ライター
SHIHO トラベルライター

旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

ドイツ旅行と言えばベルリンの壁に、美しいお城や教会、ドイツビールにソーセージ……。今回ご紹介する「フォーゲルザング村」は、そんな王道の観光地からはかなり外れた、ガイドブックには絶対に載っていない少々マニアックな場所です。

一言で言うと廃墟がある村なのですが、人目を避けるかのように森の奥にひっそりと眠る建物は、ある意味フォトジェニック。廃墟に興味が無い方も、この記事を読むとちょっと行きたくなるかもしれませんよ!

■補足事項
現地の人によると、この廃墟は取り壊しが決定しています。立入禁止などの看板は見かけませんでしたが、壊れた建物が多いので、建物内部へ入る際には充分に注意をし、観光は自己責任でお願いします。

 

森に囲まれたフォーゲルザング村の廃墟とは

photo by SHIHO

フォーゲルザング村はドイツの首都・ベルリンから北へ約65kmの場所に位置します。

この村には森の中に隠して造られた、旧ソ連軍の「フォーゲルサング軍事訓練所」の跡地があります。訓練所がいつ造られたか、正式な文献は見つかりませんでしたが、大体1946年頃と言われています。

その規模は大きく、当時は15,000人もの人が住んでいたそうで、軍事施設以外にも商店や娯楽施設、病院や学校もあり、一つの小さな村だったと言います。

現在はそこに住む人はおらず、森の中に村ごと打ち捨てられた広大な規模の廃墟となっています。

 

ベルリンからフォーゲルザング軍事訓練所までのちょっと楽しい道のり

photo by SHIHO

ベルリンからフォーゲルザング村までは電車で約1時間20分。電車は1時間に1本しかない上に、降りる駅の前で「降車ボタンを押す」という、電車なのにバスのような変わったシステムです。

もちろん、ドイツの一般的な電車は日本と同じように毎回駅で停車するので、この時点でかなり田舎へ向かっているであろうことがわかりますね。

フォーゲルザング駅は完全な無人駅なので、電車の切符は車掌さんに渡します。

photo by SHIHO

駅からはひたすら森に向かって歩きます。訪れたのは2月で、まだ寒い時期だったため、雪も少し残っていました。

車も人もいなく、木の葉や雪を踏む音しか聴こえない静寂な森は、これこそ私のイメージする「ドイツの森」だなぁと感じました。

村の名前である「フォーゲルザング(Vogel sang)」は「鳥の歌」という意味。冬だったせいか鳥の鳴き声はあまり耳にしませんでしたが、春や夏には多くの鳥が歌ってそうですね。

 

森の奥にひっそりと佇むレーニンの壁画

photo by SHIHO

森の中をどんどん歩くと、ちらほらと廃墟となった建物が現れます。さらに奥へと進むと、突如現れるロシアの革命家・レーニンの壁画!

現代社会においてロシア外でのレーニンの印象は悪いため、こういった壁画がロシア国外で見られることはほとんどなく、非常に貴重です。廃墟マニアはテンション上がること間違いなし。

photo by SHIHO

レーニンの壁画の横には、ここがかつて軍事基地であったことを象徴するような兵士の絵と共に、共産党のシンボルマークである鎌と槌(つち)と赤い星が描かれています。

壁画にある文字は読むことはできませんが、ロシアで現在も使われているキリル文字というもの。

photo by SHIHO

廃墟の中に落ちていたこちらの看板もキリル文字。あとでロシア人に聞いてみたところ「兵士達へ。食堂の食器を持ち出すことは、固く禁じています」という内容でした。

この看板があった建物はかつて食堂だったそう。文字が分かると当時の生活がよりリアルに感じられますね。

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SHIHO トラベルライター

旅と猫をこよなく愛し、訪問国は70ヶ国以上。猫が多い町では観光せずに猫を追いかけ回しがち。未承認国家や小国、奇祭や廃墟などマニアックな場所を好むため、写真映えする女子旅にやや憧れを抱いている。

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