涼風が吹き出す9月は、長くなった夜を楽しんだり、秋の実りを神に祈ったり、昔から様々な行事が行われてきました。
行楽の秋を迎えて、ぜひ訪ねてみたい行事をご紹介しましょう。
越中おわら風の盆
富山県八尾で行われる風の盆は盆踊りなのですが、いわゆるお盆の期間にあるわけではありません。9月1日から3日まで行われます。古来この頃が二百十日にあたっていたことから、強い風が吹いて農作に害がありませんようにという風鎮めの祈りの踊りです。
三味線、胡弓、太鼓の音に合わせて歌われる哀調を帯びた「おわら」にのせて踊られるのは、しっとりと優雅な女踊りときっぱりと気品高い男踊り。昔ながらの風情をのこした街にはぼんぼりが灯され、そこに浮かび上がるように町流しの踊りの列がやってくるのは幻想的です。
沖縄全島エイサー祭り
沖縄全島のエイサーが一堂に会するエイサーまつりは、旧盆明けの最初の週末にコザ市で行われます。念仏踊りが変化したものと言われている沖縄のエイサーは、大太鼓、締太鼓、イキガモーイ(男手踊り)、イナグモーイ(女手踊り)が隊列をくんで、旗頭を先頭に地域の中を練り歩きます。
大太鼓の重々しい響きに合わせた一糸乱れぬ隊列の動きは圧巻です。また、道案内をしたり、隊列を整えたりするベテランのサナジャーの奇抜なメイクには驚かされます。
日本一の芋煮会フェスティバル
思い思いの仲間が集まって河原で芋煮をするのは山形の秋の風物詩ですが、それを巨大な鍋で作ってお祭りにしてしまいました。重機を使って調理される芋煮は3万人分だそうで、1杯あたり300円の整理券と引き換えに食べられます。
いっぺんにたくさん煮るから美味しいと言われる芋煮ですから、日本一のスケールで煮られるこの芋煮は日本一美味しいに違いありません。2015年は9月20日に行われます。
采女祭(うねめまつり)
中秋の名月を見る観月会は各地で行われますが、奈良の猿沢池で旧暦8月15日に行われるのが采女祭です。宮廷に仕えた采女が天皇に顧みられなくなったのを悲しんで猿沢池に身を投げたのを憐れんで、中秋の名月の夜に池に管弦の船を浮かべて慰めるお祭りです。
身を投げた采女を祀る祠が池のそばに建てられましたが、池を見るのが悲しいとかで一晩のうちに祠が後ろ向きになってしまったそうで、今も正面の門に対して後ろ向きのままです。