編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

そういえば、最後に頭をオフにできたのはいつだっただろうか。

生まれ故郷、群馬県にある尾瀬国立公園の朝霧のなかを歩きながら、ぼんやりとそんなことを思った。

群馬 尾瀬
気づけば14年、TABIPPOという会社を立ち上げ仲間と共に「旅をもっと素敵に」というビジョンを掲げ、日本にとどまらず世界中を東奔西走してきた。いつからか夢の中でも仕事をしているようになっていた。

ずっと観光業界の動向を見てきた。この14年の間だけでも旅のあり方はずいぶん多様化したように思う。

最近新たな旅のワードとして「リトリート旅」というものがある。一般的には忙しい日常から離れて心身ともにリフレッシュさせ、自分を見つめ直す旅のことをリトリート旅という。

TABIPPOがミッションとして掲げている「あたらしい旅をつくる」の「あたらしい旅」の一つだと思うし、僕が旅をする上で大切にしている「余白」「偶発性」このあたりもリトリートをする上では大切なのではないかと思っている。

そんなリトリート旅を、僕の出身地、群馬県が「リトリートぐんま」としてブランディングをしているという。

「よかったら清水さんも群馬でリトリート旅されてみませんか?」とお誘いがあり、近すぎるがゆえなのか、今まで行けていなかった尾瀬、そして温泉を楽しめるという理由から約20年ぶりの水上(みなかみ)でリトリート旅をしてみることにした。

日常と画す、楽園のような秘境「尾瀬」

じつは尾瀬は来たことがあると思っていた。

小さい頃、家族と木道がある自然の中を歩いた記憶があった。それも毎年のように訪れていた。その場所を尾瀬だと思い込んでいた。

群馬 尾瀬尾瀬にも木道がある
「今回久しぶりに尾瀬へ行くことになったよ」と母親に伝えると、母親から意外な一言が返ってきた。

「あんた、尾瀬行ったことないでしょ」

そうなのか。僕は尾瀬に行ったことがなかったのか。尾瀬がより一層楽しみになった。子供の頃の尾瀬だと思い込んでいた記憶も朧げで、木道があったことぐらいしか覚えていなかったのだから。

尾瀬入り

尾瀬の入口へは昼前ぐらいに着いた。父からは「到着がかなり遅くないか?」と連絡が来たが、今回はリトリート旅。日帰りで訪れたのではなく、山小屋で一泊二日をする予定だったので急がなかった。

群馬県側の入口、鳩待峠から入り、山の鼻ビジターセンターを通って今日の宿「龍宮小屋」を目指す。

群馬 尾瀬「ビジターセンターってさ、その場所のことが知れて面白いんだよね」
と言いながらビジターセンターへ入っていく、しみなおさん

今回は数あるルートの中でも最も初心者向けのコースを選んでみた。鳩待峠を昼頃に出発したので、至仏山を登る時間がなかったこともあるが、尾瀬という場所をゆっくりと歩いてみたかったのだ。

峠を降りきってしまえば、山ノ鼻から先は一気に視界が開ける。尾瀬ヶ原だ。

群馬 尾瀬
冬の入山規制はあるものの、四季折々という言葉がぴったりなほどに尾瀬は季節によってその表情を一変させる。

群馬 尾瀬山の中で見つけた大きな石
僕が訪れた時期は、秋めいてきた頃で山の中はまだ青々としていたが、尾瀬ヶ原は朱、橙色へと色づき始めていた。

無意識のうちにスマホを取り出していたが、画面を見ると圏外。そういえば日常から離れてリトリート旅だったことを思い出す。

仕事などの連絡が来ていたとしても、圏外になってしまったとあればどうしようもない。事前に圏外になってしまう可能性は関係者に伝えていたので、潔く仕事のことは諦めるとしよう。

すれ違う人たちと挨拶を交わしたり、少しおしゃべりをしたりしながら、基本的には黙々と木道を進んでいく。

群馬 尾瀬尾瀬ヶ原だけでなく、鳩待峠~山ノ鼻間にも木道がある
道の途中に燧ヶ岳(ひうちがたけ)が望める休憩スポットがある。急ぐ理由は何もないので、少し休憩を挟む。

群馬 尾瀬
山では「行動食」というものが必要になる。エネルギーや栄養を手軽に補給するための食べ物であり、つまりハイカロリーなものが求められる。ここぞとばかりにお菓子や菓子パンなど、ハイカロリーなものをいわば合法的に持ってくることができるのも山での楽しみの一つ。

群馬 尾瀬 行動食ここぞとばかりにお菓子を買う。食べきれなかったら持ち帰れば良い。
群馬 尾瀬 行動食コンビニには群馬県限定の菓子パンも売っていた。
ご飯を食べてから少し昼寝をし、再開。山小屋まではあと少し。

群馬 尾瀬行きも帰りもここで昼寝をしていた、しみなおさん
「毎回ここで休んでるから愛着湧いてきたなぁ(笑)」

尾瀬ヶ原の真ん中にポツンと佇む山小屋が見えた。今回の尾瀬で宿泊する龍宮小屋である。


群馬 尾瀬 龍宮小屋
北欧の森の中にありそうな焦茶色のかわいらしい建物とは反対に、入り口の上には力強い書体で「龍宮小屋」と書かれている。

山小屋で一夜を過ごす

普段、夜ごはんや就寝時間が遅い僕からすると山小屋の時間は何から何まで早い。

群馬 尾瀬夕食まで少し時間があったので散歩を。
秋が来ていた。

夕飯は18時。21時には消灯という。翌朝の朝食の時間を聞いてみると6時だという。

なんという健康的な生活だろうか。ちなみにチェックアウトは8時までとのこと。なんとしてでも早起きをしなければ、と心に刻み込む。

夕食とお風呂を済ませ、消灯の21時が少し過ぎた頃。ふと窓から外を見てみると空に星が。

日中歩いているときは曇り空だったため今夜は星空は見えないかと諦めていたが、どうやら夜になって晴れてきたらしい。せっかくの機会だと思い、足音を潜めながら階段を下り、そっと扉を開ける。

空を見上げるとそこには満点の星空が。

群馬 尾瀬 星空奥に見える至仏山、それに向かってまっすぐに伸びる木道。
そして至仏山の真上には天の川が。

尾瀬はもちろん周囲には民家などないので、周りはほんとうに真っ暗。その分星空も東京とは比べ物にならないくらいはっきり見ることができる。

至仏山の方から霧が自分に向かって進んでくる。と思ったら、気づいたら霧に囲まれ、そして数分経つと霧が過ぎ去り、再び至仏山がその姿を表す。なんとも荘厳な景色だった。

山小屋の朝食は6時。チェックアウトは8時、全てが山タイムで動いている。

星空を見ていたので消灯時間である21時には寝れなかったが、それでも22時台には寝ることができた。おかげで普段ではありえない5時台の起床もすんなりとできた。

あたたかいご飯をいただいて、チェックアウトの準備をする。

群馬 尾瀬 龍宮小屋 お弁当お弁当の中身は開けてからのお楽しみ
7時半には山小屋を出発。昨日、事前に頼んでおいたお弁当を受け取って山小屋を発つ。その時、山小屋のご主人が良いものが見えると教えてくれた。

白い虹だった。

群馬 尾瀬 白虹
尾瀬では「白虹(はっこう)」と呼ばれ、これを見ると幸せになれるという。

白虹を見ることができる条件は「朝霧」「晴れた日の早朝」「太陽を背にした方向」この3つだそう。気象条件が合わなければ見られない白虹。なんだか良い1日になりそうな予感がする。

群馬 尾瀬
帰りも時々すれ違う人に挨拶をしつつ、朝露に光る尾瀬ヶ原に目を細めながら、黙々と木道を歩いていく。

群馬 尾瀬
群馬 尾瀬 燧ヶ岳
そういえば、最後に頭をオフにできたのはいつだっただろうか。

■詳細情報
・名称:尾瀬国立公園
・住所:〒378-0411 群馬県利根郡片品村
・地図:
・営業時間:24時間
・電話番号:0486000516
・料金:無料
・オススメの時期:4月中旬~11月上旬(冬季は道路封鎖・山小屋の閉鎖などもあるため公式サイトでご確認ください)
・公式サイトURL:https://www.env.go.jp/park/oze/
■詳細情報
・名称:龍宮小屋
・住所:〒378-0411 群馬県利根郡片品村戸倉
・地図:
・電話番号:0278587301
・オススメの時期:冬季は閉鎖
・公式サイトURL:https://ryugugoya.jp/
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