夏の余韻を切なく感じているみかんです。
僕は旅に出るとき、必ず「旅ノート」なるものを持っていきます。旅をする中で出会ったり浮かんできた言葉たちを書き留めているのですが、このノートが人生を豊かなものにしてくれている気がしてならないのです。
今回は、そんな旅ノートの持つ豊かさの源をお届けしたいと思います。あなたのありふれた日常が、これまでとは違った形であらわれてくるかもしれません。
言葉を拾う
自由にふらふら旅をしていると、いろんな言葉が湧いてきたり、降ってきたり、あるいは自然や生き物が教えてくれたりします。自然が教えてくれた言葉たちはこちらをぜひ。
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出会う旅へ。これはタガメのあかちゃん
すくいとった言葉たちを、とりあえずノートに記録?というかメモしてみるというのが、この旅ノートの全貌です。細かいルールや決まりはありません。旅の中で自分が感じたことを、ありのままノートに表現していくことだけが、旅ノートをつくるうえで重要になります。
「なんだ、ただのメモじゃないか」と侮ることなかれ。自分だけの旅ノートをつくる過程にこそ、人生の豊かさや本質が詰まっているのです。
旅ノートのちから
世界を面白がる
身の回りのありふれた世界の中に、まだ見ぬ世界を見出すこと。
これが旅の醍醐味であると思っています。今までとは違うレンズを通して世界を見ると、思いもよらない新しい景色が見えてきます。普段つけているレンズを外して、ありのままのレンズをかけてみるだけで、この世界はもっとひろくて面白さにあふれていることに気づきます。
その、ありのままのレンズこそが旅ノートなのです。
まずは頭の中を空っぽにして、旅先の景色に浸ってみる。五感を使って手触り感を確かめてみる。周りの景色の一つひとつを、ゆったり眺めてみる。ふと浮かんできた言葉をすくってみる。すると、あらゆる世界や現象が自分に何かを気づかせようとしてくれているような感じがしてきます。

世界を再構築する
だんだんと、自分を取り囲む世界のすべてが今までとは違って見えてきます。ゆれる木の葉も、流れ落ちる雨水も、踏みしめる土も、自分に何かを気づかせるために、何かを語りかけているように感じてきます(たぶん)。
自分の中にいろいろな尺度や物差しを持っている人は、人生をすいすい面白がって生きていけるような気がします。旅ノートを書いてみることで、あなたの世界に新たな意味が生まれてくるかもしれません。
自分の中に軸をつくる
人生は選択の連続であることはまあ分かるのですが、そもそも何を軸に選択すればいいのかわからん!なんてこともあるのではないでしょうか。
迷ったとき旅ノートをぱらぱらめくってみると、思わぬヒントが見つかることがあります。いつだったか、僕がキャリアについて思い悩んでいたところ、旅ノートに書かれた言葉が光って見えたことがあります。
なるほど。過去の自分は良いこと書いてるなって思いました(自画自賛です)。キャリアとかいう難しいあれこれはいったん置いて、朗らかに遊んでみろよと言われた気がしたのです。そこで「セルフ島流ししてみよ!」と思い立ち、離島に移住しちゃったこともありました。
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自分の物差しではかること
他者の軸で生きすぎていると、自分が何に心が動いて、何に楽しさを見出す人なのかがわからなくなってしまう気がします。この旅ノートでは、まずありのままの自分を真ん中において、ゆったり世界の声に耳を傾けてみることから始まります。自分の琴線に触れたものを集めていくことが、そのまま自分の中に価値基準や軸をつくることにつながると思うのです。
この旅ノートそのものが、あなた自身の軸となるかもしれません。
自分のよりどころとなる
この旅ノートが、なんだか自分の心のよりどころとなっている気がします。
自分を見失いそうなとき、ノートをひろげるだけでいつでも自分の世界観に戻ることができます。そして自分が戻れる場所があるということが、人生にとって大事な意味を持つと思っています。
「自立しなさい」とか「地に足つけて生きなさい」とか言われたりしますが、自分を支えるものが2本の足しかないのって危険だと思うのです。もし足が折れちゃったら、もう倒れるしかなくなっちゃいますよね。倒れそうなとき、集めた言葉が支えになります。旅ノートが起き上がる杖となります。
自立して地に足つけて生きるとは、よりかかれるものを自分の中にたくさん持っておくことだと思うのです。

支えをつくること
目まぐるしい毎日を生きているときほど捉われていて、ひとつの尺度しか見えなくなることがあります。
しかし旅はどこまでも自由で、どこまでもひらかれています。自分の感性に目を向けてみるだけで、この世界にはたくさんの尺度があることに気づきます。旅ノートをつけてみることをきっかけに、自分のよりどころを増やしてみてはいかがでしょうか。
おわりに
旅がどこまでも自由あるように、旅ノートも自由です。思いついた言葉を書き留めたり、絵を描いたり、日記をつけたりと自由に旅ノートに浸っています。
自由とは、自らであることを由(よし)とすることです。まずは、自分の世界をよしとするところから始めてみませんか。
自由で自分だけの旅の世界へようこそ。

世界は言葉でできている
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