ライター
稲村 行真 伝統的町並みライター、挿絵描き、フォトグラファー

伝統文化や古い町並み・古民家のライターをしています。アート作品もやってます。個性が発揮できる社会を!

海外から観光客の訪問が許可されたのが1970年頃。まだまだ観光地としては知られていないのがブータンという国です。

しかし、山の美しい絶景、神秘的なパワースポット、人々の暮らしなど実は見所がたくさん。2週間とことんブータンを旅した私がその魅力をご紹介します。

ブータンの素顔をのぞく神秘の旅に出かけてみませんか?

ブータンってこんなところ

ブータンは南アジアに位置し、北は中国、南はインドと大国に挟まれています。面積は日本の九州と同じくらいで、人口は80万人を突破しました(2018年現在)。

チベット仏教の影響を大きく受けてきたこの国は、仏教の信仰が厚い国としても有名。ヒマラヤ山脈の自然の中で育まれてきた、閉ざされた文化が徐々に明らかになりつつあり、その独自の文化は人々を魅了します。

 

ブータンが世界的に注目を集めるようになったのは、国民総幸福量(GNH)という独自の国家指標を用いるようになってから。この考えによれば、経済重視の姿勢を見直し、環境保全や文化の推進などの様々な視点から幸福の実現ができるというのです。

 

ブータンは日本と似ている国

ブータン人と日本人は顔が似ていると言われています。実際、私も現地の人からブータン人と間違われたことがありますが、もともと両国ともにルーツがロシアの方にあるようです。ブータンは山国、日本は島国ということで、混血が進みにくかったという背景も影響しているのかもしれません。

ブータンでヒマラヤ山脈の景色を眺めていると、長野県飯田市付近の風景を思い浮かべます。温泉があったり、森林率(国土の森林が占める割合)が高かったり、と似ている部分は非常に多いです。

また、農業分野でブータン人がよく知るとても有名な「西岡京治(にしおかけいじ)」という日本人がいます。彼はブータンの農業に大きく貢献したことから、ブータン国王に「最高に優れた人」を意味する「ダショー」の称号を送られたのだとか。日本と似ている国だからこそ、日本の農業技術がうまくブータンの人々に受け入れられたのかもしれません。

 

ブータンの神秘的な仏教文化

ブータンはチベット仏教の影響を受け、仏教文化が色濃く根付いています。

街中にマニ車というお経が収められた円柱状の造形物が設置され、経文が書かれたダルシン(立てる旗)やルンタ(つるす旗)がたなびく様子は印象的です。

また、チョルテン(仏塔)や、ゾン(城塞建築)、寺院、僧院など、仏教関連の施設を多くの街で見かけることができるでしょう。民家の壁には性的なエネルギーが解脱に繋がるという考えからポー(男根)が描かれ、魔除けの意味を持ちます。

ブータンに最初にチベット仏教を広めたのは、ブータン人ならよく知るグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)という有名な人で、8世紀のこと。その後、ニンマ派とドゥク派に分かれ二大宗派となっています。

グル・リンポチェの人生に起きた12の重要な出来事を表現したのが、ブータンの各地で定期的に行われるツェチュ祭。この祭りで開帳されるトンドル(大掛け軸)には、グル・リンポチェが描かれ、人々はそれを拝むことで無病息災を祈ります。

 

ブータンへの入国方法

日本人がブータンへ入国するには、観光用入国許可証が必要です。ブータン取扱旅行会社での代行取得の必要があり、大使館での直接取得はできません。発給料は20ドルで、申請から取得まで2週間かかります。

取得にはホテルの予約証明書、予約済み航空券、旅行日程書が必要です。合わせて、1日165~200ドルの公定料金が設定され、トレッキングや日本語ガイドをつける場合は追加料金が発生する場合もあります。金額に関しては各旅行会社に問い合わせてみましょう。

ブータンの航空会社のドゥルックエアーを使用して入国するため、日本からはインドかタイを経由するのが一般的です。

 

ドライバーとガイドと移動

ブータン国内は、旅行会社のプライベートツアーという形でしか旅行することができません。空港に着くと、旅行ガイドとドライバーが笑顔で出迎えてくれます。あらかじめ旅行会社に希望を伝えておき、現地で合流してからは基本的にそのスケジュール通り移動するという流れです。

ここからは観光名所を紹介します。

 

ブータン最大の観光地・タクツアン僧院

標高約3000mの岩肌に張り付くチベット仏教の寺院です。ブータン最大の観光地であり、その険しい岩肌に佇む僧院の景色は圧巻!登山口から目的地の僧院まで約2時間半ほどでたどり着きます。

ブータンにチベット仏教を広めたグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)が虎に乗ってこの地に降り立ったとされ、信仰の聖地になっています。このことから、「タイガーズネスト」とも呼ばれているのだとか。

■詳細情報
・名称:タクツァン僧院(Tiger’s Nest)
・住所:Taktsang trail BT, Taktsang trail, ブータン
・マップ:

・電話番号:+975 2 323 251
・料金:無料(旅行ガイドやドライバーに追加支払い無し)
・オススメの時期:通年
・公式サイトURL:http://www.parotaktsang.org/

 

巨大な仏像にびっくり!クエンセルポダン

ブータンの首都・ティンプーにある高さ51mの巨大な仏像です。その大きさに驚きです。内部には多くの仏像が安置してあるので、そちらも見学してみましょう。

この仏像が立つ丘からはティンプーの街を眺めることができ、その絶景には息を飲み心安らぎます。

■詳細情報
・名称:クエンセルポダン(Buddha Dordenma)
・住所:Kuenselphodrang, Thimphu, ブータン
・マップ:

・料金:無料(旅行ガイドやドライバーに追加支払い無し)
・オススメの時期:通年
・公式サイトURL:http://www.buddhadordenma.org/

 

ブータンの最重要拠点・タシチョゾン

ブータンの首都・ティンプーに位置し、国王の執務室や国会議事堂でありながら、チベット仏教ドゥク派の総本山です。ブータンの最重要機関がここに集まっています。釘を使わない木造の伝統建築の迫力は圧巻です。

ここに入るには、正装をする必要があります。男性ならゴ(伝統衣装)を着てカムニ(白い布)を襷掛けに身につけ、女性ならキラ(伝統衣装)を身につけることが望ましいです。ガイドさんの指示に従い、服装を整えましょう。まだまだ見所は続きます。

■詳細情報
・名称:タシチョゾン(Tashichho Dzong)
・住所:Chhagchhen Lam, Thimphu, ブータン
・マップ:

・営業時間:9:00~16:30頃まで
・定休日:無し
・料金:無料(旅行ガイドやドライバーに追加支払い無し)
・オススメの時期:通年
・公式サイトURL:https://www.bhutan.travel/attractions/tashichho-dzong
ライター
稲村 行真 伝統的町並みライター、挿絵描き、フォトグラファー

伝統文化や古い町並み・古民家のライターをしています。アート作品もやってます。個性が発揮できる社会を!

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