ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は39ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

メキシコ最大のお祭りとも言われ、世界中から注目が集まる「死者の日」という祝日を知っていますか?

日本から直行便も出ており、ここ数年で便数も増えたことでますます行きやすくなったメキシコは、死者の日に合わせて訪れるのがおすすめです。

この記事では、死者の日にメキシコへ行く上で知っておきたいことと、ぜひ訪れてほしい街を紹介します。

メキシコの死者の日は、日本の「あの文化」にちょっと似ているんですよ……。

死者の日ってどんなお祭り?


photo by Keiko Kawanami

「死者の日」とはメキシコでとても大切にされている祝日。主に11月1日と11月2日に祝われ、状況に応じて10月31日や11月6日などの他の日が含まれる場合もあります。

2008年にユネスコ無形文化遺産に登録され、ディズニー映画の『リメンバー・ミー』で世界的に一躍有名となりました。

この「死者の日」は”あの世”と”この世”の境界がなくなり、故人の魂がこの世に戻ってくると信じられている日。時期は違えど、日本の「お盆」によく似ていると思いませんか?


photo by Keiko Kawanami

伝統では10月31日の真夜中に2つの世界を繋ぐ門が開かれ、11月1日には子どもの魂が、11月2日には大人の魂がこの世に戻ることができると言われています。この短い期間に、故人はこの世の愛する人たちと一緒に飲んだり食べたり、踊ったり、音楽を演奏したりします。

この世に生きている家族は、故人の好物などをお墓や自宅に建てた祭壇に供え、故人を迎え入れます。


photo by Keiko Kawanami

この時期になると、死者の魂を導く花であるマリーゴールドや、パペルピカド(紙の旗)、ガイコツの人形やモニュメント、オフレンダ(故人の写真を置いた祭壇)などが街中に飾られ、国中が死者の日ムード一色に。日本のお盆とは少し違い、お祭りのような明るい雰囲気で、この時期は街を歩くだけでも楽しい気分になります。

死者の日の起源については、先住民にルーツを持つのか、ヨーロッパの伝統が元となっているのか、その両方が混ざってできた文化なのか、メキシコ学者の間でも意見が分かれているそう。それでも、メキシコの象徴として、世界的に注目されているイベントになっています。

死者の日のメキシコを訪れる上での心構え


ミスキック近隣での死者の日の様子 photo by Keiko Kawanami

死者の日のメキシコは何だかお祭り気分で楽しそう!そう思った人がほとんでしょう。

実際そういう雰囲気で溢れる街が多いのは事実ですが、このお祭りはあくまで「故人を想う気持ち」から始まったものです。みなさんも死者の日に合わせてメキシコへ行く際は、故人に敬意を払う気持ちを忘れないようにしましょう。


死者の日は多くの人でごった返します photo by Keiko Kawanami

また、人が多く集まる時期でもあるので、スリなどにはご注意を。メキシコシティのパレードを見に行った際には、あまりの人の多さに、帰り際は簡単には身動きが取れないほどでした……。お祭りモードで夜でも明るく人出があるため、安全そうに見えるかもしれませんが、くれぐれも気を緩めずに。

また、宿泊施設は早めに予約しましょう。ここ数年でお祭りの知名度が上がり、世界中から観光客が集まるので、小さな街では早い時期から満室になっていることがあります。

街によって特色が違う死者の日。あなたはどこへ行く?

街によって、死者の日の祝い方や雰囲気はさまざま。伝統的な死者の日を祝うところ、観光化してたくさんの人を集めるところ……あなたはどの街の死者の日に行きたいですか?

ここでは、4つの街の死者の日を厳選して紹介します。

メキシコシティ|国内最大規模のパレードはあの映画発祥?


photo by Keiko Kawanami

首都・メキシコシティの死者の日は、盛大なパレードが開かれることで有名。このパレードを見るために、国内外から観光客が集まります。

イベントの規模感は他の街と比べものにならないほどで、その豪華さと熱量に、メキシコシティの人たちの情熱が伝わってきます。

昼も夜もパレードは行われるのですが、メインは夜のパレード。某テーマパークに負けず劣らずの立派なフロート車と、仮装した多くの人たちが、市内最大の通りである「レフォルマ通り」を練り歩きます。

世界的に有名で人気のパレードですが、始まりは2016年とかなり最近のこと。

2015年に公開されたハリウッド映画『007 スペクター』の冒頭で、主人公のジェームズ・ボンドが、死者の日のメキシコシティで開かれていた仮装パレードに紛れ込むというシーンがあります。

これは映画の中だけの演出で、実際にはこのようなイベントは開かれていなかったのですが、世界中からパレードについての問い合わせがあったそう。その結果、映画にインスパイアされる形で、本当にパレードが開催されることになったといいます。

歴史地区の中心にある「ソカロ広場」では、オフレンダと呼ばれる祭壇がライトアップされていたり、公式のパレード後に非公式(?)の小さなパレードが開かれたりと、メキシコシティでは夜遅くまで賑やかな死者の日を体験できます。

公式サイトによると、2023年は11月4日にパレードが開かれるとのことです。

ミスキック|死者の日の聖地


photo by Keiko Kawanami

先に紹介したメキシコシティの死者の日パレードを見る人に併せておすすめしたいのが「死者の日の聖地」とも言われている「ミスキック」。

メキシコシティから電車とバス、もしくはタクシーで行くことができ、メキシコシティの現代的なものとはまた違う、伝統的な死者の日を体験できます。


photo by Keiko Kawanami

街の中心地にあるサン・アンドレス・ミスキック教会の横にある墓地は、お墓がマリーゴールドなどで飾り付けられ、日本のお墓とは違って豪華な様子に。

都会のメキシコシティとはまた少し違った死者の日を体験できるので、メキシコシティに行くならぜひミスキックにも寄ってみてください。

オアハカ|ど定番!伝統的な死者の日


photo by Neko
オアハカ州は先住民が多く住むエリアとしても知られており、「メキシコで最もメキシコらしい場所」とも言われています。

その中でもオアハカ市周辺での死者の日は、祭壇が各地に設置され、お墓の飾り付けも豪華なことで有名。伝統衣装を着たり骸骨メイクをした人たちのパレードが行われたりと、メキシコ感溢れる死者の日を体験できること間違いなしです。

グアナファト|写真映えを狙うならここ


photo by Keiko Kawanami

カラフルな家々が立ち並び、まるで絵本の中のようだとして人気沸騰中のグアナファト。この街も、死者の日に訪れるのがおすすめです。

普段からとても可愛い街なのですが、死者の日になると、街中の石畳の道が染色したおがくずや花、砂などでできた絨毯で彩られて可愛さ倍増。絨毯を見下ろせるので、2階に店を構えるレストランで食事をするのがおすすめです。

すべて絵柄が違うので、この絨毯を見て回るだけでもグアナファトの死者の日を楽しめますし、夜には改造された車が街を走ったり、鼓笛隊が演奏していたり。大都市のような派手さはないものの、地元の人たちが楽しく死者の日を過ごす様子を見ることができます。

メキシコを訪れるなら死者の日に決まり!


photo by Keiko Kawanami

この他にも、最も伝統的な死者の日を体験できると言われている「ハニツィオ島」、メキシコ国内最大の祭壇がある「メテペック」など、死者の日スポットは多くあります。

また、死者の日の期間にだけ売られている「パンデムエルト」というパンがあったり、顔にペイントをした人が歩いていたりと、普段のメキシコでは体験できないこともたくさん。

みなさんも死者の日に合わせてメキシコを訪れ、死を生の延長と考えて死すらポジティブに受け入れている、日本とは違うメキシコの死生観を感じてみてはいかがでしょう。

ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は39ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

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