ライター
片渕 ゆり ライター・フォトグラファー

ライター・フォトグラファー。佐賀県出身・東京在住。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いからフリーランスに。2019年から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。2021年、『旅するために生きている』を上梓。


ガイドブックの中の京都は、いつもシュッとしている。

世界に誇る歴史と伝統の町で、凛とした気配が漂う場所。縦と横の線でつくられた地図は一見簡単そうなのに、何度訪れても知らない路地がある。

だけど京都って、ほんとはかわいい一面がある。案外気さくで、意外と柔軟。

今回は、京都観光の中心地である四条烏丸エリアを中心に、一泊二日の日程で京都を旅しました。京都に一泊って、なんだか駆け足になってしまいそう?歩いてまわる旅なら、一泊でもじゅうぶん楽しめるんです。

お気に入りのワンピースを着て、てくてく歩きたくなるような等身大の京都を探しに。高校からの友人と私、ふたり旅のはじまりです。

お寺の中に突如現れる、おしゃれな食堂 【dd食堂】


京都といえば、やっぱりお寺。非日常的で、外国人の観光客で賑わっているイメージがあります。

だけど『佛光寺』は、ひと味違うんです。厳かな門をくぐると、中には本堂ーー だけでなく、おしゃれな食堂があるではないですか!



かつてお寺を訪れた人をもてなすためのお茶所だった場所を利用して作られた『dd食堂』からは、ガラス越しに境内の景色を眺められます。


この日はちょうど地域のイベントが行われる日。境内には子どもの声が響いていました。

暮らしの中にお寺があって、ごく自然に人が集まっている。世界中から観光客が集うお寺も素敵だけど、こういう普段着の風景に出会うのもいいものです。

■詳細情報
・名称:dd食堂
・住所:京都府京都市下京区新開町397 本山佛光寺内

・アクセス:地下鉄烏丸線「四条駅」下車徒歩約8分
・営業時間:SNS参照。お出かけの前に最新情報をご確認ください。
・定休日:SNS参照。お出かけの前に最新情報をご確認ください。
・公式サイト:https://www.d-department.com/ext/shop/kyoto.html

伝統の奥に広がる、グローバルな世界【西陣織あさぎ美術館】

京都が世界に誇る伝統の一つに「西陣織」があります。

西陣織は、技術者が多くの工程を丁寧にたどることで作られる高級絹織物。

その豪華絢爛な世界は、触れてみたい気持ちはあるけれど、自分にはまだ早そう……と、どこか遠くの世界に感じていました。

そんな私たちが今回向かった先は『西陣織あさぎ美術館』。1500年以上の歴史をもつ西陣織について学べ、作品の数々を堪能できる場所です。

西陣織の歴史に触れて驚いたのは、そのグローバルな背景でした。

京都の西陣織の発祥は、古墳時代にまで遡ります。大陸から京都へ、養蚕と絹織物の技術がもたらされ、宮廷文化を中心に発展したのです。

その後京都では絹織物業が盛んになります。明治時代にはフランスに留学した京都府織物伝習生が「ジャカード織」などの洋式技術を取り入れ、大幅な技術改良が行われました。

日本の伝統であると同時に、世界地図のあちこちから「良いもの」を取り入れてきたのですね。

飛鳥時代の紋様を織り込んだ作品は、どこかエキゾチックな雰囲気が漂います。

それもそのはず。作品のモチーフになったのは奈良・東大寺の正倉院に納められていた宝物たち。これらは、はるか遠くの国からシルクロードを渡ってきたものだからです。

じっくり眺めながら思い出していたのは、ウズベキスタンを訪れたときに見た織物たちでした。


2019年に訪れたウズベキスタンの市場にて

もう一つ驚いたのは、西陣織の「かわいさ」です。ついコレクションしたくなるような花札柄の作品や、緻密な構成に見惚れてしまうクロード・モネの代表作『睡蓮』柄の作品。

思わず「かわいい」の声が漏れてしまうような、織物の数々でした。




ライトアップも相まって、水中のような美しさです。

知れば知るほど柔軟で、オープンで、グローバルな西陣織の世界。現在は海外からのお客さんも多いとのことで、日本語だけでなく英語、中国語での展示もありました。

伝統的なものは近づきにくい雰囲気がある……と、心の中で線を引いていたのは自分のほうだったと気づいたのでした。

■詳細情報
・名称:西陣織あさぎ美術館
・住所:京都府京都市下京区二帖半敷町661番地 ツカキスクエア 7F

・アクセス:阪急京都線「烏丸駅」23番出口 南へ徒歩3分
地下鉄烏丸線「四条駅」6番出口 すぐ
・営業時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
・定休日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始、お盆期間(8月中旬)、展示替え期間
・公式サイト:https://asagi-museum.jp/

バーのようなコーヒースタンドでひと休み【DUNSTAN COFFEE ROASTERS】

ちょっと背筋の伸びる、まるでバーのようにおしゃれなこの場所は、なんとコーヒースタンド。「人生にもっとスタイルを」をコンセプトにしたお店『DUNSTAN COFFEE ROASTERS』です。

ユニークなのは内装だけではありません。DUNSTAN COFFEE ROASTERSのコーヒーは、その日の気分や好みに合わせて、9つの種類から選べます。


「CHANGE THE WORLD」や「TAKE IT EASY」など、個性豊かなネーミングに心が躍ります。

コーヒー豆は産地や品種で選ぶイメージがありますが、コーヒーに詳しくない人でも楽しんで選んで欲しいという想いからこういう名前にしてあるそう。

どれにしようか、悩んでいる時点で楽しくなっちゃいます。


じつは京都って、コーヒー豆の消費量日本一になったこともあるくらい、コーヒーが好まれている土地なんです。

なんだか意外な気もしますが、新しいものも積極的に受け入れるところが京都の懐の広さなのかもしれません。

■詳細情報
・名称:DUNSTAN COFFEE ROASTERS
・住所:京都府京都市下京区燈籠町559−2 Ragusa東洞院高辻 1階

・アクセス:京都市営地下鉄烏丸線「五条」駅 徒歩6分 / 「四条」駅 徒歩6分
・営業時間:10:00~18:00
・定休日:金曜日
・公式サイト:https://dunstancoffee.jp/

京都の中心で体験する、タイのおもてなし【ASAI京都四条】

今回の旅で泊まったのは、2023年6月にオープンしたばかりの新しいホテル『ASAI京都四条』。四条烏丸エリアのすぐ近くで、京都駅からもアクセスしやすい立地です。

今回訪れたスポットも、すべてホテルから徒歩圏内。
渋滞を気にする必要も、電車の乗り換えを調べる必要もありません。

「ASAI(アサイ)」とは、タイ語で「地元の人と共に生きる」という意味だそう。近くに住む地元の人も、ホテルの宿泊客も、ふらりと立ち寄った人も。誰もが気軽に集えるような場所を目指してつくられたライフスタイルホテルなんです。

しかし、なぜ突然タイ語……?と不思議に思う人も多いはず。じつはASAI京都四条を運営するデュシット・インターナショナルはタイを拠点とする会社なんです。

一階のレストランバー『ソイ・ギャン』では本格派のタイ料理が味わえちゃいます。風味豊かなカレーやストリートフードを頬張れば、気分はバンコク!

香り豊かなスパイスがやみつき!いちおしメニューのグリーンカレー。

ホテルの内装からも、タイらしさと京都っぽさの両方が感じられます。京都にいながら海外気分も味わえて、なんだか新鮮。

必要なものがぎゅっと詰まった客室は、なんだかとっても落ち着く空間。寝室スペースには、畳のうえにふかふかのマットレスが敷かれていて、まさに和と洋の「いいとこ取り」。

短期滞在はもちろん、ワーケーションなどの長期滞在にも良さそうです。


マグカップやクッションなど、細部へのデザインもこだわりを感じます。お手頃価格で泊まれるのに、人のぬくもりを感じられるのが嬉しいところ。

そしてなんといっても、ASAI京都四条のいちばん魅力は「体験」です。

旅の醍醐味といえばやっぱり「出会い」。気さくなスタッフたちとの会話や、共通スペースでのほかの宿泊者との出会いを通じて、予想もしなかったような思い出が生まれるかもしれません。


爽やかなグァバジュースを飲みながら、気さくなスタッフと話す時間も楽しい。

ホテルに在籍する「ASAI アンバサダー」には、おすすめのスポットや体験を教えてもらうこともできちゃいます。

自分では見つけられなかった場所や、行ったことのある場所なのに知らなかった体験など、京都を楽しむコツを教えてもらえるはず。

今後は地域のコミュニティと協力したホテルオリジナルのアクティビティも展開予定だそうで、ますます楽しみです。

■詳細情報
・名称:ASAI京都四条
・住所:京都府京都市下京区松原通烏丸東入俊成町 444

・アクセス:京都市営地下鉄 五条駅 1番出口から徒歩約4分 四条駅 5番出口 から徒歩約5分 阪急 烏丸駅 23番出口から徒歩約7分
・公式サイト:https://www.dusit.com/asai-kyoto/ja/


もっと旅を楽しみたいなら、ASAI アンバサダーにおまかせを。自分では発見できない一面を教えてもらえるはず。

世界遺産もいいけれど、自分の足で歩いて見つけた路地裏も楽しい。旅の中で出会った人と交わした何気ない会話や、幸せそうにくつろぐ友人の横顔が旅の思い出になる。

大人になったからこそ楽しめる、等身大の京都。ふっと肩の力を抜いてどこかへ行きたいとき、人との出会いを楽しむ旅がしたいとき、これからは「京都」が選択肢のひとつになりそうです。

京都の町がなんだかかわいらしく思えた旅でした。

ASAI 京都四条で体験できるアクティビティ

記事内でご紹介したホテル『ASAI 京都四条』では宿泊者向けのゲストアクティビティを展開中しています。不定期開催のため、行かれる際は事前にホテルにお問い合わせください。

■ 茶会(ティーセレモニー)

講師:株式会社 TeaRoom 岩本 涼(茶名:岩本宗涼)さん
裏千家茶道家の岩本 涼さんと対面茶会を体験。岩本さんが点てるお茶を正しい作法で楽しめるほか、自分自身で抹茶を点てることもできます。ASAI では、TeaRoomとのコラボで生産したオリジナルな日本茶を今後提供・販売を予定しており、日本茶の独特な生産過程と文化についても学べる機会です。SNS : https://www.instagram.com/ryoiwamoto11/
ウェブサイト : https://tearoom.co.jp/

■ 現代アーティストとのお絵描き体験

講師:垂谷知明さん
現代アートを描く垂谷 知明さんが講師となり、親子でも友だち同士でも楽しめる現代アート体験。お子様は4歳から参加可能です。ASAIホテル内ギャラリースペースで垂谷さんの指導のもと、ASAI世界に一つだけの思い出作品を創れます。館内のギャラリースペースには垂谷知明の作品を展示しており、その創作過程のお話も聞くことが可能です。SNS : https://www.instagram.com/tomoaki_tarutani/
ウェブサイト : http://www.tarutanitomoaki.com/

■ 京からかみ体験

講師:唐丸(カラマル)さん
京からかみは、手彫りされた伝統文様の版木に雲母、胡粉、布海苔、顔料などを調合した絵具をのせ、紙一枚に摺り上げたもの。平安時代より京都に伝わり受け継がれてきた職人の技です。プロの講師の指導のもとで作った作品は、記念にぴったり。※ホテルから徒歩5分ほどの工房で受けていただくことがあります。ウェブサイト : https://karamaru.kyoto/
ライター
片渕 ゆり ライター・フォトグラファー

ライター・フォトグラファー。佐賀県出身・東京在住。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いからフリーランスに。2019年から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。2021年、『旅するために生きている』を上梓。

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