「低い土地」という意味を国名に持つオランダは、水と闘いながら水を利用して国を築いてきました。そのため、10カ所の世界遺産も干拓にちなんだものが多くあります。
首都アムステルダムには、国立美術館、ゴッホ美術館、アンネの家、カナルハウスなど、芸術を堪能できるスポットが多く、芸術を水の街を楽しむことができます。
今回は、アムステルダムの運河地区を含む全ての世界遺産を紹介しますので、ぜひオランダ観光の参考にしてください。
キンデルダイク-エルスハウトの風車群
オランダと聞いて風車を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。最もオランダ的なこの風車は、ポルダーと呼ばれる干拓地の排水のための実用施設です。
オランダは国土の約27%が海抜0m以下なので水はけが悪く、水害に悩まされた人々が考え出した策がこれらの風車でした。夏には19基の風車がゆっくりと回っている姿を見ることができます。
ドゥローフマーケライ・デ・ベームステル(ベームステル干拓地)
チューリップと風車と言えばオランダならではの定番の風景です。ベームステル干拓地は17世紀初めに作られたオランダ最古の干拓地で、風車だけでなく田畑や運河、道路などの周りの景観を含め歴史的景観が今も残されているとして世界遺産に登録されました。農地から牧草地に転用され、どこかノスタルジックな風景を漂わせています。
Ir.D.F.ヴァウダヘマール(D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場)
1920年に設立された、フリースラント州のアイセル湖に隣するレメルにある蒸気式揚水場です。国土のほとんどが海面より低いオランダにとって水揚げポンプは必要不可欠なものでした。
蒸気ポンプはオランダで発明され、その後D.F.ヴァウダによって建設されたこのポンプ場は世界最大の設備を有しており、1998年に世界文化遺産として登録されました。
ファン・ネレ工場
1920年にスパーンセ・ポルデル工業地帯に建設され、20世紀の産業建築の象徴の一つと言われている工場です。「理想の工場」として考案された工場は、外部はスチールとガラスの使われたファサードが取り付けられており、内部は日光の入り方なども計算されています。
美しさよりも実用性に重点を置いて作られた工場は、オランダの産業に大きく貢献してきました。
ワッデン海
ドイツ、オランダ、デンマークに囲まれたワッデン海は2014年に3カ国共有世界遺産となりました。干潟や浅瀬など様々な特徴を持ち合わせる湿地帯にはアザラシが体を休め、海中ではイルカが群れをなします。
動物だけでなく、2000種類以上もの多様な昆虫類や魚類が生息しており、生き物を愛する人々に絶大な人気を誇っています。
スホクラントとその周辺
干拓地であるスホクラント周辺は牧草地が延々と広がり、美しい緑に囲まれています。氷河時代の終わりにできたスホクラントは元々小さな島で、現在島であった部分が高台となって南北に細長く伸びているのが確認できます。