絶景にあふれたイスタンブール
そして数々の観光地を回りました。イスタンブール大学の大学院で歴史を研究するファティーは、それぞれの場所でトルコの歴史や言い伝え、小話を混ぜて紹介してくれました。
イスタンブールはアジアとヨーロッパの架け橋と言われ、ボスポラス海峡を挟んで東側がアジア、西側がヨーロッパの片隅と言われているそうです。
昔ながらのトルコの生活が残るアジア側と比べ、ヨーロッパ側は石造りの建築や街の色使いなど、景観も一気にヨーロッパ感が増していきます。
ところどころにモスクや宮殿といった歴史的建築が並び、西洋の優雅さと、アジアの親近感が絶妙に調和し、穏やかで心優しいトルコ人の活気に満ちたこの街に魅了されました。
また街にはたくさんの可愛い猫がたくさん暮らしていて、食事中は足元で甘えてきます。
観光案内の途中何度かファティーはお祈りのためにモスクに立ち寄りました。
99%がイスラム教徒であるトルコ人の生活とモスクは切り離せません。非日常の観光地の中にはトルコ人にとっての日常があったのです。
たくさんの友人も紹介してくれました。みんな日本の文化に興味があるようで、質問は絶えず、日本について知っている、あることないことを自慢していました。
坂本九の「上を向いて歩こう」や、「いとまきのうた」を知ってるトルコ人がいたことはびっくりでした。
楽しみにしていたトプカプ宮殿を臨時休業で見ることができなかった時、残念そうにしている私にファティーは笑顔で言いました。「良いことも悪いことも全部が旅なんだ。」
何か、旅の真髄を学んだような気がしました。
文化も人種も違う遠く離れた異国の地で、全てが予定調和に進むのは確かにつまらないこと。予想外のことや理解できないことが起こる方が当たり前なのかもしれません。そんな瞬間との出会いこそが、旅をする意味なのかもしれません。
「またイスタンブールに来る理由ができたね」そうファティーは言い、一緒に笑いました。
さよならイスタンブール
3日間に渡る観光ツアーの最後に、ファティーは実家に招待してくれました。「遠い日本からよく来たね。」「私、日本人が大好きよ。」と家族みんなでもてなしてくれました。ご飯をご馳走してくれただけでなく、トルコのお菓子やお土産もたくさん持たせてくれました。
「あなたが日本に帰っても幸せを祈っているわ。」ファティーのお母さんはそう言って送り出してくれました。こうしてイスタンブールでの“2人”旅は幕を閉じたのです。
本当の1人旅
ファティーは事前に、「トルコにはイスタンブール以外にもたくさん観光地があるから行くべきだ」と教えてくれました。
イスタンブールを離れた私は長距離バスに乗り、アンカラ、パムッカレ、カッパドキアを“1人”で訪れました。行く先々でトルコ人の優しさに助けられ、たくさんの絶景を目にすることができました。
All photo by akihiro saito
1人旅に必要なのは「旅がしたい」という想いと、ほんの少しの勇気だけでした。一歩踏み出してしまえば、そこには想像を超えた絶景や出会いが待っています。
優しい人々に囲まれ、美味しいご飯やたくさんの絶景に満ちあふれているトルコは、大好きな国の1つであり、今でも旅をするときの心の原点になっています。
1人旅の途中、トラブルに巻き込まれることもありましたが、それでも大丈夫です。「良いことも悪いことも全部が旅」なのですから。