あなたは旅をする時に大切にしていることはありますか?
友だちや恋人と楽しい思い出を作りたい、ストレスを発散させたい、地産地消のグルメを堪能したい……人それぞれの旅のスタイルがあると思います。
私は旅において”気づき”というものを大切にしています。
ここで言う私の”気づき”とは、今までの自分にはない新しい考え方やその土地で得られる発見などの「あ!新鮮!」と感じることを指します。
じつは、私は海外渡航歴が少なく、台湾にしか行ったことがありません。きっと海外に行けば大きな文化の違いや環境の違いがあることはもちろん分かっていますが、私が求めているのは、人が気づくか気づかないかの小さな”気づき”なのです。
それを発見して帰ってきた時の満足感がとても好きです。この記事ではその発見を共有します!
ふらっと立ち寄ったバルのマスターの捉え方
私が九州へ一人旅に行った時のことです。
初日の夜、福岡のイタリアンバルにふらっと一人飲みに来た私は、バルのマスターに九州でおすすめの場所を聞いてみました。すると、「知覧特攻記念会館は絶対行った方が良い!」とのこと。
じつは、この旅でどうしても行きたい場所の中に「知覧特攻記念会館」を私も入れていました。それは、母の勧めがあったから。
自分よりも若い青少年たちが飛び立っていった場所、どのような気持ちだったのかを知るために。戦争を経験した世代が少なくなっている今、自分が知るべき”負の歴史”として行くことを決めていました。
「きっと暗い気持ちになって帰るのだろう。でも行くべきだ。」と使命感のような想いで自分を奮い立たせていました。
ところが、マスターは「あそこに行くと元気になれるよ。」と話すのです。不思議に思った私は、「どうしてですか?」と尋ねると、「あそこに飾られている青年たちの写真はみんな笑っている。
手紙にはネガティブなことではなく、家族や恋人のことを考え前向きな言葉が並べられているからだよ。自分の悩みなんて、ちっぽけだって思える。」と。
知覧特攻記念会館の外にある特攻勇士の銅像と寄贈された自衛隊の訓練機
私の中にその捉え方は、1ミリもありませんでした。
当時の私は、恋愛や仕事のことで悩んでいた時でした。訪れた記念会館は、青年たちの笑顔の背景を考えると胸が締め付けられるような思いでしたが、マスターの捉え方を思い出し、前向きな気持ちで旅を終えることができました。
この経験は”価値観の違い”の気づきですが、沖縄最北の離島である伊平屋島での旅では”自然の違い”の気づきもありました。
同じ沖縄でも違う!伊平屋島の植物の違い
沖縄と言えば、南国のジャングルのような植物やハイビスカスのような原色の華やかなお花を想像されるかもしれません。しかし、沖縄と鹿児島の県境近くにある伊平屋島には松の木がありました!
私は現在沖縄に住んでいますが、伊平屋島の山にはどことなく”内地”を感じさせるような自然が広がっています。沖縄と本州が入り混じっているような不思議な島でした。
手前には松の木。奥には遠浅な海と田んぼが広がっています。
自然の違いをもうひとつ。
伊平屋島だけではなく沖縄全土のことですが、お米が1年に2回取れるのです!来島した7月は、1回目のお米が刈り取られる前。実り豊かな稲穂が田んぼに並んでいました。伊平屋島の展望台からは、のどかな田園風景と透き通った海を臨める贅沢な眺めでした。
自然の違いは故意に調べない限り、なかなか知る機会がありません。自分でその場所に足を運び、目で見て感じたからこそ気づけた新たな発見でした!
最後は私が旅で一番楽しみにしている「食」の違いです。
定番と個性、食べ方への考え方の違い
大好きな馬刺しを求めて長野県伊那市(いな)へ旅をした時のことです。伊那市はジビエが美味しい自然豊かな場所です。「ローメン」と呼ばれるマトンを使用したB級グルメが有名。
そんな伊那市に馬刺しをふんだんに乗せた「桜花丼」があるとのことで行ってみました。
運ばれてきた丼には肉厚の馬刺しがたっぷり!目を輝かせながら食らいつこうとしている私に店主は、2種類のタレを渡してくれました。
1つ目は、王道のニンニク生姜醤油。2つ目は、「これはうちのおすすめだよ」と言いながら店主が差し出した青唐辛子醤油。
なぜ青唐辛子なのかを聞くと、「長野県は七味の生産工場があるほど唐辛子が特産だからです」と七味のケースを指さしながら教えてくれました。
「馬刺しはコクと甘みのあるニンニク醤油でしょ!」と思っていた私には青唐辛子醤油はとても新鮮でした。
いざ、実食!青唐辛子が少しピリ辛でニンニク醤油よりもずっとさっぱりと食べられます。馬刺しがたくさんあるこの地だからこそ、考えられたひと味違った食べ方だと感動しました。
その土地ならではの食べ方があり、その食べ方には土地の背景があると新たな発見をした瞬間でした。その時から、各地でご当地グルメを食べる際はその土地の歴史なども知りながら背景を知ることを心がけています。
ご紹介した3つのエピソードのように同じ日本でも場所や人、受け取り手の数だけ違った気づきが得られます。海外のような大きな違いは得られないかもしれない。刺激が足りないかもしれない。
それでも私はその小さな気づきを大切に味わいながら、旅を続けています。
あなたもそんな些細な気づきを発見する旅に出かけてみませんか?
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