ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

「地球上、最後の楽園」
「インド洋の真珠」

などと言われている、セーシェルという国を皆さんはご存知でしょうか?

先日訪れたセーシェルの首都ヴィクトリア。治安が良く、見どころも豊富。人々は笑顔に溢れており好きだと思えた街でした。

インド洋に浮かぶ楽園、セーシェルとは?

セーシェルとはアフリカ大陸の東側、インド洋に浮かぶ、小さな島国です。

115の島で成り立ち、海が非常に綺麗でリゾート地として人気なのはもちろん、イギリス王室のウィリアム王子とキャサリン妃がハネムーンで訪れたことから、ハネムーン先としても有名になりました。

ボー・バロン・ビーチはセーシェルで最も人気のあるビーチ

日本では松田聖子さんやサザンオールスターズなどの歌のタイトルにもなっており聞いたこともある人はいるのではないでしょうか?

日本からだと直行便はなく、中東を経由して行くのが一般的となっています。

道沿いのアートも可愛らしかった

セーシェルの概要
正式名称:セーシェル共和国
面積:460平方キロメートル(ほぼ種子島と同じ大きさ)
人口:120万人(2022年)
首都:ヴィクトリア(マヘ島)
言語:英語、仏語、クレオール語
宗教:約90%がキリスト教
平均気温:26~28℃

私が訪れた4月上旬は夜でも寒暖差はなく1日を通して28℃ほど。湿度が80%ほどあり、空港に降り立った瞬間から蒸し暑さを感じるような、熱帯性気候の国なのです。

背の低い建物がいくつか並んでいるのがクレオール様式の特徴

セーシェルの小さな首都ヴィクトリアを歩く

セーシェルの人口の約75%が住んでいるヴィクトリアは首都といっても大きな建物はなく、3時間もあれば歩いて回れるような小さな街です。

静かに時を刻む、ヴィクトリアのランドマーク

まず目に入るのが街の中心にあるクロックタワー。

観光客が写真を撮る人気スポットのひとつになっている
セーシェルはイギリスの統治下の時代があったため、ロンドンにあるビッグベンを模して建てられた街のシンボル的なものとなっています。

といっても高さは5mほどで、少し小さめ。ゆっくりと時間が流れるこの地において、時を誇張させないようなサイズ感がなんだか愛らしいです。

クロックタワー(Victoria Clock Tower)

暮らしが息づく、ヴィクトリアのローカルマーケット

街の真ん中には庶民の食生活が分かる、マーケットがあります。

さまざまな魚が並び、希望すればその場でさばいてくれるサービスもある
伝統的なセーシェルの料理はたっぷり香辛料を使ったクレオール料理になるため、大量のスパイスや、セーシェルの近郊で捕れた見たことのない南国の魚や野菜など、様々な素材がマーケットに並んでいます。

地元の香辛料が豊富に取り扱われている
とくに賑わっているのが午前中で、人々の暮らしや活気を感じるにはここを訪れることをおすすめします。

セーシェル産の新鮮な果物や野菜が豊富に並んでいる

サー・セルウィン・クラーク・マーケット(Sir Selwyn Selwyn-Clarke Market)
住所:Market St, Victoria
営業時間:平日7:00~18:00、土曜7:00~13:00、日曜定休日

マヘ島で出会える!フタゴヤシとアルダブラゾウガメ

中心部から徒歩で15分のところにあるのが、この植物園。園内にはセーシェルにあるふたつの世界遺産を感じることができます。

園内は1.5hもあれば十分まわれる

まずは、世界で一番大きくて重い種子でセーシェルにしか自生していないフタゴヤシ。

「男性っぽさ」と「女性っぽさ」がペアになってるのがフタゴヤシのユニークさ
芽を出すまでに数年、成熟するまでにはなんと 25年~50年 かかるといわれており、樹高は20〜30メートルにもなります。本来であれば、マヘ島からフェリーで1時間以上かかる、プララン島かキューリーズ島に行く必要がありますが、ここでも見ることができます。

不思議な生態を間近で観察してもらいたい

世界遺産情報
正式名称:ヴァレ・ド・メ自然保護区
登録年:1983年
登録理由:原始の熱帯林がほぼ手つかずで残っており、世界最大の種子を持つフタゴヤシなどの固有種の宝庫であるため

もうひとつ必見なのが、アルダブラゾウガメ。

約1メートルほどで重さは150〜250kgにもなる
マヘ島から南西へ約1100kmのところにあるのが世界遺産のアルダブラ環礁。

世界最大級のサンゴ環礁の一つで固有種のアルダブラゾウガメ(以後ゾウガメ)が生息していますが、しかしここは一般人の上陸が不可な場所。ゾウガメを見たければ、この植物園で見ることができるのです。

ゾウガメに触れた感じはなんとも言えない肌触りだった
園内には30頭ほどのゾウガメがおり、餌やりだけでなく触れ合うことも可能。

その大きさもさることながら、ゆっくりと歩いたり餌を食べる姿を間近で見れるのはとても迫力があります。日本では絶対に出来ないこの経験がとても面白い場所です。

世界遺産情報
正式名称:アルダブラ環礁
登録年:1982年
登録理由:世界最大の隆起サンゴ礁のひとつで約15万頭のゾウガメが生息する、固有種の楽園のため

他にも中国やタイなどのアジアの植物も展示されており、庶民の憩いの公園のようになっています。

こんな場所に日本語で記載のモニュメントがあった

カフェの一角にはセーシェルと日本の親善の証を記念するモニュメントが飾られており、これは1990年に大阪の鶴見緑地で開催された“国際花と緑の博覧会”の際に、セーシェルの自然をボランティアで再現したことを記念して建立されたようです。

遠いアフリカの島国でも日本を感じられた驚きと、セーシェルとの平和や親善を呼びかけていることへの嬉しさも湧いてきました。

植物園(Victoria Botanical Gardens)
住所:Sans Soucis Rd, Victoria
営業時間:8:00~17:00

公式サイト:https://www.spga.gov.sc/parks/national-botanical-garden

ゆっくり流れる時間に、心がほどける街

年間を通して温暖な気候に包まれているこの地では、人々の気質もとても穏やかで、どこかのんびりとした空気が流れています。青い海と豊かな自然にあふれたこの場所は、たくさんの魅力が詰まっていました。

南国の植物を中心に緑で溢れている首都ヴィクトリア
長い歴史の中で、多様な民族や文化が交差してきた背景がありながらも、現代のこの場所にはそれぞれの文化がゆるやかに共存し、独自のゆったりとしたリズムで暮らしが営まれています。自然に囲まれたリゾート地としての側面もありますが、日常の喧騒から離れた、時間がゆっくりと流れるような感覚も味わうことができるのです。

インドからの移民の影響でヒンドゥー教寺院もある
セーシェルの首都・ヴィクトリア。日本ではほとんど知られていないアフリカの小さな島国にある街。

だけど、行ってみたら思いがけず心が落ち着く場所で、気づけばお気に入りの街のひとつになっていました。

セーシェル国立歴史博物館の前にあるフォトスポット

All photos by Tamami Mizunoya

ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

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