Fukui Toj
ライター

北海道出身、関西在住。読書と珈琲と文筆と旅を愛する30歳。インドとネパールが大好き。珈琲と本と旅をテーマにしたお店を立ち上げる。いまは販売に向けて鋭意準備中…。夢は旅する珈琲屋兼作家!

【2日目】神の島「雄島」と断崖絶壁「東尋坊」、そして癒しの「あわら温泉」へ

2日目は一気に北上し、福井駅へ。そこからローカル線・えちぜん鉄道に乗り換えて、あわら湯のまち駅で下車。

この日は圧巻の大自然と、温泉をめぐる旅。

神の島「雄島」に上陸

まずはバスに乗り込んで雄島へ向かう。ここは、地元の人々に昔から「神の島」と崇められている神聖な場所。

朱塗りの橋を渡って島へ入り、石段を上ると、そこは緑の生い茂る森の中。夏場でも涼しく、風の音や虫の声、打ち寄せる波の音が心地よい。

Oshima bridge
外周をたどる遊歩道を歩けば、波に削られた島の岩肌が見ることができる。また島の北東部には、方位磁石を狂わせる「磁石岩」があるので、ぜひ不思議な体験を。

Oshima rock磁石岩

Oshima Forest島内は深い森
島の中心には大湊神社が鎮座し、神聖な空気を醸し出している。森、海、岩といった自然のパワーと、人々の信仰心が作り出す神社。それらが調和した「神の島」で、静かなひと時を過ごしてみよう。

Oshima shrine 鳥居の向こうには東尋坊が見える

■詳細情報
・名称:雄島
・住所:〒913-0064 福井県坂井市三国町安島
・地図:

名勝・「東尋坊」へ

雄島を後にしたら、バスに5分ほど揺られ、東尋坊へ。

国の天然記念物にも指定されているこの断崖絶壁は、福井を代表する景勝地。世界的にも珍しい大規模な柱状節理が、さらに日本海の荒波によって削られてできた絶景を見ることができる。

Tojinbo
サスペンスドラマで刑事が犯人を追い詰めるシーンにもよく使われるというこの景観は、イメージ通り、いや、イメージ以上に圧巻の姿を見せてくれる。

Tojin winter こちらは2月の東尋坊。海が荒々しく、より迫力が増す
東尋坊の上は歩くことができ、崖の淵辺に立って海を眺めることもできる。その高さと迫力に思わず足がすくむかもしれないが、壮大な自然の力を前にすれば、きっと恐怖を忘れて見惚れてしまうはず。

※崖には柵がないので、足元には十分注意!

Tojinbo 崖から望む日本海

■詳細情報
・名称:東尋坊
・住所:〒913-0064 福井県坂井市三国町安島64-1
・地図:
・公式サイトURL:https://kanko-sakai.com/spot/k001/

「あわら温泉」でほっとひと息

あわら湯のまち駅へ戻り、街をぶらり。ここは「関西の奥座敷」と呼ばれ、数多くの名湯がある風情ある温泉街。

駅のすぐそばには無料の足湯があり、観光パンフレットも置いてあるので、足を癒しながらどの温泉にするか、じっくり悩むのもよし。

Ashiyu足湯(外観)

Ashiyu2足湯
今回紹介するのは「セントピアあわら」。

大きな窓と露天風呂で開放感を生み出す「天の湯」と、光と湯気が湯治場のような雰囲気を作る「地の湯」が、週替わりで楽しめる。

長い移動時間に加え、大自然のエネルギーを浴びて疲れた身体と心を、やさしいお湯がじっくりほぐしてくれる。

hot Springセントピアあわら

■詳細情報
・名称:セントピアあわら
・住所:〒910-4104 福井県あわら市温泉4丁目305
・地図:
・営業時間:10時00分~23時00分
・電話番号:0776784126
・公式サイトURL:https://awara-saintpia.jp/

おすすめグルメ「やきとりの名門 秋吉」

温泉から上がったら、再び福井駅へ。

駅前にはさまざまなお店が並ぶなか、僕が断然おすすめしたいのが「やきとりの名門 秋吉」だ。

Akiyoshiやきとりの名門 秋吉
海の幸が豊富な福井だが、実は焼き鳥の消費量が全国トップレベル。なかでも、卵を産んだ雌の親鳥である「じゅんけい」が大人気。

この「秋吉」は福井に焼き鳥を広めた立役者であり、噛めば噛むほど味わい深くなる、最上級の焼き鳥を揃えている。

福井を訪れる際には、ぜひ押さえておきたいお店だ。

Akiyoshi「じゅんけい」の焼き鳥は絶品

■詳細情報
・名称:やきとりの名門秋吉 福井片町店
・住所:〒910-0023 福井県福井市順化2丁目7-1
・地図:
・営業時間:17時30分~23時30分
・定休日:日曜日
・電話番号:0776213573
・公式サイトURL:https://www.akiyoshi.co.jp/

2日目の読書案内

・ジョン・クラカワー『荒野へ』
すべてを捨ててアラスカの原野へ旅立ち、遺体として発見された青年の真相を追った衝撃のノンフィクション。

美しくも厳しい自然の中で、人は何を思い、感じるのか。雄島と東尋坊の帰り道、ページをめくりながら考えてみるのもいいかもしれない。

Into the wild

【3日目】「恐竜博物館」と「白山神社」で、深い時間の流れを感じる。

最終日は、太古の歴史にふれ、時間の流れに思いを馳せる旅へ出よう。

恐竜王国・福井が誇る「恐竜博物館」

福井駅から勝山駅へ向かい、バスで「福井県立恐竜博物館」へ。

恐竜王国とも呼ばれる福井は、日本最大の恐竜化石発掘地がある県として世界的にも有名な地。そしてこの博物館は、世界三大恐竜博物館のひとつにも数えられている。それほど優れた先端研究が行われているということだ。

Dinosaur museum入口の前にどーんと建つオブジェ
館内を進んでゆくと、次々と現れる迫力満点の骨格標本や復元模型、作り込まれた映像や資料。それらを見ていけば、どんな人でも恐竜の世界に惹き込まれること間違いなし。

museum 1

Dinosaur 2
恐竜たちの展示を見ていると、不思議な気持ちになってくる。こんな生き物が何億年も昔にこの地球上に存在していたこと。それを科学技術で解明できること。

この博物館で感じられるのは、単なる恐竜のかっこよさや大きさ、科学のすごさだけではない。太古の時代と現在をつなごうとする人々の、果てしない想像力と情熱がここにはある。

dinosaur 3こちらは特別展(期間限定)の展示模型

■詳細情報
・名称:福井県立恐竜博物館
・住所:〒911-8601 福井県勝山市村岡町寺尾51-11
・地図:
・営業時間:9時00分~17時00分
・電話番号:0779880001
・公式サイトURL:https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/

「平泉寺白山神社」で悠久の時を想う

博物館を出た後は、同じ勝山市内にある「平泉寺白山神社」へ。

Hakuzan
ここは養老元年に創建された古社。杉木立の森と美しい苔が広がる神社の境内は、まるで時が止まったような静けさに包まれている。夏場にはひぐらしが鳴き、涼しい風が通り、そこに立っているだけで心が穏やかになる場所だ。

Hakuzan2境内は深い緑に覆われる

Hakuzan3
白山神社は、天正二年に一向一揆により全山が焼けてしまったのだが、近年の発掘調査で、遺構が地中に埋まっていたことが明らかになったそう。ここでもまた、歴史のロマンを追い求める人々の心にふれることができる気がする。

Hakuzan4

■詳細情報
・名称:平泉寺白山神社
・住所:〒911-0822 福井県勝山市平泉寺町平泉寺56-63
・地図:
・電話番号:0779881591
・公式サイトURL:https://heisenji.jp/

恐竜博物館と白山神社。

科学技術と信仰。

一見、相反するふたつのように思えるが、どちらも悠久の歴史と人の心が交差するものといえるのではないだろうか。そこに目を向け、深い時間の流れを感じてみよう。

おすすめグルメ「ボルガライス」&「へしこ」

最終日におすすめしたいのが、「ボルガライス」と「鯖のへしこ」。

ボルガライスは、オムライスの上にカツを乗せ、ソースをかけた福井のご当地グルメ。ボリューム満点で、旅の終盤にガッツリと食べて元気をつけてほしい。

食べるタイミングとしては、恐竜博物館内のレストランがおすすめ。

Borugaボルガライス
次に鯖のへしこだが、こちらは福井を発つ前に、ぜひ。

「へしこ」とは福井の郷土料理で、鯖などを塩漬けにし、さらに糠漬けにしたもの。もちろん、相当しょっぱい。しかし、熟成された魚のうまみと塩気は、白米と一緒に食べると最高に美味しい。

いろいろなお店でへしこを出していると思うが、おすすめは福井駅前の「くずし割烹ぼんた」。

落ち着いた店内で美味しい海鮮料理を食べられるお店。他にも海鮮料理が豊富で、福井の海の幸を堪能できる。

Heshiko鯖のへしこ

■詳細情報
・名称:くずし割烹ぼんた ハピリン1階
・住所:〒910-0006 福井県福井市中央1丁目2-1 ハピリン 1F
・地図:
・営業時間:11時00分~23時00分
・電話番号:05054623973
・公式サイトURL:https://retty.me/area/PRE18/ARE556/SUB15401/100001299496/

3日目の読書案内

・宮下奈都『羊と鋼の森』
ピアノの調律師として生きる青年の成長を綴った長編小説。作者は福井出身の宮下奈都。

大自然や歴史の深さにふれた後には、力強さと温かさを持ったこの物語に包まれながら、心穏やかな時間を。

※境内での読書は迷惑になる可能性があるので避けましょう。

Miyashita Natsu

・星野道夫『長い旅の途上で』
カムチャッカで熊に襲われて世を去った写真家・星野道夫の、最後の言葉と写真を収めたエッセイ。

生涯を通して厳しい大自然と対峙し続けた彼が書き残したのは、人生の豊かさや幸せとは何かを問う言葉。

この旅の終わり、電車に揺られながらページをめくれば、きっと何かの答えが胸に残るはず。

Hoshino

時間をかけるからこそ見えてくるもの

この旅は小浜から福井北部へと向かうという、時間のかかるプラン。また、どちらかといえば静かなスポットが多めでもある。

しかし、その長さや静けさこそが、この旅の本質だ。

Nihonkai青く澄み渡る空と日本海と、水面に映る夏の日差し
大自然に包まれ、対峙し、歴史や文化の深み・重みにふれ、本の世界で思索に耽る。

そんな時間は、都市部での生活のなかでは、なかなか得られないものではないだろうか。

忙しい日々から少し離れ、自分を見つめなおしたくなったとき。ぜひ、この2泊3日の福井旅に出掛けてみてほしい。

そして、本来の自分を取り戻し、また日常に戻っていくことができたら、何よりだ。

Fukui Katsu勝山から帰る電車の中から見た、夕暮れの田園

All photos by Satofumi Kimura

ライター

北海道出身、関西在住。読書と珈琲と文筆と旅を愛する30歳。インドとネパールが大好き。珈琲と本と旅をテーマにしたお店を立ち上げる。いまは販売に向けて鋭意準備中…。夢は旅する珈琲屋兼作家!

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