旅しながら働いているそこのあなた!「税金のこと、完璧に理解してます!」と自信を持って言えますか?おそらく大半の方は、「まったくわかっていない」か「なんとなくわかっている」のどちらかのはず。
というわけで、今回は、旅しながら働く前田塁が、旅と税金について、現役税理士の先生に聞いてみました!
※こちらの取材は12月に行われたものです
Twitter:@NY_ruisu
ブログ:Work Life Chaos
Q. 海外滞在中って、日本への税金は払うの?
前田
今日は、旅と税金について、いろいろ教えてください!
まず聞きたいのは、海外滞在中の税金について。今の僕は、1年のうち半分は日本、もう半分は海外という生活です。この場合、税金は日本で払うということでいいんですよね?
河野先生
前田
実は、住民票の所在は関係ないんですよ。とても簡単にいうと、日本に住所がない人を、非居住者といいます。
住所がないとは、住民票がないのではなく、日本に生活の本拠がないということです。日本と海外を行ったり来たりしている場合も、日本に生活のメインがあるかで判断します。
前田さんのように、海外を滞在する日数が多かったとしても、複数の国に滞在することが多い場合、住居、職業などの客観的事実を総合判断して、生活の本拠が日本であれば、日本の「居住者」となります。
河野先生
前田
そうなんです。「日本に183日以上いない=日本の非居住者」と誤解する人もいるようですが、日本の法律では、183日以上海外にいるか否かでは判断されません。繰り返しになりますが、日本に生活の本拠があるかどうかで、居住者、非居住者が判断されます。
この誤解が生まれたのは、おそらく諸外国の法律で、183日以上現地にいると現地の居住者になるというルールがあるためでしょう。「現地の居住者になる=裏返せば日本は非居住者?」という誤解が生まれたのではと察します。
なお、日本国外に居住することになった人が、1年以上日本の国外にいることが通常必要とする職業を有するとしたら。この場合、日本を出国した翌日から、日本に住所はないと推定され、非居住者となるという補完ルールがあります。あわせて参考にしてください。
河野先生
前田
旅人という職業が、1年以上日本の国外にいることが通常必要とする職業に該当するかは判断が難しいところですが……旅人などのリモートワーカーがこの条件に該当するには、出国時に日本の住居を引き払い、現地での業務が1年以上になる契約等がそろっていれば、出国時から非居住者となる可能性は高いと考えます。
一方、滞在期間が明らかになっていない場合はどうでしょう。予定が立ちにくい職業ということを考えると、出国段階では居住者です。そして、1年以上の滞在期間になることが明らかになった段階で本拠が国外に移ったと考え、それ以降非居住者になるのではないかと考えます。
河野先生
前田
まとめると、1年を超えて出国することがあらかじめ決まっている場合は、出国の翌日から「非居住者」。特に予定を決めず出国した場合は、出国して1年を超えることが明らかになったら、その時から「非居住者」ですね。となると、ほとんどの旅人は、海外滞在中でもいつも通り日本に税金を支払うと思っておけばよさそうです。
Q. 海外旅行中に稼いだお金って税金はどうなるの?
前田
河野先生
前田
そうです。通常、非居住者が日本の国外からサービスを提供する場合、その国外源泉所得に対して、日本では課税できないルールになっています。
したがって、その非居住者は、日本企業から受け取った収入は、原則はその居住している国での納税となるのが、源泉地国課税という国際課税の原則です。とはいえ、前田さんがおっしゃるとおり、転々とする旅人が現地で納税するのは難しく、大部分の方がされていないような気がしています(笑)。
河野先生