世界の国々の中で、アメリカ・イギリスはもちろん、Commonwealth of Nationsと呼ばれる『英連邦』に属する、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド他、(これらも英連邦のメンバー国ですが)インド・シンガポール・ガーナ、また英連邦に属していないアイルランドなど、現地語と同様に公用語として話されている国々は、54カ国にものぼります。
英語圏のなかでも、それぞれの国や地域ごとに、色々な種類のアクセントの英語が使われていますが、これらは、おおまかにイギリス英語系統とアメリカ英語系統(米語)に分類され、旧植民地等の関係から、世界全体で見ると、イギリス英語系統(英語)のほうが使用人口が多いと言えます。
お互いに分からないほどの差異はなく、今日、互いに文化やビジネスの場面で両者の特徴は影響しあっていますが、やはり、単語・発音・スペリング・文法などの違いで、いくつか異なる点があります。
日本の教育の中で触れる英語は、戦前はイギリス英語が主流でしたが、現在はアメリカ英語が殆どです。具体的に、アメリカ英語とイギリス英語には、どのような違いがあるのでしょうか?
どちらもそれぞれの方言は数えきれないほどありますが、今回は、辞書などの発音記号における、標準的なアメリカ英語・イギリス英語の特徴的な発音に的をしぼって、比較してみましょう。
“r”の発音の違い
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最も際立った違いの一つとして挙げられるのが、”r”の音だと思います。アメリカ英語の’r’は、いわゆる「巻き舌のR」の音で、日本人にとっては、発音するのが難しい音の一つだと言われています。
これに対し、イギリス英語の”r”は、舌を巻かずに口を縦に開けて「アー」と発音します。
“r”の音を含む、er / -ir・ur / -ar / or /などで終わる単語では、母音によって少しずつ音が異なりますが、いずれもイギリス英語では、巻きません。
これは、‘r’音が単語の途中にあっても、語尾にあっても同じです。’poor’や’sure’などは,、アメリカ英語とイギリス英語ではまったく別の音に聞こえます。
“t”の発音の違い
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もう一つの顕著な違いの一つに、”t”の発音があります。アメリカ英語での”t”は、語の途中にあっても、”r”音のように発音され、語尾でははっきり聞こえないことも多いものです。
イギリスでは、しっかり発音します。例えば、waterは、アメリカ英語では「ワラ」のように聞こえ、イギリス英語では、そのまま「ウォーター」と発音します。