ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

いま、皆さんはどれくらい自由ですか?

旅をしているときと比べて、日常の自由度は大きく違いますか?

そもそも、自由になりたいという願望はありますか?

過去の歴史は「自由」の価値を雄弁に語ります。フランス革命では自由を求めて大量の血が流れました。アメリカ独立戦争のキッカケになったのは「Give me liberty, or give me death(自由を、さもなくば死を)」という言葉です。

そしていま、私たちはさらなる「自由」を獲得していく時代に生きています。

リモートワークやワーケーション、多拠点移住など、自由なライフスタイルを実現させてくれるキーワードがメディアで溢れています。

自由の扱い方を知る人と知らない人で二極化する「自由格差」の時代。そんな中で、旅は自由を学び自由力を高める絶好の機会なのではないでしょうか。

自由な人とはどういう人なのか

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分かりやすくするために、4種類のタイプに分類してみましょう。

(1)自由を作ることができ、活用もできる人
(2)自由を作ることはできるが、あっても活用できない人
(3)自由を作ることができないが、あれば活用できる人
(4)自由を作ることもできず、活用もできない人

(1)だけが自由人です。あとは不自由人ということになります。自由に関して、本記事では「作る」フェーズと、「活用する」フェーズを分けて考えてみます。

「自由」はいとも簡単に「義務」に変容する

まずは自由を「作る」フェーズについて考えてみます。その前に、そもそも「自由」とはどういう状態なのか。平たくいえば「やってもいいし、やらなくてもいいよ」という状況です。

私は「自由は義務に変容しやすい」と感じています。たとえば大学の部活やサークル活動。別にやらなくても単位が取れなくて卒業できないというわけではありません。

入部前は「やってもいいし、やらなくてもいい」という自由だったはずが、入部してみると、「週4回は練習をしなければならない」「部内で会計を担当することになったので、部費をみんなから徴収しなければならない」など、いろんな義務が発生してきて、日常が「やらなければならないこと」で埋め尽くされてきたりします。

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自由はあっさりと義務に変換されるのです。

最初は、「やりたい」から選んだことなのに、気がついたら義務感のみで動いていることとか、結構あるのではないでしょうか。義務感が強くなってきたら、手放してみることが大切です。

手放してみると、また「やりたい」という気持ちが復元してくるケースも多くあります。「やらされ感」がなく活動することが精神的にも健全です。

義務感ではなく、時間を忘れてやりたいことに没入できている人はそのままでいいと思いますが、睡眠時間を削りながら「やらなければならないこと」と日々、苦悶しながら格闘している人は、「手放す」スキルを習得する必要があるのかもしれません。

自由を作るためには、「義務」の断捨離が有効です。

ブタに真珠、ニンゲンに自由

次に、自由を「活用する」フェーズについて考えてみます。

幸せのカタチが100人100通りであるように、最適な「自由の活用方法」も人それぞれです。自分にとっての最適解にどうすれば気づけるかがポイントです。

ドイツ生まれの精神分析学者であるエーリッヒ・フロムが書いた「自由からの逃走」。そこには、「自由は孤独だし、服従しているほうが楽だから、人は自由から逃げてしまう」ということが書かれています。

確かに「週休7日は地獄」という人もいます。圧倒的自由は「退屈」という厳しい罰則を伴う可能性があります。だから、人は義務を手放せないのかもしれません。

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逃げ出したくなるような豊潤な「自由」とガチンコで勝負できる舞台があります。それが旅です。旅は日常の多くの義務から切り離された自分を体験できます。

旅先では義務はほとんどありません。自由に包まれます。

自由に浸るとき、これまでやってきた時間の使い方(服従に逃げ込む)とは違った方法を開発せざるを得なくなります。その体験こそが、「自由筋」を鍛えていく能力開発につながります。

「ブタに真珠」「ネコに小判」「ニンゲンに自由」とならないように、また、宝のもちぐされにならないように、旅で自由を体験する場数を増やしていきましょう。自由を扱う武器を手にいれるために。

「他由」ではなく「自由」で生きる

約100年前、イギリスの経済学者であるケインズは未来をこう予測しました。

『2030年には週の労働時間が15時間になる』

予言の時まであと10年。

AIの実用化が急速に進み、BI(ベーシックインカム)という制度が絵空事ではなくなってきています。自由時間の作り方だけでなく、自分なりの活用方法を編み出していく必要があります。

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福沢諭吉は「Liberty」を「自由」と訳しました。自らを由(よし)とする。自由を極めるには「自分軸」が重要です。日本人は「他人に迷惑をかけてはいけない」という呪縛が強すぎて、「他由」で生きている人も多いのではないでしょうか。

他人が由(よし)というかどうかが気になります。日本人が「ランキング好き」と言われたり、行列のできる店に並ぶのも、他人の評価を重視するからです。

「他由」ではなく「自由」で生きる方法は旅からたくさん学べます。自由から逃走するのではなく、自由に対する耐性をつけ、自由と真正面から向き合える自分をつくっていきましょう。

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永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

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