ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

「アトラス山脈を見ずしてモロッコを見たとは言えない」

現地のモロッコ人におすすめの訪問先を訪ねると、全員が口を揃えて言ったこの言葉。さて、これは本当なのでしょうか?

実際、アトラス山脈に行った私の答えは”まさにその通り”!

今回は、長年私のバケットリストにあった「アトラス山脈の要塞ホテルに泊まる」をついに実現してきたときの思い出とともに、アトラス山脈の魅力をたっぷり紹介させてください。

人気観光地・マラケシュから1時間半と気軽に行けるので、ぜひモロッコを訪れる際の参考にしていただければ嬉しいです。

世界中の旅人を惹きつけるアトラス山脈とは


アフリカ北部の三国、モロッコ・アルジェリア・チュニジアにまたがる広大なアトラス山脈。手つかずの大自然の絶景を求め、世界中からトレッキングやハイキング、冬にはスキーを目的とした観光客が訪れます。


また、アトラス山脈には多数のベルベル人集落があります。そこには要塞跡をホテルにリノベーションした「要塞(Kasbah)ホテル」があり、極上の体験が可能。そのため、アウトドアに興味のない方にも声を大にしておすすめしたい場所なんです。

人気の観光地マラケシュから90分とアクセスも抜群。見どころの多さから最低でも1泊することをおすすめしますが、日程に余裕のない場合は、日帰り旅で十分楽しめるのも魅力のひとつです。


アトラス山脈に主に住む民族は、モロッコ人のルーツと言われるベルベル人。

ベルベル人の起源は約2万年前にもさかのぼります。多数の民族が暮らすモロッコでも人口の40%がベルベル人で、モロッコ人の多くが自らのルーツとして誇りにしているそうです。


カラフルでエキゾチックな「モロッカンインテリア」。コロンとしたフォルムがかわいいクッション「プフ」やラグなど、日本でも人気を集めていますよね。

じつは、これらはベルベル人の伝統工芸品。マラケシュやフェズでも買えますが、アトラス山脈では作り手の方から直接買うことができます。仲買人を通さず買うことで、利益がそのまま作り手にいき、近年重大な問題となっているベルベル人集落の貧困問題を解決する助けにもなります。


ちなみに、「ベルベル」とはローマ語に由来する名称で、言葉のわからない人々、という意味合いがあるため、近年では「ベルベル人」という代わりに「アマジグ(自由人という意味)」という言葉が少しずつ使われていると、さまざまなメディアで取り上げられています。

しかし、私がマラケシュやアトラス山脈を旅した2022年には、自ら「ベルベル人」と誇りをもって言う人ばかり。そこでこの記事では、彼らの美しい文化や人柄をより多くの方に知ってもらうため、認知度の高い「ベルベル人」の表記を取らせていただきました。

人やエリアによって感じ方が異なる表現だと思うので、使用する際には気をつけたほうがいいかもしれません。


アトラス山脈の人々には、「世界一のホスピタリティ」と言われるベルベル人のおもてなしの精神があります。とても素朴で優しいベルベル人の方々の笑顔に癒やされ、絶景に心揺さぶられ、おいしいごはんでテンションも上がる――。今回はそんな極上の体験ができる要塞ホテル「Kasbah du Toubkal」について紹介していきます。

マラケシュから90分!高度1700メートルに佇む要塞ホテルへ


アトラス山脈なんて、移動が大変そうだし登山用具を持ってなきゃ行けないのでは……?

そう思ったあなたに朗報です!私にとって長年の夢であった要塞ホテル「Kasbah du Toubkal」へ行くときは、なんとマラケシュや各都市の滞在先まで直接迎えに来てくれるんです。荷物も運んでくれて、もちろん普段着のままでOK。


予約時に送られてくる「トランスファー予約フォーム」にマラケシュで滞在中のホテル名・住所・希望の送迎日時などを入力して返信するだけ。

リアド(ホテル)の入り口まで迎えの人が来てくれ、送迎車まで荷物を運んでくれるので楽ちん(チップの支払いはお忘れずに!)。マラケシュから、4人乗りのクルマ1台で片道85ユーロでした。


マラケシュから、まずはアトラス山脈麓の村へ。そこから現地までは、簡単なトレイルを15分ほど歩くだけ。荷物はラバに乗せて運んでくれ、希望であればラバに乗ってホテルまで行くことも可能です。

小さい子ども連れにも安心、かつ楽しく行くことができました。


道中にはいくつかのお土産屋や絨毯屋があり、商品が地面や木の枝に無造作に飾られています。アトラス山脈の自然に溶け込むカラフルなラグたちの美しさに感動したのを覚えています。

「Kasbah du Toubkal」で極上の体験を


アトラス山脈の最高峰にある小さな村に佇む、要塞跡に作られたホテル「Kasbah du Toubkal(直訳するとツブカル山の要塞)」は、”ベルベル人家庭に暮らすように時間をすごす”というコンセプトの通り、ゆったりとした時間の中、あたたかなベルベル人のおもてなしを受けられるのが何よりの魅力。


世界中のサステイナブルツーリズムアワードを何度も受賞している一面もあります。

たとえば、ここで提供される水はすべて天然水。食事の席やダイニングエリアには陶器のポットが置かれ、瓶やペットボトルでの飲料の提供はありません。

また、スタッフはみなアトラス山脈に暮らすベルベル人の方々。他にもいろいろな面で、観光産業が現地の方の不利益にならないよう配慮されています。


モロッコを訪れるなら一度は試したいハマム(スチームサウナ)も貸し切りで。他の人に気兼ねすることなく、贅沢に楽しめるハマムは最高です。


敷地内には、屋上テラスをはじめ、暖炉のあるリビングルーム、図書室、散策が楽しい庭など、リラックスできるエリアが多数。日本の温泉宿のように、ゆったりと思い思いの時間を過ごすことができます。


各客室は独立して建っていて、部屋のサイズや設備も部屋によってさまざまです。ベルベルインテリアで飾られており、まるで親戚の家を訪ねたような快適さ。

私たちが泊まったファミリールームは、2階建てでくつろぎエリアもたっぷりあり、ずっと部屋にいたくなるようなデザインでした。ベルベルインテリアは、色や空間の使い方が本当に素敵です。


渓谷を眺められるサンルームとテラス席では、ぼーっとしたり、カードゲームをしたりと、のんびりとした時間を楽しめます。

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

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