世界遺産の中には、様々な理由で崩壊の危機にさらされているものがあります。日本では危機遺産とも呼んでいますが、具体的には危機遺産とはどのようなものなのでしょうか。
危機遺産登録とは
例えばフィリピンのコルディリェーラの棚田群。天国へ登る階段とも言われる美しい棚田ですが、農家の後継者不足や品種改良の弊害などのたくさんの要因が重なり、景観が損なわれようとしていました。
現在は危機遺産リストから外されていますが、一度登録されると世界中から援助を受けて景観を立て直すことが出来ます。
最も長い期間登録され続けている世界危機遺産
危機遺産リストに登録されている期間が最も長いのは、宗教聖地であるエルサレムの旧市街とその城壁群です。1982年に登録されて以来、30年以上も危機遺産とされています。原因は周辺の情勢が不安定なため。
常にテロの脅威にもさらされなければなりません。現在でも入国審査が厳重に行われています。
内戦により登録された世界危機遺産
Photo by Jose Javier Martin Espartosa
2011年から続くシリア内戦により、現在シリアにある世界遺産のうちの6つもが危機遺産に登録されています。古代都市ダマスカス、ボスラ、アレッポ、バルミラ遺跡。クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン、そしてシリア北部にある古代村落群。一刻も早く内戦が終わり、これらが安全に世界遺産として維持されることを願います。
最近登録された危機遺産
最近では、密猟の横行によりタンザニアのセルース猟獣保護区の他、ボリビアのポトシ市街がセロ・リコ鉱山の管理不徹底により危機遺産に登録されました。パレスチナの地域情勢悪化により、バティルの文化的景観も危機遺産となっています。
世界危機遺産は守られていくべき世界遺産
様々な要因で崩壊の危機にさらされる世界遺産。現在登録されていないものでも、いつどんな脅威に晒されるかわかりません。リストから一つでも多くの危機遺産が外されることを祈ります。観光客の一人としてでも、世界遺産は大切にしていきたいですね。