ライター
岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。

今や長距離移動に欠かせなくなった飛行機。ここ10年ほどは日本国内でもLCC(格安航空会社)が増え、手軽に使える移動手段になりましたよね。

そんな飛行機の話をするときに話題になるのが、座席の問題。窓側と通路側どちらにするか、あるいはLCCで料金がかかるから指定はしないという場合もあるかもしれません。


どれが正解かは、おそらく未来永劫決着がつかないことでしょう。ですが、筆者は完全なる「窓側派」です。今回は窓側の素晴らしさをご紹介したいと思います。ぜひ次回飛行機を利用するときの参考にしてみてください。

飛行機の座席は窓側派?通路派?

まず、窓側を推す理由ですが、至って単純。景色を楽しめるからです。

確かに長距離になればなるほど、少し立って動きたくなる時間やお手洗いに立つ回数が増え、通路側の方がストレスなく過ごせるかもしれません。

でも、よく考えてください。飛行機の窓からは東京タワーよりも、あべのハルカスよりも高い位置からの景色を眺められるんですよ!当たり前ですね(笑)。


展望台からの景色ももちろん素晴らしいでしょうが、飛行機の窓からしか見られない景色もたくさんあります。

筆者は選べるならば確実に窓側の席を選びますし、少しくらいの追加料金であれば支払ってでも窓側の席を死守します。

朝と夕方のフライトなら迷わず窓側へ

特に窓外の景色が美しい時間帯は早朝と夕方。

朝日と夕日の前後、いわゆるマジックアワーは写真を撮るには最適な時間帯と言われますが、飛行機に乗っていてもそれは同じ。思いがけないドラマチックな場面に出会えるかもしれません。


例えばこちらはイタリアのミラノ・マルペンサ空港を早朝に発った便での一枚。

イタリア北部のアルプス山脈が朝日を浴びてピンクっぽく染まっている様子が目に入ってきたときは、半分寝ている状態から一気に覚醒しました。


こちらは高松空港から成田空港に向かう途中での一枚。昼過ぎの便で、まだ太陽はかなり高い位置にありましたが、淡路島周辺の水面を照らす光と雲の織りなす景色は何とも言えない情緒に溢れていました。

「でも、夜は真っ暗でさすがに見どころはないよね」と思う方もいるかもしれません。ですが、都会の上空を飛ぶときには格別な夜景を見られるチャンスでもあります。


これは高度や雲の有無で見えるかどうかが変わってくるため、タイミングも重要ですが、何気なく窓外を見ていて夜景が現れたときはかなり感激しますよ。

窓側で景色をより楽しむ方法

時間帯も重要ですが、場所によって楽しみ方も変わりますよね。雲がほとんどない晴天のお昼のフライトでは、遠くまで景色を見渡せることもしばしば。


旅の玄人におすすめなのは、地上を見て場所を推測しながら進むという楽しみ方。難易度がかなり高いかと思いきや、地図が好きな人であれば、意外と地形や高い山をヒントにして場所がわかるものです。

特に海岸線や大きな湖などはヒントになりやすく、地図そのままの姿が見えるので、そこからだけでもわかる人にはわかるでしょう。


こちらは四国高知の室戸岬。かなり鋭角に半島が伸びているので、とてもわかりやすい場所の一つですね。


わかりやすさで言えば、富士山はお墨付きですね。遠目からでもその美しい稜線が見られると思わずカメラを向けてしまいます。

富士山が窓から見える場合は、機内での放送が入ることもあるので安心ですが、いい景色はすぐに過ぎ去ってしまうので、見逃してしまわないようにご注意ください。

空からだからこそわかる美しさもある

街や観光名所など、空からだからこそわかる美しさもあります。


スペインのバルセロナでは、中心街は美しい碁盤の目のように街が形成されている様子がわかります。

サグラダファミリアの塔やグエル公園など、街の高い所からでもその様子の一部は垣間見れますが、さすがに全体を俯瞰してみられるのは飛行機からならではでしょう。

「自然界に直線は存在しない」と主張し、曲線を多用した建築家ガウディで有名なバルセロナがこのような形で作られているのは、ちょっと矛盾を感じてしまい、興味深いですね。


また、大阪で2019年「百舌鳥・古市古墳群」として世界文化遺産に登録された地域の上空では、こんな景色も。

「前方後円墳」という誰もが小学校の社会で習ったであろうあの形を、飛行機からであれば実際に確認することができるのです。


筆者が初めて見たときは大掛かりなアートかと思ったくらいですが、実はこれはセンターピポットと言われる円形の農場。

エジプトやアメリカの中部といった、主に乾燥地域で用いられる農法の一つで、平均の半径は400メートルほど、大きいものでは1キロメートルほどにもなるそう。砂漠のような場所で唐突にコンパスで描いたような真ん丸なものが出てきたら、ぜひご注目ください。

飛行機から写真を撮るときのコツ

ここまで見ていただいたらわかるかと思いますが、筆者は窓側の座席に座った際は必ずといっていいほど写真を撮っています。

そんな中で気づいた飛行機からの撮影のコツを最後にご紹介します。


基本的に飛行機からの撮影に向いているのは広角のレンズ。窓にレンズをくっつけて、翼と一緒に撮ればそれだけで、飛行機からのきれいな景色を写真に収めることができるでしょう。

すでにご紹介した朝や夕方の時間帯はもちろんシャッターチャンスの宝庫ですし、唐突に虹が現れることもあるので、見つけたらすぐにシャッターを切りましょう。


飛行機に乗っているという臨場感を出したい場合は窓の枠の一部であったり、窓から少し離れてあえて窓枠を画面に入れるという方法があります。

正面からまっすぐ撮ると、絵画のような一枚を撮れる可能性が高いですが、タイミングによっては窓外の景色がほとんど写らないということにもなりかねないので、外の景色とのバランスをうまく見て撮りましょう。

近年では、広角レンズが付いたスマホも多くなってきているので、ぜひ一度試してみてくださいね。

フライト自体を楽しむ旅はいかがでしょうか


ここまでで、筆者が窓側の席を推す理由が少しは伝わったでしょうか。

もちろん通路側を選ぶ利点もあるので、どちらがいいということは一概には言えませんが、窓側を敬遠している人もたまにはフライト中に外をゆっくり眺めてみてはいかがでしょうか。

長距離でのフライトはお預けな最近ですが、まずは国内のフライトでお試しください。

All photos by Daiki Okamoto

ライター
岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。

RELATED

関連記事