅とは異なる出会いや気付きを求めて、今回は、樹齢数千年の杉を含む豊かな森と独自の生態系を有する神秘の島・屋久島へ。

そして、近年世界自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」のうち、奄美大島、西表島(いりおもてじま)にも足を運んでみることに。

悠久の時が流れる屋久島

鹿児島市から南方へ約135km向かった場所に位置する屋久島は、白神山地とならび日本で最初に登録された世界遺産です。

樹齢数千年の屋久杉や、海岸部から山頂付近にかけて気温の変化とともに植生が移り変わる垂直分布など、希少で美しい自然を有していることが評価されています。

屋久島を訪れる多くの旅人の目的地である「縄文杉」をはじめ、島内をさまざま散策しました。

森のパワーを肌で感じる、縄文杉トレッキング

屋久島に自生する最大級の屋久杉「縄文杉」を見るためには、往復約22km・約10時間のトレッキングが必要なため、朝4時前に宿を出発。リュックには、十分な量の水とお弁当、雨具やトレッキングポールなどの装備を入れ、登山靴を履いて、準備万端で向かいました。

今回の担当ガイドである屋久島生まれの小倉さんは、この道20年のベテランで、過去4000回以上(!)も縄文杉トレッキングを経験されてきたそう。登山道には、吊り橋や急な傾斜など危険な箇所もあるため、安全に配慮しながら歩いていきます。



大正時代に作られたという約8kmのトロッコ道を抜けて、山道へ。

「ひと月に35日雨が降る」と例えられるほど、降水確率が高い屋久島。この日も雨模様でしたが、時折雲間から陽が差し込むと、森の緑が鮮やかに輝いてとても幻想的でした。


道中には、登山者を楽しませてくれるユニークな形をした切り株も。


イギリスの植物学者であるアーネスト・ヘンリー・ウィルソンによって発見された「ウィルソン株」。見上げるとハートの形に見える。

まるで口を大きく開けたイノシシのように見える切り株
そして、片道5時間のトレッキングを経て、ようやく目的の縄文杉に到着。推定樹齢2,000年以上と言われる巨木は、圧倒的な存在感を放ち、森を見守る主のように静かに佇んでいました。


自然と対話をしながら歩みを進めた先で出会うことのできる縄文杉から、屋久島の力強い生命の息吹を感じました。

■詳細情報
・名称:Yamakara(屋久島・縄文杉日帰りトレッキングツアー)
・住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2364-35
・地図:
・営業時間:10:00~18:00
・開催期間:通年(詳細は公式サイトをご確認ください)
・メール:yamakara@field-mt.com
・公式サイトURL:https://www.yamakara.com/course/765/detail

波音を聴きながら屋久島温泉に浸かる


トレッキングの疲れを癒すべく向かった先は、屋久島温泉の「samana hotel Yakushima」。気がつけば陽が傾く時間になり、オーシャンビューのお風呂からは夕日を眺めることができました。


明るい時間には鮮やかに輝く海を堪能することができます(photo by samana hotel Yakushima)
泉源から引かれるとろみのあるお湯が優しく身体を包み込み、じわじわと疲労が回復していくのを感じます。山歩きの後にぜひ立ち寄ってみてください。

■詳細情報
・名称:samana hotel Yakushima
・住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間136-2
・地図:
・営業時間:日帰り入浴15:00~19:00(受付は18:00まで
・開催期間:年中無休
・電話番号:0997-47-2011
・公式サイトURL:https://samanahotel.jp/onsen/

風土を活かした酒造りに魂を注ぐ、屋久島伝承蔵


翌日は、屋久島の豊かな自然の恵みを活かし、伝統的な製法で酒造りを行う「屋久島伝承蔵」へ。

酒造見学では、手造り甕壺(かめつぼ)仕込みの本格焼酎にこだわり、昔ながらの麹室(こうじむろ)で人の手によって麹が造られ、地中に埋めた甕壺の発酵・蒸留などを見学することができます。

売店試飲コーナーでは、定番の本格焼酎「屋久杉」をはじめ、一滴の水も加えない原酒や、屋久島地杉樽で熟成された香り高い芋焼酎などのテイスティング体験もできます。屋久島の軟らかな水とさつま芋が醸すまろやかで芳醇な味わいの中に、どこかボタニカルで爽やかな自然の風味が感じられました。


また敷地内には、長野県宮田村と鹿児島県南さつま市にある蒸溜所で製造されたウイスキー原酒の一部を熟成させるための「マルス屋久島エージングセラー」を併設。屋久島の変化に富んだ気候風土と潮風により、より深みのある味わいに仕上がるのだそう。


「屋久島らしさ」をふんだんに取り入れた屋久島伝承蔵で、味覚からも屋久島の自然を感じることができました。

■詳細情報
・名称:屋久島伝承蔵
・住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384
・地図:
・営業時間:9:00〜17:00
・開催期間:通年(※12/29~1/3を除く。臨時休業有り)
・電話番号:0997-46-2511
・公式サイトURL:https://www.hombo.co.jp/visiting/yakushima/


その他、自然の造形美に感動する「猿川のガジュマル」、モッチョム岳の裾野に流れる「千尋(せんぴろ)の滝」、山岳信仰の場である「牛床詣所(うしどこもいしょ)」など、屋久島が織りなす自然と文化を感じる場所にも訪れました。

ライター
多葉田 愛 セールスディレクター

国内外でまちづくりを手がけるUDS株式会社にて広報と新規事業の立ち上げを経験後、株式会社TABIPPOにて観光PRを担当。現在は福岡⇄東京の二拠点生活を送りながら、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」を運営。

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