ライター
Shio Yamasaki 沖縄の海を伝える人(webライター/フォトグラファー)

90年横浜生まれ。 23歳でTABIPPOのイベントで旅と写真の楽しさを知る。旅で訪れた波照間島で海の美しさに感動。キライだった海が大好きになり、2020年沖縄へ移住。「しおんちゅ」として、沖縄の海を守るための発信活動を行っている。関心があるテーマは、海と人にやさしい観光のあり方。

ジメジメとした梅雨が明け、沖縄は一年で最もにぎやかな夏本番を迎えました。写真好きの旅人なら、一度は訪れてみたいと思う旅先のひとつが、「八重山諸島」です。
八重山諸島には、島旅好きに人気の石垣島や西表島、波照間島などが属し、手つかずの大自然が残る幻想的で美しい場所。島の人たちによって大切に受け継がれてきた美しい沖縄の原風景を、肌で感じることができます。沖縄本島とは異なる伝統文化、生き物との出会いを楽しめるのも、大きな魅力となっています。

八重山諸島には、沖縄本島とは異なる独自の文化が根づく

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photo by photo AC
沖縄県に属する八重山諸島には、独自の文化や歴史があり、そこでしか見られない暮らしが今も大切に受け継がれています。
たとえば、歓迎を意味する本島地域の方言は「めんそーれ」ですが、八重山諸島では「おーりとーり」という言葉になります。また、八重山地域にしかないお祭りもあって、それを目当てに訪れる人も多いんです。

ひとつご紹介させていただくと、石垣島では旧暦7月の旧盆に行われる、「アンガマ」という伝統的なお祭りがあります。地域の若者たちが先祖供養のために仮装をして、集落の家々をまわります。これは、亡くなった方のお宅で音楽を演奏しながら、木製のお面をつけた「ウシュマイ(おじいさん)」と「ンミー(おばあさん)」が、あの世の話をするという一つの伝統行事。お面をつける意味は、親の霊には直接顔向けできないけど、感謝の気持ちは伝えたいから」という一説があると言われています。

八重山諸島って、どんなとこ?

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八重山諸島は、沖縄本島から南へ400km以上離れた、沖縄最南端の離島地域です。八重山のことを方言で「やいま」とも呼びます。
2023年現在、八重山諸島には12個の有人島が存在するのですが、それぞれの離島を結ぶ橋はありません。船または飛行機が、それぞれの島を行き来するための貴重な交通機関となっています。

また、石垣島と西表島の間の海域には「石西礁湖(せきせいしょうこ)」と呼ばれる日本最大のサンゴ礁が広がっています。この名前は、石垣島の「石」と西表島の「西」の文字から名付けられました。生態系が非常に豊かな海として、八重山諸島の重要な経済基盤に。

今回は、数ある離島の中でも特に人気がある4つの離島をご紹介します。それぞれ異なる魅力があり、何度訪れても飽きることのない島ばかりです。お目当ての離島をチェックしてみてくださいね。

離島めぐりの始まりは、ここ石垣島から

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石垣島は、八重山地域の中心地であり、西表島に次いで二番目に大きい島です。県外から飛行機のアクセスが便利なことや、各離島への中継地点として宿泊施設や飲食店が多く集まることから、たくさんの旅人が訪れます。

島内には、沖縄最高峰の於茂登岳(おもとだけ)や、マーペーの通称で知られる「野底岳」などの高い山があります。
また、人気のスポットは島の中部に位置する「川平湾」と、最北の「平久保崎灯台」です。さらに、ダイビングやシュノーケルでは「マンタ」との出会いを求めるダイバーも多く訪れます。

アクセス抜群!日帰りで行ける竹富島

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石垣島から船で10〜15分、日帰りもできるというアクセスの良さから大人気なのが竹富島です。この島では「歴史的景観形成地区保存条例」に基づき、大切に守られている赤瓦の古民家が並ぶ貴重な集落を見ることができます。

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平坦な島なので、レンタサイクルや牛車でゆったりと島を回るのがオススメ。
国の有形文化財に指定されている「西桟橋」から眺める夕日は、多くの旅人を癒してくれます。潮が引いた時だけに現れる幻の「コンドイ浜」や、星砂を見つけることができる「カイジ浜」も訪れておきたい人気のビーチです。

島の9割が手つかずの大自然。世界も注目する西表島

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石垣島からフェリーで40〜50分の船旅で訪れることができるのが、イリオモテヤマネコで有名な西表島です。島の中心地は国立公園に指定され、一般の人は立ち入りが禁止されています。
「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる西表島には、島の9割が手つかずの大自然。固有の生物や原生林などの貴重な動植物が多く存在します。

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中でも、ピナイサーラの滝は沖縄最大の落差を誇り、TV特集される人気スポットの一つです。
また、広大なマングローブの林は、山から海まで連続する自然や命の営みを体感できるとして、自然好きの旅人に人気の島となっています。

一度は行きたい、南の果ての波照間島

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石垣島から大型高速船で80分。日本の有人最南端の離島として、多くの旅人が憧れるのが波照間島です。島の名前の由来は、「果てのうるま(サンゴ礁)」を意味しているといわれています。
上陸してまず訪れたいのは、一番人気の自然海岸「ニシ浜」でしょうか。どこまでも続く遠浅の海は、目を疑うほど青くキラキラと輝き、「波照間ブルー」と呼ばれています。

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昔ながらの集落には多くのヤギや牛が暮らしており、ありのままの島暮らしを垣間見ることができます。

さとうきび畑を眺めながら、ゆったりサイクリングも楽しめます。
ここは星空に一番近い場所とも言われ、12月〜6月のお天気の良い日には「南十字星」を見ることができるかもしれません。真っ暗な夜空に輝く満点の星空は、一度は見ておきたい最高の絶景です。

写真家 立木義浩さん 沖縄へ


photo by 立木義浩

photo by 立木義浩
梅雨が明けて暑い夏が始まる八重山諸島に、85歳でいまもなお現役の写真家として世界を舞台に精力的に活躍される立木義浩さんが訪れました。
沖縄が日本へ本土復帰した日に訪れて以来、久しぶりの沖縄の訪問だという立木さん。
今回の撮影には特別な思いがあったといいます。

厳しい暑さを感じさせない行動力で島々を渡り、現地で出会った方々とその場で打ち解け、シャッターを切るというのが立木流の撮影スタイル。
今回は、八重山諸島で暮らす人びとの暮らしや風土を心で感じながら、島の「今」を残す写真を撮影してきました。

写真は「自分の心に素直に撮る」からおもしろい


photo by 立木義浩

photo by 立木義浩

photo by 立木義浩
どれも、まるでそこに写真家が存在していないような、自然な距離感で撮影されています。だれもが通りすぎてしまうような日常の風景を、飾らず、ありのままに、未来へ残すのが立木さんのスナップ写真。

「自分の心に素直に撮った写真が一番おもしろい」と語る言葉通り、独自の視点や感性で撮影されたものが多いことが特徴です。
青い海だけでなく、広い空や原生林、何気ない島民の生活風景を写真に収める世界観は、自分にはない視点で、非常に新鮮な気持ちになりました。
島へ溶け込むように丁寧に歩み寄り、関係性を築いてシャッターを切った一枚一枚だからこそ、特別な写真として私たちの心に残るのだと思います。

「沖縄という土地を、軽々しい気持ちでは撮影できないと思った」と語る立木さん。どのような思いで八重山諸島の人や自然と向き合い、写真を撮影されてきたのでしょうか。

写真と映像で日本の「今」を未来へつなぐ【日本再発見プロジェクト】


photo by 立木義浩

photo by 立木義浩

現在キヤノンマーケティングジャパンでは、日本の「今」を写真文化とともに未来へと語りつなぐ【日本再発見プロジェクト】を開催しています。

数千の島、四季、動物、人とその営み。
日本には「日本」がまだ気づいていない光景であふれている。
その素晴らしさを写真で掘り起こし、
日本の「今」を写真文化とともに未来へと語りつなぐ
日本再発見プロジェクトHPより引用)

この国には多様性にあふれた自然・暮らしが多く存在しており、一つひとつが素晴らしい魅力を持っています。しかし、日々の生活でそれらを「あたりまえ」に見ている私たちは、本当のすばらしさを感じることができているでしょうか。

あたりまえに見ている、今この瞬間をカタチに残して、未来へバトンをつなぐことができるのが「写真」です。プロの写真家の写真を通して、日本の「今」を写真に残すことで、さまざまな魅力を再発見することができるプロジェクトです。
日本再発見プロジェクト

8/26(土)には日本再発見プロジェクトのイベントとして、ご本人によるギャラリートークが実施されます。私も参加するのですが、立木さんの思いに写真だけでなく言葉を通して触れることができるということで、今からとても楽しみです。

第一弾:世界でスナップ写真を撮り歩く写真家 立木義浩さん

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photo by 日本再発見プロジェクト
そんなプロジェクトの第一弾の写真家が、先にご紹介した立木義浩さんです。
第一回イベントは、プレオープニングイベントとして実施。6月17日に一日限定で東京都荒川区のアート・イベントスペース「元映画館」での展示とギャラリートークを開催しました。
第二回イベントは、6月20日〜7月1日に、キヤノンギャラリー銀座にて開催され、今回、キヤノンギャラリー大阪で念願の第三回イベントが行われます。

写真は撮って終わりではなく、プリントされた写真が見る人と出会うことで初めて完成します。会場で実際に写真を見ることで、写真家とおなじ目線に立ち、生の思いに触れながら、現場の世界観や臨場感を感じることができます。

大阪での写真展は2023年8月22日(火)〜9月2日(土) にキヤノンギャラリー大阪で行われます(*日曜・月曜・祝日休館)
8/26(土)にはご本人によるギャラリートークも実施。
こちらのWEBサイトからお申込みいただけます。

立木義浩写真展 日本再発見 『ISLAND HOPPING』ギャラリートーク
※すでに定員に達している場合がございます。ご了承ください。

日本でここだけ、「今」しか見られない八重山諸島の魅力を探す旅に出よう!

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photo by Shutterstock
世界に誇る美しい海が広がる八重山諸島。しかし、豊かな自然以外にも、古くから受け継がれてきた独自の魅力が、今もなお生きています。私たちが訪れる旅先には、大切に守られてきた暮らしや想いがあります。有名な観光地を訪れるだけでは気づくことができない、八重山諸島ならではの魅力に触れ、今しか見られない美しい景色を見に来てください。

八重山諸島の「ありのまま」を見てきた立木さんの写真と語りを通して、今に残された八重山諸島の魅力を再発見する旅へ、一歩を踏み出してみませんか?

■イベント情報
・立木義浩写真展 日本再発見「ISLAND HOPPING」:2023年8月22日(火)〜9月2日(土) *日曜・月曜・祝日休館
・立木義浩さんによるギャラリートーク:2023年8月26日(土)13:00〜14:00を予定
※ギャラリートークは事前申込制です。
・住所:大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1F
・場所:キヤノンギャラリー大阪
・地図:
・公式サイト:https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/article/saihakken/
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Shio Yamasaki 沖縄の海を伝える人(webライター/フォトグラファー)

90年横浜生まれ。 23歳でTABIPPOのイベントで旅と写真の楽しさを知る。旅で訪れた波照間島で海の美しさに感動。キライだった海が大好きになり、2020年沖縄へ移住。「しおんちゅ」として、沖縄の海を守るための発信活動を行っている。関心があるテーマは、海と人にやさしい観光のあり方。

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