ピースボート98回クルーズの船上プログラムの1つである「TRAVELERS BOAT」に乗船し、現在大学を休学中の西尾歩莉です。
「自分は何がしたいんだろう」「何をして生きていこう」という悩みを抱えている若者は、多いのではないでしょうか。私もそのうちの1人でした。
私は大学3年生の秋頃、周りが就職どうしようと考えて就活を始めているなか、その悩みに陥りました。自分は何がしたいんだろう。このままなんとなく就活をして、内定を頂いたところに就職して働く、それで良いのか……。
そんな時、私はピースボートに出会いました。「ピースボート」というより、ピースボートの行なっているプロジェクトである「地球大学に出会った」という言い方の方が正しいのかも知れません。
船に乗ったきっかけ
私は大学で教育と福祉を学んでいます。人のために何かしたい!社会を良くしたい!という思いがあり、福祉が学べる大学に進んだのですが、教育福祉学部という、教育と福祉は繋がっているという考えのもと両者を複合的に学ぶ中で、教育に興味が湧いてきました。
社会を変えるためには結局、教育が大事なのではないかと思うようになっていました。
そういう想いを抱いてはいたものの、実際どう働きたいか、自分には何ができるのだろうか、どの角度から働きかけたいか悩んでいました。そんな時、「地球大学」を知りました。
地球大学とは
地球一周をしながら、船内で学べる場。ちょうど、98回クルーズのテーマは「教育」ということ、体験型の学習ができるということを知り、「ここで学びたい!」と思ってピースボート98回クルーズに乗ることにしました。
やはり、興味があるのは教育。北欧の先進的な教育が知りたい!実際に行って見たい!という思いで、今回デンマークのフォルケホイスコーレに訪れるツアーに参加しました。
地球大学に興味の有る方はこちら
▶︎ http://peaceboat.org/projects/univ.html
フォルケホイスコーレとは
17.5歳以上を対象とした生涯学習の場。授業料は必要ですが、入るために受験はなく、学びたいと思えば学べる場です。全寮制をとっており、朝起きたら友達がいて、一緒に生活しながら、語り合い、深め合うことができます。
そもそもデンマークはどういう教育システムなのか
義務教育が小中学校10年間あり、その後高校が3年間あります。そし高校卒業後、デンマークにはギャップイヤーというものをとることができます!
ギャップイヤーとは高校を卒業後、進路を見つめ直す期間。自分のしたいことに時間を費やしたり、旅に出たり、フォルケホイスコーレに通ったりします。デンマークの若者はほとんど皆ギャップイヤーをとるそうです。そのあと専門学校へ行ったり、大学へ行ったりすると聞きました。
そのため、大抵ギャップイヤーの期間でフォルケホイスコーレに通うことが多いです。ただし、フォルケホイスコーレにはいつでも入ることができるので、ギャップイヤーの期間に限らず、学びに行くこと、学び直しをすることができます。
フォルケホイスコーレは、現在デンマークに69校あるそうです。今回視察させていただいたのは、そのうちの一つである「クロロップホイスコーレ」です。
校舎はこんなに自然に囲まれた場所に!まず到着して、建物内に入ると……
ブレイクタイム!美味しいパンとコーヒーをいただきました。北欧では、休憩する時間を大切にしているようです。
その後、クロロップホイスコーレの先生であるガーバさんから講義を受けました。
ここではクロッシングボーダー、ジャーナリズム、社会学、写真映像、world is burning というコースがあり、その中から選択して学べます。
クロッシングボーダーは外国人向けのコースで、授業は英語で行われます。世界中で起きている紛争について学んだり、起業するならどうするか考えたりするコースだそうです。
ただ学ぶだけではなく、旅をするなど実際に自分の目で見ること、そしてそれに対して行動を起こすことをしています。
ガーバさんの講義の後、3人の卒業生からお話をいただきました。クロッシングボーダーを受講した日本人の方とエクアドルの方、そしてworld is burning を受講したデンマークの方が自身の経験を語ってくださいました。
昼食はビュッフェ形式。
その後、校内の見学へ。
ここは最大のセミナールーム。会議やスポーツなどが行われる場だそうです。シンプルで写真や絵がありません。窓が大きく、自然が見える場となっています。
外に出ると、自然が豊か!
これは、ロストカードさんの銅像だそう。ここの土地の所有者だった人で、手に武器を持っています。これは戦争に明け暮れていたデンマークの過去を表現しているそうです。
もう少し足を進めると……
女性と男性が手を繋いでいる銅像がありました。これは、1945に建てられた銅像でこの学校の創設者の方だとか。これは、この学校を象徴しており、「人との繋がりを大切に」という意味が込められているとガーバさんはおっしゃっていました。
最後にこの銅像の前で、ツアーに行ったメンバー全員の集合写真を撮りました。
まとめ
私は今回ツアーに参加し、フォルケホイスコーレについて知ると共に、自分が受講した地球大学プログラムに繋げて考えることができました。
地球大学も受験はなく、学びたい人 誰にでも開かれています。そして、旅をして実際に自分の目で見ながら学びを深めています。船の生活なので、朝から夜まで語り合える環境です。
フォルケホイスコーレも地球大学も、通う目的は自分が何をしたいかを見つめ直したい、何かを学びたい、自分を変えたい……というようなものであると思います。そして、実際に目で見て体験し学びに繋げるという点も似ていると感じました。
フォルケホイスコーレは当初192校あったそうですが、現在は69校に減っているそうです。減っているというと悪いように思うかもしれません。でも、減少の理由は、このフォルケホイスコーレの考え方が小中学校や高校、企業に取り入れられているからだとおっしゃっていました。
このフォルケホイスコーレという場、ピースボートの地球大学という場は、自分が何をしたいか見つめ直すことができる素晴らしい場だと思います。でも、それとともに、そういう場所や機会が今の教育や社会に取り込めることができればより良いのでは……とも考えさせられました。
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