ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

新しい場所に行くことが好きだ。

旅先を決めるときは、だいたい「まだ行ったことがない場所」を選ぶ。

そんな私が、2年のあいだに3回も足を運んだ場所がある。

長野県・下諏訪町(しもすわまち)だ。

なぜこんなにも下諏訪という場所に惹きつけられるのだろうか。

初めて訪れたのは2021年12月のこと。山好きな友人が「きっと好きになる街だよ」と連れてきてくれた。

2回目は2022年3月。初めての訪問からわずか3ヶ月後、最初に連れてきてくれた友人と一緒に、もう1人の友人を誘って訪れた。

3回目は2022年12月。当時ルームシェアをしていた友人への誕生日に、下諏訪エリアを一緒に旅する1泊2日をプレゼントした。

それ以来、生活の拠点を海外に移したため、しばらく訪れられていない。けれど、次に日本に帰ったら、また大切な人を連れて行きたい。「ここが私の好きな街なの!」とまるで自分の故郷かのように自慢したくなってしまう、不思議な魅力ある街だ。

下諏訪ってどんな街?

ゲストハウスゲストハウスマスヤのリビングの一角
下諏訪町は、長野県のほぼ中央、下諏訪郡に位置する。映画『君の名は』の舞台としても有名な「諏訪湖」のほとりにある自然豊かな街だ。

新宿駅から特急あずさ号に揺られること約2時間半ほどで到着。東京からのアクセスが抜群なのも魅力のひとつ。

近年移住者が増えており、個人で営むショップがそこかしこに点在する。少し散歩をするだけでセンスの光るお店に出会うことができ、旅人心がくすぐられる。

訪れる人々をあたたかく迎え入れてくれる空気感にも心が温まる。来るもの拒まずのカルチャーが街に根付いているからこそ、移住者も安心して来られるのだろう。

街は、徒歩で巡れるほどコンパクトな大きさ。計画を練らなくとも、気分のままにぷらぷら歩いていると大体のエリアを巡ることができる。

ゆっくりと散歩をしていると、個性が光る面白そうなお店が次々と現れる。窓の外から覗いてみて、気になったらドアを開けてみる。自分の心が赴くままにお店を巡るのが私にとって至福の時間だ。

人と人をつなぐ〜マスヤゲストハウス〜

ゲストハウスシェアキッチンの一角
下諏訪での宿泊先としてオススメなのが、マスヤゲストハウス。

明治時代から続く老舗の旅館をリノベーションして、ゲストハウスに生まれ変わったのだそう。

ここは「宿泊する」という枠を超えた、地域のハブスポットとして人々の交流を生み出す場所だ。まるで実家のようにリラックスしてしまうアットホームな空気が流れている。

旅人同士が仲良くなるだけでなく、地元の方が顔を出したり、スタッフの方も一緒にお話したり。地域に溶け込むゲストハウスは全国に数あるけれど、ここはもはや地域から必要とされる街のシンボル的存在だと感じる。

初めて下諏訪を訪れたとき、スタッフの方が手渡してくれた「下諏訪マップ」。

手書きのマップにびっしりと敷き詰められたおすすめスポットに目を奪われていると、私たちの雰囲気に合わせてスタッフさんが厳選のスポットをピックアップしてくれた。

カフェや雑貨屋さんを巡って、長野の特産品を使った料理が食べられるレストランやバーに行って、地元の温泉で朝風呂を楽しむ。ワクワクが詰まったプランが目の前に広がった。

「温泉に行くときには、玄関に置いてあるお風呂セットも持っていってくださいね、シャンプーとか入ってるので!」とスタッフさん。かゆいところに手が届く、なんとも絶妙なおもてなし。旅人の気持ちがよくわかっていらっしゃる。暮らすような感覚で過ごす時間が、旅先では嬉しいのだ。

「教えてもらったところ、絶対行きます!」とマップを握りしめて、いざ街へ繰り出す。心が動き出す瞬間だ。

■詳細情報
・名称:マスヤゲストハウス
・住所:〒393-0062 長野県諏訪郡下諏訪町平沢町314
・地図:
・アクセス:JR下諏訪駅から徒歩5分
・電話番号:026-655−4716
・料金:ドミトリー1人1泊4,500円〜
・公式サイトURL:https://masuya-gh.com/ja/

ヒュッゲな空間で癒される〜カフェとホイスコーレteltis〜

カフェ入り口正面で迎え入れてくれるショーケース
「移住してきた素敵な人たちがやっているおしゃれなカフェが徒歩5分圏内にあって最高なんですよ〜!」とマスヤゲストハウスのスタッフさんに教えてもらい、最初に訪れたのがカフェとホイスコーレ teltis。

デンマークの教育機関フォルケホイスコーレで出会った2人が、日本にもフォルケホイスコーレのような心地良い空間を作りたいという想いで始めた、カフェと手芸教室のお店。

入った瞬間ふわっとコーヒーの良い香りが漂う。

元々工場だった場所をリノベーションしたという店内の内装は、木材と漆喰をベースにした温かみのある雰囲気で、隅々までこだわりが詰まっていることを感じる。

モーニング限定のポテサラトーストや、マフィン、コーヒーを注文して席に着く。テーブルやソファがひとつひとつ違うので、どこの席にするのか選ぶ楽しみがあるのも良い。座ってからもカップやプレートの裏を見てどこから来た食器なのか想像してみたり、店主の方に聞いてみたり、好奇心が自然と外に向かって開いていく。

カフェ
手芸教室スペースでは、編み物や刺繍などの手仕事をゆったりと楽しむ人々の姿が。初心者向けのレッスンから、好きなものを自由に作りたい人向けのレッスンまで開催されているようで、ゲストを呼んでの編み物会やワークショップが開催されることも。

お客さんは下諏訪だけでなく町外や県外からも来ているようで、常連さんにも愛され心地良い会話が広がるその空間はまさに「ヒュッゲ」を体現していた。

ヒュッゲ(Hygge)とは、大切な人と一緒に過ごす、心地良い時間を意味するデンマーク語の言葉。人と比べずに、何よりも自分の心を大切にするデンマーク人の精神を表した、私も大好きな言葉だ。

数年後、私はデンマークへのワーキングホリデーを決意するのだが、その背景にはteltisで感じたこの居心地の良さや、店主のおふたりの生き方の影響が確かにあったと思う。

※現在、カフェはお休み中のため、手芸教室のみの営業となっている。最新情報は公式インスタグラムを要確認。

■詳細情報
・名称:カフェとホイスコーレ teltis
・住所:〒393-0074 長野県諏訪郡下諏訪町320−13
・地図:
・アクセス:JR下諏訪駅から徒歩9分
・営業時間:※現在カフェお休み中。手芸教室の開催日時は公式インスタグラムにて。
・電話番号:026-675-1787
・公式インスタグラム:https://www.instagram.com/teltis320/

心も体も満たされる体験を〜本田食堂〜

レストラン
「地元の食材を使った美味しいご飯を食べるならここ!」とおすすめしてもらったのは本田食堂。

神奈川県から移住してきた店主が営む、本格的な料理が楽しめるレストラン。下諏訪駅から徒歩約2分。マスヤゲストハウスまでの道すがらに現れる、洗練されたグレーの建物が目印だ。

「原村 小松農園より じゃが芋のポタージュ」「信州黒豚のロース肉」。メニュー名に地名が含まれると、一気に食材が立体的になる。

私が座ったのは、シェフの手元がよく見えるカウンター席。

食事に合わせて、8 Peaks BREWINGという八ヶ岳山麓のクラフトビールブランドが作っているYai Yai Pale Ale(ヤイヤイペールエール)というビールを注文した。

前菜、スープ、リゾット、メイン、デザート。丁寧に調理された料理たちに舌鼓を打つ。器や盛り付けなど、視覚的に感じる美しさも相まって、心も満たされる。

どの料理も、食材の特性を引き出すように絶妙な味付けが施されていてとても美味しい。最後の一口を食べ切るのがもったいないくらいだ。

町内外からのファンが多く人気のお店なので予約をお忘れなく。

■詳細情報
・名称:本田食堂
・住所:〒393-0056 長野県諏訪郡下諏訪町広瀬町5382
・地図:
・アクセス:JR下諏訪駅から徒歩2分
・定休日:日、月
・電話番号:080-8729-6671
・公式インスタグラム:https://www.instagram.com/hondashokudo0808/

何度でも「ただいま」と言いたくなる街

カフェ
帰りも特急あずさ号に揺られること約2時間半。
最終列車は、下諏訪駅を17:42に発車し新宿駅に20:09到着なので、翌朝早くから仕事の日でも安心。

思い立って切符を買えば、翌朝には下諏訪にいる。この軽やかさが、下諏訪との距離をぐっと縮めてくれる。

下諏訪に行けていない期間こそ長くなってしまったものの、私の部屋には下諏訪での思い出がたくさん詰まっている。古民家で使われていたガラスから作られた電球ランプ、朝食にヨーグルトを食べるための食器、アクセサリー置きとして使っている平皿。

それらを見るたびに、下諏訪で出会った時の思い出が蘇ってきて、ほっこりと心が満たされる。好きな街のことを思い出す瞬間、言葉にできない幸せを感じる。

それこそが、私が下諏訪に何度も足を運んでしまう理由なのだろう。
素敵な街には、素敵な人がいて、その人たちが、また誰かを呼ぶ。

自分のやりたいお店をつくり、誰かにとっての「また帰りたくなる理由」になる。
それも、人生の選択肢のひとつとして、とても素敵だ。

私にとって下諏訪は、そんな生き方を、背中でそっと教えてくれる街なのだ。

Thumbnail by Mariko Sakata
Photos by Yurie Shiba

ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

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