ドイツでは、こんなインスタ映えな写真も撮影!
Photo by Anna Nikami
前田:それはそうですよね。
あんちゃ:そしたら、インドの空港のトイレでチップを取られてしまって! 初めてだったので驚いて払ってしまったのですが、「こういう仕事のつくりかたがあるんだ」と衝撃でした。
前田:現地でるってぃさんと集合できたときは感動だったのでは?
あんちゃ:本当に。なんとかオランダには着けましたが、超焦ってたんで空港以外の記憶がありません(笑)。だけど一緒に行ってくれる人がいたことは、本当にありがたいですね。
「オランダに到着したときに写真撮ったんですけど、乗り換えで疲れすぎてふたりとも顔が死んでました」とあんちゃさん。
Photo by Anna Nikami
前田:一緒に旅できる人って、親友と呼んでいいと思うんです。相手に心を許していて、ケンカしても仲直りできる確信がないとダメですから。
あんちゃ:旅は人生の縮図だと思います。人生で直面するアクシデントは旅でも起こる。それを乗り越えた仲間となら、人生を通して付き合っていけるはずですよね。
少数派だけど、この生き方を選んでよかった
前田:来年はどういう年にしたいですか?
あんちゃ:拠点を移すので、地元のコミュニティを拡大していきたいですね。若い人の働き方の選択肢を増やすという目標があるんです。北海道にも積極的に活動している人はいますが、発信が足りないからその存在が知られていない。発信すれば活動の幅が広がるはずだし、北海道の良さももっと伝わるだろうと思うんです。
前田:東京と地方とでは、働き方もずいぶん違いますからね。
あんちゃ:そうなんです。地方ではまだまだ会社に就職することが当たり前という空気があるので、フリーランスという働き方もあることを知ってほしいんです。
前田:東京に出ないという選択をした人たちですからね。それでも地元にいるという理由があるわけです。
あんちゃ:わたしも実際上京するときに、周囲から「東京は怖いよ」「東京の人は冷たいよ」なんて言われることもありました。本人は東京に出たいと思っているかもしれないのに、もったいないことだと思いませんか?
前田:そういえば、あんちゃさんのご著書にある「批判や反対派いつだって『それをやったことがない人たち』が言ってくる」という言葉が印象に残っています。世界一周にも起業にも、その法則が当てはまるように思いますね。
あんちゃ:本当にそうですよね。慎重派の考えももちろんわかりますし、自分が少数派だということも理解しています。でも、この生き方を選択してよかったと思うんです。周りの意見に逆らうときもあったけど、自分の意思を尊重してきたことが自信につながっているから、そういう経験を伝えていきたい。
前田:それでも、何かに挑戦することは大きなジャンプだと思います。「フリーランスになりたい」「ブロガーという生き方に興味があります」という相談を受けることも多いと思いますが、どうやって背中を押しているんですか?
あんちゃ:たとえばちょっとでもブログに興味がある人には「今、ブログのアカウントを開設しなよ」と言います。興味がない人に対しては、外堀を埋めるところから。
前田:外堀?
あんちゃ:今はそうでなくても、タイミングによっては興味を持つことがあるかもしれません。だからそのタイミングで見つけてもらえるように、ブログを書くときにSEO対策をしたり、本を出したときには札幌や東京の書店まわりをして、見つけてもらいやすくするための工夫もしたりしました。
前田:本を書くだけでも大変なのに、本当にすごいことだと思います。
あんちゃ:営業向きの性格ではないので、書店まわりはつらかったですね(笑)。それと、ゲストハウスに本を置いてもらうようにお願いしたこともあります。ホテルではなくゲストハウスを選ぶ人って、普通とは違う生き方をしたいと思う人も多そうじゃないですか。そんな人にこそ読んでほしいと思って。実際、ゲストハウスで本を読んでイベントに来てくれた人もいましたね。
選択肢をひろげれば、自分の人生が見えてくる
前田:最後に、地方在住の学生へメッセージをお願いします。
あんちゃ:今後の働き方、人付き合い……何に対しても、選択肢をひろげることを意識してほしいと思います。そうすれば自分の生きたい人生が見えてきますから。「地方だし、どうせ就職するしかない」となかば諦め半分で思っている人には、ちょっと待ってと言いたいですね。
前田:選択肢を増やすために、具体的にできることはありますか?
あんちゃ:私の場合は、四国の一人旅でいろんな生き方をしている人と出会ったのが大きかったですね。ゲストハウスに初めて泊まったんですが、変わった人がいたんです(笑)。
前田:すごく長期で滞在している人がいたりしますよね。
あんちゃ:そういう人がいるということも、泊まってみて初めて知ったんです。自分の周りにいない人の存在を知れたことは大きな経験でしたね。もちろん旅に限らず、インターネットやSNSでの情報収集を意識するだけでも視野は広がると思います。
前田:ありがとうございました。
あんちゃさんの著書はこちら
text:西嶋結
photo:前田塁