ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は39ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

こんにちは!世界一周する前に資金が貯まらず焦っていたところ、チョコレートを買うのを止めたらあっという間に旅資金が貯まったほど、チョコレート大好き旅人のけいこです。

国や農園によって風味が変わるチョコレートの原料「カカオ」。加工方法や製造方法によって大きく個性が変わるチョコレートの奥深さに引かれた私は、国内外問わず旅する際は必ずその地域にあるショコラトリーを調べてしまいます。

なかでも東京には数多くのショコラトリーがあり、世界的なコンテストで受賞している店も。

この記事ではチョコレートのなかでも「ビーントゥーバー チョコレート」にスポットを当てて巡った、東京ショコラトリーをご紹介します。

あなたも、ビーントゥーバー チョコレートの世界に足を踏み入れてみませんか?

ビーントゥーバー チョコレートとは


Photo by Keiko Kawanami
ビーントゥーバーは英語で「Been to Bar」と書き、カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)を作るまでの全ての工程を、自社で一貫管理して製造する製造スタイルのことです。

チョコレート製造においては、加工メーカーがカカオ豆からチョコレート(クーベルチュール)に加工してから菓子メーカーが使用し、商品として仕上げる……という分業が一般的でした。それにより大量生産が可能になり安価にチョコレートが作れるようになったのです。しかし、会社ごとのチョコレートの味の差が少なくなってしまうのも事実です。

photo by Shutterstock
カカオ豆を自ら選び、それをオリジナルの製法でチョコレート製品へと加工することで、他とは差別化されたこだわりのチョコレートを作ることができる製法のひとつが「ビーントゥーバー」なのです。

また、ビーントゥーバーはカカオの生産者にとっても良い面が多くあります。

カカオ農家のなかには厳しい労働環境や児童労働といった問題を抱えていたり、環境への悪影響が問題となるなど、チョコレート製造の裏側には見えない課題が多くあるのですが、それを打開するのがサステナブルな生産にこだわるビーントゥーバーのチョコレートです。

SDGsに繋がるビーントゥーバー


国際連合広報センター 公式サイトより
今ではよく聞くワードとなった「SDGs」。日本語訳では「持続可能な開発目標」といい、持続可能でより良い世界を作るための国際的な目標のことで、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っているものです。これには17の目標があるのですが、ビーントゥーバーのチョコレートは、これらのいくつかの取り組みに繋がります。

ビーントゥーバー加工者の多くは、自身の理想とするカカオ豆を生産する農家を探し出し、取引交渉しながらも技術支援をして共に成長するビジネスモデルの確立を目指しています。自らカカオ豆を選ぶので、この問題を自分ごとに考える人も多いのでしょう。

これにより持続可能なチョコレート製造が実現し、SDGsの「8.働きがいも経済成長も」に繋がります。また、これがカカオ農家の生計向上を助け、医療や教育を受ける機会が増えるので「1.貧困をなくそう」への一歩にもなります。

持続可能なチョコレート製造には、森林や生物多様性の保全は必須であり、これは「12.つくる責任つかう責任」にあたり「15.陸の豊かさも守ろう」にも繋がるのです。

世界に注目される東京のショコラティエ


Photo by Keiko Kawanami
世界中で注目されているビーントゥーバーのチョコレートですが、日本のショコラティエも世界から注目されているのはご存知でしょうか。

チョコレートといえばフランスやベルギー、スイスといったヨーロッパのイメージが強く、世界的なショコラティエが集まるのも事実。しかし日本のショコラティエも負けてはいません。

世界的な賞を獲る日本人ショコラティエも多く、ヨーロッパを活動の場にする日本人だけでなく、日本の地で活動するショコラティエも多くいます。

なかでも東京はショコラティエが多く集まる場所であり、一般にはまだまだ知名度の低いビーントゥーバーのチョコレートを扱うショコラトリーが多く存在しています。

新しい東京観光、ショコラトリー巡り

ビーントゥーバーチョコレートの世界に興味が湧いてきたでしょうか……?

ここからは東京でビーントゥーバーのチョコレートを扱うお店を紹介します。

先日チョコレート好きの妹と、丸々2日間かけて「ビーントゥーバー チョコレート巡りの東京観光」をしましたので、その時訪れたショコラトリーをいくつか紹介します。

Minimal


Photo by Keiko Kawanami
私が「日本のビーントゥーバーもすごい!美味しい!」と気づき、日本国内の板チョコにハマるきっかけになったのが、Minimalです。

どのチョコレートも香り高く、産地ごとの風味の違いがはっきり感じられます。また、パッケージに「飴がけナッツのような風味」「新鮮なブルーベリーのような風味」など、味の表現が記載されている点は、カカオ初心者にも嬉しいポイント。

カカオと砂糖しか使用していないのに、本当にその香りがしてくるのだから不思議で仕方ありませんし、カカオの奥深い世界に引き込まれること間違いなしです。

Minimalは都内に4店舗あり、ガトーショコラ専門店、焼き菓子をメインに扱う店など、それぞれにテーマがあります。うち3店舗は全て小田急線沿いにありますので、チョコレート好きは”Minimalのハシゴ”をしてみてはいかがでしょうか?

■詳細情報
・名称:Minimal
・住所:(富ヶ谷本店)東京都渋谷区富ケ谷2丁目1-9
・地図:
・アクセス:小田急線 代々木八幡駅から徒歩6分/東京メトロ 代々木公園駅から徒歩6分
・営業時間:11:30〜19:00
・定休日:なし
・電話番号:03-6322-9998
・公式サイトURL:https://mini-mal.tokyo

green been to bar CHOCOLATE


Photo by Keiko Kawanami
和紙の包装紙が目をひくgreen bean to barは、日本におけるビーントゥーバーの先駆け的な存在のショコラトリーです。

日本のチョコレート好きの多くが知るビーントゥーバーチョコレートの専門店で、世界のチョコレート品評会や祭典において毎年受賞し、世界中からも高い評価を受けています。

中目黒店のカフェスペースには、目の前にガラス張りの工房が設置されており、チョコレートが出来上がる様子を見ながら食べるという楽しみ方も。

■詳細情報
・名称:green been to bar CHOCOLATE
・住所:東京都目黒区青葉台2丁目16-11
・地図:
・アクセス:東急東横線中目黒駅から徒歩10分
・営業時間:10:00〜20:00
・定休日:なし
・電話番号:03-5728-6420
・公式サイトURL:https://greenchocolate.jp

nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO


Photo by Keiko Kawanami
ホテルの1階にあり、ガラス張りで明るい店内に洗練されたおしゃれな雰囲気の、nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO

ベトナムの農家と契約してカカオを仕入れるなど、ショコラティエの村田さんが豆選びからこだわって作っています。

板チョコは正方形で少し小さめなので、味比べでいくつも買えてしまうのが嬉しいポイント。また、ボンボンショコラには「丹波黒豆きなこ」や「紫蘇」「山椒」など、他にはない変わった味も。全て買って帰りたい衝動に駆られます。

チョコレートだけでなく焼き菓子なども豊富で、週末限定のチョコレートのカヌレが絶品でオススメ。午後には売り切れることもあるそうなので、午前中に訪れるとよいでしょう。

■詳細情報
・名称:nel CRAFT CHOCOLATE TOKYO
・住所:東京都中央区日本橋浜町3丁目-20-2
・地図:
・アクセス:水天宮駅から徒歩約8分
・営業時間:10:00〜18:00 (LO.17:00)
・定休日:不定休
・電話番号:03-5643-7123
・公式サイトURL:https://nel-tokyo.jp

Artichoke chocolate


Photo by Keiko Kawanami
まるで雑貨屋さんかのような可愛い内装、アクセサリーかのようなチョコレートの飾り方に、思わずうっとりしてしまう店内が印象的な、Artichoke chocolate

板チョコだけでなく、なかに詰め物が入ったボンボンショコラにも力を入れており、日本の食材を使った商品が店頭に並んでいました。

最近は板チョコを買うことがほとんどの私ですが、ここでは思わずボンボンも購入。「海外のカカオ農家」「日本の農家」そして「Artichoke chocolateの職人」の情熱が合わさるボンボンは絶品です。

また、ネタのような面白チョコレートも作っており、私が訪れた時は「スルメのチョコレートがけ」と「骨付きチキンの形のチョコレート」が売っていました。タイミングによってネタが変わるようなので、公式SNSなどで最新情報をチェックしてみてくださいね。

■詳細情報
・名称:Artichoke chocolate
・住所:東京都江東区三好4-9-6-1F
・地図:
・アクセス:東京メトロ 青山一丁目駅 B2出口から徒歩約8分
・営業時間:11:00~18:30/​日・祝:11:00~18:00
・電話番号:03-6458-5678
・公式サイトURL:https://www.artichoke.tokyo

Cacao Zoku


Photo by Keiko Kawanami
ベネズエラ産のカカオにこだわって、ビーントゥーバーチョコレートを作っているのが、Cacao Zokuです。

店舗奥に工房があるこじんまりとしたお店です。ここでは産地別のプレーンな板チョコだけでなく、スパイスを混ぜたもの、ナッツやドライフルーツがトッピングされた板チョコなど種類が豊富。

オーナーはベネズエラ出身の方。現地のとても貴重で高品質なカカオを使ったチョコレートなどもあります。

気になって、そのうちのひとつの場所を調べてみたのですが、山と海に囲まれた村で、モーターボートか徒歩しか交通手段がないという超秘境……。良いチョコレートを作りたいという執念と情熱を感じました。

■詳細情報
・名称:Cacao Zoku
・住所:東京都大田区田園調布 2-48-15
・地図:
・アクセス:東急目黒線 田園調布駅から徒歩2分
・営業時間:12:00~18:30
・定休日:火・水曜日
・電話番号:03-6715-6336
・公式サイトURL:https://www.cacaozoku.com

MAGIE DU CHOCOLAT


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「農園の人々に少しでも豊かに、そして笑顔になってほしい」という願いから、直接取引にこだわるショコラトリーが、MAGIE DU CHOCOLATです。

板チョコレートだけでなく、チョコレートサンドや生チョコ、焼き菓子など商品の種類がかなり多く、ビーントゥーバーのチョコレート初心者であっても手が出しやすい商品がずらり。

店内の壁にはカカオの産地がマークされた世界地図が描かれており、世界に想いを馳せながらチョコレートをいただくことができます。

■詳細情報
・名称:MAGIE DU CHOCOLAT JIYUGAOKA(マジドゥショコラ)
・住所:東京都世田谷区奥沢6-33-14 1F
・地図:
・アクセス:自由が丘駅から徒歩約6分
・営業時間:10:00-19:00(カフェLO 17:30)
・定休日:火曜日
・電話番号:03-6809-8366
・公式サイトURL:https://magieduchocolat.jp

カカオストア&プリンカフェ448


Photo by Keiko Kawanami
前身のビーントゥーバーのセレクトショップ「カカオストア」と、プリン専門店「プリンカフェ448」が合併したのがこのショップ。

さらに世界的なショコラティエ・土屋公二さんが手けるチョコレート専門店、ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマの姉妹店でもあります。

オリジナルのチョコレートだけでなく、世界中から厳選したビーントゥーバーのチョコレートが壁一面に並んでいます。わたしが「これ買いたかったんだよな〜」と思っていたイギリスの板チョコから、初めて見るブランドまで、おそらく100種類は超えるであろう豊富な品揃え……!

手に入りにくい国外メーカーのチョコレートを手に入れたい、たくさんの選択肢の中から選びたい、という人にはぴったりのお店ですよ。

■詳細情報
・名称:カカオストア&プリンカフェ448
・住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-3-9
・地図:
・アクセス:代々木公園駅 1番出口すぐ
・営業時間:11:00~21:00/日・祝日(翌日が平日の場合)20:00まで
・電話番号:03-3460-1726
・公式サイトURL:https://www.instagram.com/cacaostore_official/

Dandelion Chocolate


Photo by Keiko Kawanami
Dandelion Chocolateは、サンフランシスコが発祥の人気ショコラトリーで、初の海外出店の場に選ばれたのが東京なのです。

蔵前店の店内には工房があり、ほかのショコラトリーと比べると大規模の店内工房。それでいてかなり近い距離感で製造過程を見ることができ、まるで工場見学をしているような気分になる場所です。

また、公式サイトではソーシングレポートが公開されています。カカオの購入履歴、取引している農園の話や支援内容などが紹介されており、チョコレートの裏側にある取り組みを知りたい人や、食の透明性に興味がある人にはおすすめしたい内容です。

■詳細情報
・名称:Dandelion Chocolate(ダンデライオン チョコレート)
・住所:東京都台東区蔵前4-14-6
・地図:
・アクセス:都営浅草線 蔵前駅のA0もしくはA4出口から徒歩3分
・営業時間:10:00~19:00
・電話番号:03-5833-7270
・公式サイトURL:https://dandelionchocolate.jp

【番外編】ママノチョコレート


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ビーントゥーバーではないけれど、どうしてもご紹介したいのが「森と生きるチョコレート」がコンセプトのママノチョコレート

人が3人入るのがやっとなほどのスペースに、こだわりのチョコレート商品がいくつも並んでいます。

エクアドルアマゾンの先住民が実践するチャクラシステム(農法)により育った作物を専門に扱っており、これはSDGsの目標達成に大きく貢献しているのだそう。

互いに信頼を築いてきた農家と直接取引をしたカカオ、それを信頼する職人や工場にチョコレートへの加工を依頼しており、自社で一貫して管理と製造をするビーントゥーバーではないけれど、それに値するほどしっかり管理し、こだわりを持ってチョコレート作りをしています。

■詳細情報
・名称:ママノチョコレート
・住所:東京都港区赤坂3-8-8 赤坂フローラルプラザビル1F
・地図:
・アクセス:赤坂見附駅から徒歩2分/赤坂駅から徒歩7分
・営業時間:公式サイト参照
・定休日:不定休(グーグルビジネスに記載)
・電話番号:03-6441-2744
・公式サイトURL:https://mamano-chocolate.com

カカオを通して世界を感じる


Photo by Keiko Kawanami
ビーントゥーバーチョコレートの世界はいかがでしたでしょうか。

ぜひチョコレートを食べるときは、その裏側の世界まで想像し、どのように作られたか意識してチョコレート選びをしてみてください。

東京にはここで紹介した以外にも、ビーントゥーバーのチョコレートを扱うショコラトリーがあります。もちろんそれは東京以外にも。

産地によって風味が大きく変わるカカオ、あなたもチョコレートを通じて世界を感じてみませんか?

ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は39ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

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