ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

こんにちは!トラベルライターの土庄です。北海道の大雪山や日本の屋根・北アルプスといった日本屈指の山々から始まる山岳紅葉ですが、10月に入ると日本各地の高山が一気に色づきます。

訪れる山にもよりますが、山の紅葉の最盛期は2〜3週間ほど。そのわずかな期間に、多くの登山愛好家が感動的な紅葉を求めて山を訪れます。

今回は長野と新潟の県境に位置している「雨飾山(あまかざりやま、標高1,963m)」をご紹介します!圧倒的な原生林の紅葉に加え、雲海の切れ間には北アルプスの絶景が待っていました。

四季の移ろいを旅する。紅葉の樹林帯歩き

妙高戸隠連山国立公園にある雨飾山は、有名な登山愛好家・深田久弥著「日本百名山」のひとつに数えられている双耳峰(二つ山頂がある山)の美しい名山です。

同じく日本百名山の火打山(ひうちやま、標高2,462m)、妙高山(みょうこうさん、標高2,454m)とともに頸城(くびき)山塊という山域を形成しています。

南北に登山口がありますが、メジャーなのは南部の雨飾高原キャンプ場。ここから山頂まで往復約7.5km、約6時間半、累積標高差1,100m弱のコースタイムとなっています。

前半はひたすらに樹林の中を登る道。分岐も迷う箇所もありません。日の出を迎えたばかりの時間は、まだ夜の延長のような静けさ。早朝に出発すれば混雑せず、自然に向き合う時間を楽しむことができますよ。

筆者が訪れた10月中旬には、ブナの原生林はまだ色づき始め。淡く色づく木々に癒やされながら登っていくと、次第に紅葉が色濃くなり、鮮やかさを増していきます。

わずかに標高が変わるだけで、紅葉の進み具合も異なります。麓では夏の余韻に浸り、登っている途中は秋の色を眺め、山頂近くは冬の気配を感じられるなど、まさに秋の登山は四季の移ろいを旅しているよう。

そして訪れるタイミングが数日ずれるだけで、道中では全く違う景色が見られるのです。一期一会の山の表情に出会えることも、紅葉登山の醍醐味だと再確認しました。

巨岩と紅葉のハーモニーを眺める。絶景の荒菅沢

登山開始から約1時間ほどで荒菅沢(あらすげさわ)へ。道中はずっと広葉樹林に囲まれる山深い道だけに、突如景色が開けると思わず感動の声をあげてしまいます。

目の前には雨飾山の主稜線。布団菱と呼ばれる大岩を育む、荒々しい山容がたたずみます。そして周囲には、まるで絵画のように鮮やかな紅葉が展開!紅葉の名山・雨飾山を象徴する区間へ入ります。

そこには山の斜面を覆い尽くす紅葉のカーテンが。見渡す限り、山がオレンジ色に染まっています。これぞ「全山紅葉(山が全て紅葉すること)」と呼ばれる絶景です。

麓から山頂に至るまで気温の寒暖差が少ないと、紅葉が落葉せずにキープされ、このような感動的な山岳風景を眺めることができます。

荒菅沢は雨飾山の中でも唯一と言ってもよい水場。そしてここからは急登が続く負荷の少し高い道が続くので、多くの登山者が休憩に立ち寄ります。

少しひんやりとした秋の風で火照った身体を冷やしつつ、絶景を眺めながらいただくごはんは最高です!早朝7時過ぎながら、すでにこの充実度。まさに早起きは三文の徳ですね。

高度感のあるアスレチックの稜線から霧の世界へ

ここからは梯子や岩場が連続し、登山道はいっそう険しくなります。紅葉のピーク時には登山者の渋滞が発生することもしばしば。すれ違う登山者と道を譲り合いながら進みましょう。

標高も1,000m後半に差し掛かってくると、森林限界(高木が生育できず森林を形成できない限界線)を迎えます。景色がダイナミックに開け、吸い込まれるような高度感とともに、山肌に広がる紅葉に見入ってしまいますね。

ところどころ現れる岩場はこのような感じ。少しスリリングですが、滑落の心配はありません。まるで天然のアスレチックで遊んでいるような道が続きます。

それにしても、山頂に近づくにつれ濃い霧が出てきました。日中の寒暖差があり、視界が安定しにくい秋。こればかりは運ですが、なんとか晴れてくれることを信じて、一心不乱に登っていきます。

8合目を越えて笹平へ到着しました。しかし残念ながら、視界不良で何も見えません。少し落胆してしまうのですが、気持ちの切り替えも山を楽しむ上では必須。

霧が出ているからこそ、幻想的な雰囲気が増しますし、山の厳しさをより味わうことができるので、これも山の表情の一つだと思って山頂を目指します。

視界は皆無。けれど確かに近づいている山頂

笹平というように、山頂の直下がテーブル状になっている雨飾山の山頂周辺。前半とは打って変わって平坦な道のりで、息を整えながらハイキングします。

視界はゼロですが、山頂までの標識が現在地を教えてくれます。雨飾山の登山道には11合目まで数えているユニークな標識がありますよ。あと少しなのは間違いありません。

束の間ではありますが、ところどころ視界が開けてくれるのが唯一の救い。霧で満たされているとわからないものの、確かに山の上にいるんだ!と感じさせてくれる絶景が広がります。

先ほどまで見上げていたはずの巨岩が、もうこれほど下に。稜線の紅葉はすでに終わっていて、晩秋の趣とともに、冬の足音を感じました。

そして登山開始から約3時間で、雨飾山へ登頂!達成感に浸りたいところですが、あいにく視界は不明瞭のまま。筆者の表情にも煮え切らなさが表れていますね(笑)。

時間はまだお昼前で余裕があるので、わずかな望みをかけ、30分ほど山頂に留まることに。すると奇跡的に視界が晴れてきました。

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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