「ベッドルーム」と聞くと、覗き込んではいけないような、踏み入れてはいけない場所のような気がします。自分のベッドルームを他人に見られるのは、なんだか少し恥ずかしいですよね。
その人の生活、趣味はもちろん、宗教や民族をも写し出すベッドルーム。ある若きフランス人は6年かけて世界を旅し、世界の「違い」を「同じアングル」であぶりだした渾身のドキュメンタリー作品を生み出しました。
初めて写真を撮った部屋/イングランド
「この写真集は、数十年後の未来に必ず価値を見出されるはずよ。」 Penny / 24歳 銀行員
とある編集者の部屋/フランス
「身の上話は人それぞれ。僕の話はあなたの想像に任せます。」 Derek / 30歳 編集者
EUの未来を信じる女性の部屋/ルーマニア
「団結した方が1人でいるより強い、と思ってここにいます。」 Andreea / 24歳 建築業
銃のコレクションがある部屋/アメリカ
「人を殺すのは銃ではなく、銃を持った人なのです。」 Ben / 22歳 大学生
伝説のレゲエミュージシャンの息子の部屋/ジャマイカ
「神に近づくためにマリファナを吸います。」 Addis / 23歳 ミュージシャン
刑務所の女性部屋/メキシコ
「悪い人に恋をして、想像もつかないことをしました。」 Ariana / 25歳 ズンバ講師
先住民族の音楽に囲まれた部屋/ボリビア
「コンキスタドールの到来で破壊された文化を守り通していく。」 Marcelo / 18歳 高校生
最後の遊牧民の部屋/カザフスタン
「小さい頃から、僕が継ぐと約束してきた。けれど。」 Eldar / 18歳 高校生
ロリータファッションの部屋/日本
「日本が服装のルールに寛容な国でよかった。」 Ryoko / 25歳 エンジニア
妹がいなくなった部屋/インド
「ある日、アメリカ人が妹を連れていきました。」 Asha / 17歳 家事手伝い
マサイ族の戦士の部屋/ケニア
「長になることは、大統領になることと同じです。」Ezekiel / 22歳 戦士
全世界で話題沸騰のドキュメンタリー写真集
世界中のベッドルームを撮影し続けたのは、フランスの写真家John Thackwray(ジョン・サックレー)。現在、写真集『My Room 天井から覗く世界のリアル 55ヵ国1200人のベッドルーム』がライツ社から発売中です。
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ジョン・サックレーの言葉(本文はじめに、あとがきより)
私は、世界でもっとも便利なパスポートを持つ、豊かな国の若い白人だ。人はしばしば、私がこの旅で学んだことを尋ねる。簡単に言えば、私は「世界が不公平な場所であること」を知った。
幸運は私たちすべてに平等に笑顔なわけではなく、いくつかは宮殿の中で成長し、いくつかは爆弾の影の中に隠れていた。私は、世界でもっとも恵まれていない人々にも、もっとも特権のある人々にも会う機会を得た。
彼らは見知らぬ私を信頼し、彼らの個人的な空間を明らかにし、時には自分の人生について私に話すために危険を冒した。そして、各々の写真の背景には、物語、インスピレーション、指紋のように個性的な特徴があった。
(中略)
「持つ者」として、罪の意識から抜け出すことは容易なことではない。ちがい、不平等、他人、これらを考慮することがどれほど難しいものであっても、この本が、それらと向き合い、「持たざる者」を視野に置く手段となることを願う。
「My Room」プロジェクトの写真や証言を通して、地球の旅に出るあなたを私は歓迎したい。言語のちがい、偏見、異なる文化、それこそこのプロジェクトの本質であり、「他者を見ること」は「あなたを振り返ること」を意味するだろう。
Bon voyage.そして、幸せな読書を。