ユーゴスラビアには旧ユーゴと新ユーゴがある
ユーゴスラビアでややこしいのは、旧ユーゴの他に新ユーゴがあることです。新ユーゴ(ユーゴスラビア連邦共和国)は1992年~2003年まであり、2共和国2自治州で成り立っていました。新ユーゴに加盟していた共和国、自治州は以下のとおりです。
セルビア(ヴォイヴォディナ自治州、コソボ自治州)
モンテネグロ
6共和国2自治州の旧ユーゴは1992年になくなり、国内は民族対立による紛争状態になりました。新ユーゴではコソボ自治州においてセルビア人とアルバニア人の対立が激化し、紛争になったのです。新ユーゴの指導者であったセルビア人のミロシェビッチは紛争の責任を負わされ、国連旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷により起訴されました。
2003年、新ユーゴは「セルビア・モンテネグロ」となり、2006年にセルビアとモンテネグロが分離独立。2008年にコソボ自治州がセルビアの反対を振り切り、「コソボ共和国」を建国しました。
いまもなお支持されている旧ユーゴ
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今でもバルカン半島を旅すると、中高年の方や高齢者の方は旧ユーゴが好きなようです。「旧ユーゴの時代は本当によかった」、「チトーは偉大な指導者」と聞く一方、「新ユーゴ」の話になると顔が険しくなり、次々にミロシェビッチを批判するセリフをよく聞きました。やはり「新ユーゴ」には紛争のイメージがあるのでしょう。
バルカン半島、特に旧ユーゴが治めていた地域は日本にはない魅力にあふれています。その土地の歴史を少しでも知ってから旅をすると、さらにおもしろさが増すと思います。