こんにちは、TABIPPO編集部です。2020年10月12日に締め切った、「#私たちは旅をやめられない」コンテスト。たくさんのご応募ありがとうございました!

募集時にクリエイターの方々の作品例を掲載しておりました特集にて、受賞作を順次掲載する形で発表させていただきます。

それぞれの旅への思いが詰まった素晴らしい作品をご紹介していきたいと思います。ぜひご覧ください。

今回はAIRPORT賞に輝いた、mihoさんの作品『異国情緒を求めて何度でも。』をご紹介します。

mihoさんには、中部国際空港より「商品券1.5万円+オリジナルキャラクター『フー』ぬいぐるみ」が贈られます。それでは、作品をお楽しみください。

*****

思い付きから出発まで

「外国へ行ってみたいな」そう初めて思った瞬間を覚えている人はいるだろうか。私は今でも明確に覚えている。

それは高校1年生の世界史の授業中、中世ヨーロッパ史の辺りの話を聞いていて、ふとめくった資料集の頁を見たときである。

どのような頁だったかと言うと「文明の十字路 サマルカンド」の特集頁である。そこには美しい青いタイルに彩られたレギスタン広場の写真を中心に、中世イスラム圏の説明文が数頁に渡って書かれていた。それを読んだときは衝撃だった。

なぜならば普段テレビで見る外国のイメージと全く異なるものだったからだ。ショッピングに行く韓国、ビーチを楽しむハワイ、エンターテインメントを楽しむアメリカ合衆国の諸都市…こういったものが、メディアを受動的に受け取るだけだった高校生の私にとっての「外国」だったから、宗教も違う、食事も違う、気候も違う、文字だった見たことないようなものを使っている…。

こんな国があるんだ。心地よい『異国情緒』の雷に打たれた日だった。だからこのとき純粋に「いつか行ってみたい」と思った。世界のどこかでは文化も宗教も価値観も全く異なる状況で人々が暮らす国がある、そう知ってからは図書館に通ってはイスラム関係の本を読みあさり、夢を膨らませていた。

色々な書籍を読むうちに、一番行ってみたいのはイランだと思うようになった。イスラムの魅力に気付かせてくれたウズベキスタンも素敵な場所はたくさんあるけれど、イランに決めたのはより一層異国情緒を感じられるという理由と、世界の中で一番見たい場所がイランにあったからである。

イランはイスラム今日の中でも少数派のシーア派の信者が国民の大多数を占め、コーランを基本とした厳格な生活を送る国である。なので、女性はヘジャブ(ヒジャブ)と呼ばれる布やスカーフで髪を隠し、さらに人前で肌を露出しないようにして生活をしているし、メッカに向かっての祈りの時間も生活に自然に組み込まれている。そんなところに、私も溶け込んでみたいと思った。

もう一つ、どうしても行ってみたかった場所というのはイランのファールス州にあるペルセポリス遺跡である。世界史の授業でサラリと聞いたことがある人も多いかもしれない。

ごく簡潔に言うと、紀元前5世紀に存在したアケメネス朝のダレイオス1世が建設を開始し完成し、紀元前331年にアレクサンドロスによって破壊されてしまった都である。破壊されたとはいえ、現在でも壮大な宮殿の柱等、しっかりとした遺跡として保存されている。

こんな経緯で19歳の私は、バックパックを背負い中部国際空港から数年夢見たイランへと旅立った。これが私にとって初めての海外旅行で、一人旅だった。

押し寄せて止まらない『異国情緒』の洪水

中部国際空港からUAE経由で到着したイラン。2週間弱の日程は本当にあっという間だった。起きたすべてのできごとをここに書くことはできないけれど、たくさん衝撃を受けお腹いっぱいなくらい『異国情緒』の洗礼を受けたし、楽しいことも悲しいことも色々あった。

念願だったペルセポリスは思った以上に素晴らしい場所だった。高校1年のときにペルセポリスに出会って以降、アレクサンドロス関係の書籍や歴史小説などで数年間妄…想像を働かせてきた私は、足を踏み入れるだけで震えるような感動を覚えた。

目を閉じればそこに栄華を極める都の姿が、炎に包まれる都の姿が見えるようだった。…イラン人の大きな喋り声に半分かき消されながら。

「えっ…今私あのペルセポリスにいるの?」

「私が今立っている場所、もしかしてアレクサンドロス大王も通った場所かも!?」

「クセルクセス1世が息をしてた場所で私も息を今してるんだ…」

こんなことを考えていた。あとから思えばまるでアイドルのコンサート会場にいるノリだった。英語を話すガイドをお願いして周ったので、ガイドブックに載ってないような小話も色々教えてくれたのも良かった。ペルセポリスは大満足だった。

まあもちろんいい話ばかりではなかった。本当にびっくりすることもたくさんあった。上の写真は現地の親切な人(なお詐欺師である)とお茶をしているところ。お会計一緒にしてくるねと言われお金を渡すと、そのままお茶代を持ち逃げされた。初めての海外旅行ゆえの失敗である。

いい人にもたくさん出会った。宿の場所が分からず右往左往していると、「昔名古屋に住んでた」というイラン人が仕事を抜け出してバイクで宿まで送ってくれた。

その人のバイク。うさちゃんの座布団は日本製らしい

色々あったけれど、帰りの飛行機では満ち足りた気持ちでいっぱいで、イランという国が大好きになっていた私がいた。「絶対にまた来たい。絶対に来る」そう飛行機の中で思いながら眠りについた。

イランの魅力にとり付かれた私は、翌年もまた一人でこのイランの地を踏むのだった。

3度目

2度目の訪問でも異国情緒に揉まれて喜怒哀楽の感情がぐちゃぐちゃになって壊れるくらいだった。それでもやっぱり大好きになって、2度目のイランから帰るときも「絶対にあと1回は来る」と誓った。今は世界がこんな状況なのですぐに出かけることは難しいけれど、仕事の調整をして絶対に行きたいと思う。

1度目は2週間弱、2度目は1か月弱という2度の訪問で主だった観光地は周り尽くした感はあるし、現地の4列夜行バスを乗り回したり、気温40℃の中4キロもバックパックを持って歩くことはもうアラサーとなった身には正直厳しい。

なので、次にイランに行ったときに絶対したいのは「かわいいヒジャブでゆったりめに旅をする」である。イスラムの女性が髪を隠す布は黒というイメージがあると思う。私もその通りで、過去2度の旅行では現地で黒のヒジャブを購入し装着していた。

しかし実際市内を歩くと、若い女性からお年寄りまで柄が入ったかわいいスカーフや色付きのヒジャブを付けている人が多く、いいな~と羨望の眼差しで眺めていた。「そのヒジャブ素敵ね」と会話の糸口にもなる、女性にとっての重要アイテムなのだ。私もそんな風に現地の女性と世間話をしてみたい。

さすがに日本でヒジャブは買えないので、今度は旅の準備としてまず「お気に入りのスカーフ」を買うところから始めよう。

また『異国情緒』を感じに行くために。

*****

「#私たちは旅をやめられない」特集でその他の作品も掲載中!


「#私たちは旅をやめられない」特集では、コンテストの概要、旅を愛するクリエイターの作品、TABIPPOメンバーの作品、そしてコンテストの受賞作を掲載しています。

コンテスト概要はこちら

旅を愛する思いを、旅を愛するみなさんと共有できますように。

特集ページへ

編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

RELATED

関連記事