ピースボートでの世界一周。寄港地の旅だけでなく、船の上での生活こそ醍醐味であり、様々なイベントやドラマが待ち構えている。
2016年の8月に出港した第92回ピースボートの船上では、「大海原の上で、結婚式を挙げる」という夢を叶えた夫婦がいる。TRAVELERS BOATメンバーの黒ちゃんが、その幸せな様子をレポートしています!
今年26歳、岐阜県出身のたらちゃん。彼は未使用車専門店(フロント業)で勤務後その経験を元にドリームプランナー(夢を叶える?仕事)として今年4月に起業。今回ピースボートには奥さんのみきちゃんを連れて乗船しました。
彼は僕から見ていつも明るくアクティブでみんなを引っ張ってくれるリーダー的な存在でした。
ピースボートの船内生活でも、船で経験したことをどう生かしていかを考えるイベント、ドリームプロジェクトを企画し若者の夢を応援する活動をしたり、船上運動会で赤組団長を務め、約190人をまとめ上げ優勝に導くなどリーダーシップを発揮している。
船で結婚式しないの?みんな居れば出来るでしょ!
そんな彼が今回洋上結婚式をしようと思ったきっかけは一緒に乗船した仲間達の「船で結婚式しないの?みんな居れば出来るでしょ!」の言葉から始まった、色んな奇跡が繋がりピースボート第83回クルーズで洋上結婚式を挙げた人との出会いが後押しとなる。
中々出来ない経験、これからの人生の糧になり付加価値を与えてれると思い船に乗る直前に式を挙げる事を決めたそうだ。「参加してくれるみんなが心から楽しんでもらえる洋上結婚式にしたい」乗船して結婚式に対する自分の思いを出会った人達に伝えた。1週間もたたないうちに2人の仲間が「やろうよ」と名乗りでてくれた。
それからは話しが早かった、たらちゃんとみきちゃんの社交的で明るい人間性もあったのだろう、協力してくれる2人の若者を中心に何十人もの乗船者達が力を合わせ式の準備に取り掛かる、人の為に貴重な船上生活の時間を注ぐ姿を見ていつの間にか僕もその中に加わっていた、みんなが楽しい結婚式にしたいと思っていただろう。
結婚式当日は…
当日はヤングからシニアまでエイサー、ウクレレ、ハンドベル、ダンサー総勢50名以上の音楽隊が式場を盛り上げる。いつの間にか200名以上の参列者で溢れかえり式場全体が笑顔で満たされていた。
2次会、3次会へと渡り洋上結婚式は終わりを告げた。あの結婚式を見て楽しくない人はいないだろう、幸せな気持ちにならない人はいないだろうと本気で思えた一日だった。こんなに人に愛され親しみをもたれている彼には周りの人とは異なる壮絶な過去がある。
彼が高校生の時、親が離婚、母親が髄膜炎脳炎という病気にかかり植物状態になってしまう。入院費と家のローンで多額の借金を背負ってしまい、大学生の時ピースボートに乗りたいという気持ちで貯めた150万の貯金もこの時なくなってしまう。
母親を5年間看病し、2歳、離れた妹と家計を支える生活を送った。彼は10代で一家の大黒柱にならざるおえなかったのだ。結果、鬱や胃潰瘍が原因で入院する事になってしまう。これだけの壮絶な経験は精神的にも肉体的にもかなりこたえたであろう、そんな彼が今これだけの幸せを掴むことができた理由を本人に訊いてみた!
保険代理店の担当の方が全力で借金をなくす為、努力してくれた。おかげで5年間入院した母親の医療費を工面できたこと、その人の行動を見て仕事以外の特別な感情を感じ、自分が夢を見つける事ができた。
とにかく色んな人が助けてくれた。「人がいたから乗り越えられた5年間だった」と振り返る。僕は船で最初に会った時から誰にでも分け隔てなく接する彼を見て僕はなんでみんなに同じ笑顔で同じ気持ちで接する事ができるのか聞いた、彼は「人が好きなんだろね」と答えた、その言葉に納得がいった瞬間だった。
そんな彼の今後について訊くと、こんな答えが返ってきた。
「人に出会い、心が生まれ、夢を持ち、共に叶え、幸せになる」
自分自身で創り上げた家訓である「生涯目標」と座右の銘である「人に出会い、心が生まれ、夢を持ち、共に叶え、幸せになる」という言葉を大事に終わらない夢を叶え続けていきたい。これからも人と関わり人の夢を叶え、船を降りた後は47都道府県での公演、ピースボートに水先案内人として戻ってくること最初の目標にしている。