こんにちは、TABIPPO編集部です。2020年10月12日に締め切った、「#私たちは旅をやめられない」コンテスト。たくさんのご応募ありがとうございました!

募集時にクリエイターの方々の作品例を掲載しておりました特集にて、受賞作を順次掲載する形で発表させていただきます。

それぞれの旅への思いが詰まった素晴らしい作品をご紹介していきたいと思います。ぜひご覧ください。

今回はAIRPORT賞に輝いた、彩愛(Ayano) @神津島で旅する女将♪さんの作品『青い、藍い、大空の上に重ねて。』をご紹介します。

彩愛(Ayano) @神津島で旅する女将♪さんには、中部国際空港セントレアより「商品券1.5万円+オリジナルキャラクター『フー』ぬいぐるみ」が贈られます。それでは、作品をお楽しみください。

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「今日は空のお引越しです」

まるで天気予報を伝えるかのように、テレビから聞こえてきたあの日。高校の教室の窓から、ずっとずーっと、空を眺めた。たくさんの飛行機が同じ方向へ飛んでいく様子は、授業なんてそっちのけにして一日中見ていて飽きなかった。

いつか、絶対。あの空の上に立つんだ。

はじまりはいつも地元名古屋の玄関口

県営名古屋国際空港だった時代、わたしがまだ小さいころから家族旅行に連れて行ってもらい、飛行機が大好きになった。セントレアになってから、初めての旅行は祖父母も連れて北海道へ行ったのを今でも鮮明に覚えている。

まだできたばかりの、ピッカピカの空港。セントレアツアーのお客さんで混み合い、もたもたしていたら、搭乗ゲートは一番はじっこ。おじいちゃんの足を気遣っていたらなんと乗り遅れてしまった。今では苦くて良い思い出でもある。

初めて一人で飛行機に乗ったのも、もちろんセントレアからだった。あのワクワクと不安が混じりあったなんとも言えない気持ちも絶対に忘れない。地元名古屋の玄関口はわたしの世界を大きく広げてくれた。

夢叶う

高校生の時、3つの夢を決めていた。

「アメリカ留学・CAになる・いつか宿を持つ」

3つもなんてよくばりだな。あんたの夢は壮大すぎるのよ。そんなことを言われたりもしたが、ひたすらまっすぐ突き進んだ。

「スチュワーデスさんになって、お母さんを外国に連れていく」と、小学校の卒業文集に書いたこと(覚えていなかったけど)が実現したのは23歳の時、マカオでの出来事だった。

外へ外へと向かっていく私を呆れながらも応援してくれた母の存在はとても大きかった。家族や友人、たくさんの人に支えられて、わたしは今、全ての夢を叶えられた。それだけじゃなくて、世界一周までしてしまったし、CAになってからは特権を使い倒し、あらゆるところへ旅に出た。

40ヵ国訪れる中で、ベトナムにはまた会いたい家族ができたし、母が好きなイタリア、憧れのアマルフィー海岸へ行けたときの母の笑顔も忘れられない。夢の旅先だった、アフリカ・タンザニアでのサファリは想像を超える迫力と絶景とで感動の嵐だった。オランダでは同僚から学ぶことも多くて、働き方に対する考えが変わった。

世界は広い。

当たり前のことだけど、自分の足で訪れることによって、しっかりと感じることができた。

想いをつなぐ空がある

私の世界は広くなったけど、大切な人ほどいつも遠くにいる気がする。だけど、その人を想う気持ちはきっとこの空がつないでくれるのだ。と、様々な場面で強く感じた。

はじめて機内で泣いたオーストラリアでのホームステイからの帰り。空港で抱き合う家族を見たとき。まだ10歳なのにひとりでドイツのおばあちゃんに会いに行く可愛いお客様と出会ったとき。

そんなことを感じながら旅を重ね、いつしか「いってきます」と内から開いていた空の「玄関」セントレアは、「ただいま」と外から開けるようになった。

そしてまた、窓の外を眺める

いったい誰が、こんな世の中になると予想できただろうか。今までのように自由に旅へ出られなくなってしまった。

もっともっと窓の外の世界を知りたいのに…!

わたしはまた、窓の外を眺める。神津島につくった宿の窓からは、空と海が織りなす様々な「青」が見える。

高校の教室から見た空よりも、ずっと広い空だ。その空は時に輝き、時には闇のように暗いこともあるけど、雲を抜ければ、その上はいつも晴れていることを今のわたしは知っている。

たくさんの想いをつないだ空の上で働けたことを誇りに。美しい島で日本中から、そして世界中からの旅人を迎えたい。

でも、私自身、旅をあきらめたわけじゃない。また自由に海外にいけるようになったら、もう一度ポルトガルのポルトに行きたいな。小ぶりな街はどこを歩いても可愛くて。

地元のレストランでおじちゃま達が昼間からワイン片手におしゃべりしてたり、陽気な雰囲気がとても好きだった。以前訪れた時はひとりだったけど、今度はふたりで…。見える景色や、感じる空気は変わるのかな?とドキドキする。

ひたすらまっすぐ進んできたわたしに、寄り道の楽しさを教えてくれた夫と一緒に迷子になるのを楽しみたい。『魔女の宅急便』の街はポルトだと言い張るから、それも検証しなくては!

考えただけでワクワクするから、やっぱり旅はやめられない。

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「#私たちは旅をやめられない」特集でその他の作品も掲載中!


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編集部

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