ファベーラで絶対にしてはいけないこと。命はひとつ。
そんなファベーラで、絶対にしてはいけないことが1つだけあります。それは、そこに住む人々の写真を撮影すること。壁や風景を撮影するのは問題ありませんが、人々を撮影するのは暗黙の了解で禁止されています。
確かにそれはなんとなく理解できます。旅行者が自分たちのことをパシャパシャと写真を撮っていったら、「見せ物じゃないぞ!」って思いますもんね。
筒井康隆の短編集“時をかける少女”で主人公は「規則なんて、破るためにあるのよ」なんて言っていましたが、ファベーラではそんなこと絶対に言えません。殺されちゃいます。
ファベーラ内では子供たちが無邪気にサッカーを楽しんでいて、そんな純粋な笑顔をついつい写真に収めたいと衝動に駆られてしまいがちですが、ダメです。殺されちゃいます。
なぜそんなことを言うのか? 実は、僕自身がちょっとした事件(?)に巻き込まれたからです。
僕の妻が落書きや屋根などの写真を撮っていた時のことです。思いがけず、撮影した写真に少女が写ってしまったのです。たまたま近くに(見た目がめちゃくちゃ恐い)ギャングの方がいて、注意を受けました。
「お前たち、今あの女の子を撮っただろ!」と、銃を片手に。
ファベーラに連れて行ってくれた現地在住の日本人の方が間に入ってくれて、なんとかことなきを得ましたが、もしあの時あの人がいなかったら……。
ファベーラで写真を撮る時は、くれぐれも人の写真を撮らないでください。銃を片手にギャングの方から注意を受けてしまいます。
映画「シティ・オブ・ゴッド」について
ファベーラについて詳しく知りたい方は、ぜひ「シティ・オブ・ゴッド」という映画をチェックしてみてください。1970年代前後のリオデジャネイロにあるファベーラが舞台になっている映画です。
強盗や麻薬ディーラーなどをしながらお金を稼ぐ、ストリートチルドレンたちの抗争について描かれた実話になります。
2002年のカンヌ国際映画祭に出品されたり、2004年のアカデミー賞にノミネートされたりと、世界的に有名な映画です。
平和な日本に住んでいる僕たちからは、同じ地球で起きた出来事とは思えないほどスリリングな内容で、本当に衝撃的でした。
僕は、サンタ・マルタに行く前日に、予習としてこの映画を観たのですが、かなりビビりました。現在はこんな風ではないと知ってはいたものの、「明日おれたちはここに行くのか…」と。
ファベーラに行ってみた感想
同じ地球の上にこんな暮らしをしている人たちがいるのか!と、とにかく衝撃でした。芸能人の不倫やセクハラ・パワハラでワイドショーが盛り上がっている日本が、いかに平和なのか身に染みました。
「日本は治安が良い」なんて話をよく聞きますが、それって実際海外に行ってみないとわかりませんよね?僕自身も、世界一周して初めて「日本は治安が良い」って気付けました。
と同時に、自分がいかに無知であるかを知りました。地球の裏側にはこんな街があって、こんな暮らしをしている人がいるだなんて、日本にいた時は夢にも思っていなかったからです。それに、自分の目で生で見るってやっぱりインパクト違いますよね。
世界一周して、「百聞は一見に如かず」という言葉の意味を痛感しました。自分の目で実際に確かめてみると、自分の魂を揺さぶるような面白い発見がありますよ!