ライター
Jyaiko カタール在住/約100ヵ国渡航

横浜生まれ中東育ち。現在はカタール在住。今まで住んだことのある国はエジプト、アメリカ、カタール。人生の約半分は海外暮らし。高所恐怖症で飛行機も苦手なのに、旅がしたくてなぜか客室乗務員として空の上で働いている。現在行ったことのある国は約100ヵ国。興味あることは国際協力とモアイとラーメン。

これから旅に出ようとしているみなさん準備は万端ですか?せっかく旅行するならローカルなストリートフードなども楽しみたいと考えているバックパッカーの方も多いと思います。しかしそういうところでの食事は、食あたりにならないかなど衛生面が若干気になることがありますよね。

今回は東南アジアやインド、アフリカなどを旅する人たちの間で有名な「ジアルジア症」、通称「たまごげっぷ病」についてお話したいと思います。

これを読んでおけば、いざ自分がたまごげっぷ病になったとしても、落ち着いて対処できるようになるはずですので、是非読んでから旅に出ていただきたいと思います!

恐怖のたまごげっぷ病ってなに?

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バックパッカーや旅人の間では、通称「たまごげっぷ病」と呼ばれていますが、正式名称はジアルジア症(Giardiasis)といいます。その理由は、ズバリ「たまごの臭いがするげっぷがでる」から。私が経験したのは硫黄のようなゆで卵のような、何とも言えない臭いのげっぷでした。

ジアルジア症は寄生虫病で、病原体はランブル鞭毛虫という原虫です。主な感染源は感染者の糞便等で汚染された飲食物や、生野菜や生ジュース、煮沸されていない生水などが挙げられます。

photo by Shutterstock なんだか悪そうな顔していますよね……。

現在の日本ではほとんど見られなくなった寄生虫病ですが、戦後の日本では感染例が多数あったそう。現在の感染事例のほとんどは、衛生環境が整っていない発展途上国で見られるとのことで、これらの国への旅行者、特に東南アジアやインドからの旅行者の間に多いと言われています。

中には赤痢などと混合して感染するケースもあるとのこと。ガンジス川で泳ぐと感染する確率が高いという話も聞いたことがあります……。

たまごげっぷ病にかかるとどんな症状がでるの?

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たまごげっぷ症の主な症状は下痢、倦怠感、腹痛、吐き気、食欲不振など通常の食中毒と似ています。それに加えて、たまごを食べていないのに硫黄のようなたまご臭いげっぷが出たらたまごげっぷ病を疑ってください。

たまごげっぷ病の病原菌が体内に入ってから症状がでるまでの期間は、約7日〜10日といわれています。

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私はキリマンジャロ登山の途中から発症しました。下痢や吐き気などは高山病の症状でもあるので始めは高山病を疑っていました。

とにかく気持ち悪いし食欲も湧かないけど山登りするために無理矢理食べさせられ、でもすぐに下痢してしまう……という散々な状況でした。

高山病の場合は高度を下げたり下山すればよくなるはずとのことで下山する決意をしたのですが、私の場合は山の麓まで下りてきてもムカムカ感や下痢は治らず……。

 

そして、たまごを食べていないのにとても不快なたまご臭いげっぷがでるから「おかしいなぁ」と思いネットで調べたら、すぐにこの「たまごげっぷ病」というのが出てきて驚きました。そしてその症状が全て当てはまっていたので、自分はたまごげっぷ病にかかったのだと、その時確信しました。

たまごげっぷ病の治療方法は?

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こんなたまごげっぷ病、もしかかってしまったらどうするの?と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、きちんと治療できる薬があるので安心してください。

薬の名前はチニダゾールやメトロニダゾールなどの抗トリコモナスの薬です。この薬を経口投与すれば徐々に回復していき、2日もすれば元の元気な状態に戻ります。

 

たまごげっぷ病がわりとよく知られている国では、薬の名前は各国によって違えども、TinidazolやGiardiasisの薬といえば薬局でも簡単に処方してくれるようです。

私もタンザニアの小さな村の病院で、お医者さんに「Giardiasisだと思う」と伝えて、この薬を処方してもらいました。最初に薬を飲んだ後に、吐き気がして戻してしまったのですが、その後、薬局に行き同じ薬を買い、それを飲んで寝たらだいぶ気分が良くなりました。

薬を飲んだ日の夜には少しずつですが食欲が戻り、次の日にはげっぷも治まりだいぶ回復して安心しました。

photo by Shoko_Jyaiko 私がタンザニアの病院で処方してもらった薬

ちなみに私は保険なしで病院に行ったのですが、病院で支払った診察料は2〜3千円程度、この薬は600円くらいだったと記憶しています。

たまごげっぷ病を予防するにはどうしたらいいの?

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薬を飲めば治るといってもやはり誰しも病気にはなりたくないですよね。でもせっかく海外にいったならローカルなストリートフードも食べてみたい。

たまごげっぷ病の予防策としては、トイレに行った後や動物を触った後は必ず手洗いをすること。山登りやキャンプをする際にはきちんと水を十分に煮沸、そしてフィルターしてから飲むこと。なるべく衛生的な場所で食事をすることなどが挙げられます。

 

また、たまごげっぷ病の病原体であるランブル鞭毛虫は、外部環境や塩素にも強く、綺麗な川や湖の水やプールの中でも死滅しにくいという特徴があります。そのため、一見綺麗に見える河川やプール、またはガンジス川などでも、泳ぐ際には水を飲み込まないようにする、泳いだ後は手や体を十分に清潔な水で洗う、というのも予防策のひとつです。

恐怖のたまごげっぷ病も旅の思い出?

たまごげっぷ病は現在の日本ではほとんど見られなくなった寄生虫病です。私もタンザニアに行くまでは名前も知ることがありませんでした。

しかし、実際になってみてこれがバックパッカーに有名なたまごげっぷ病と知り、遠い異国に来たんだなぁという気持ちになりました。今では旅の思い出のうちのひとつです。

たまごげっぷ病の症状はとても辛くて旅行どころではなくなってしまいますが、薬を飲めばわりとすぐに回復します。

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この薬は国によっては薬局で買うこともできます。私も初めは病院で処方されて購入しましたが、2回目は薬局にて処方箋なしで買うことができました。このように簡単に手に入れることができるので、次の旅に備えて常に常備しておくと安心ですね。

バックパッカーや山登りをする予定の方は常備薬として是非携帯しておくことをオススメします。

そして健康第一で楽しく旅行に行ってらっしゃい!

ライター
Jyaiko カタール在住/約100ヵ国渡航

横浜生まれ中東育ち。現在はカタール在住。今まで住んだことのある国はエジプト、アメリカ、カタール。人生の約半分は海外暮らし。高所恐怖症で飛行機も苦手なのに、旅がしたくてなぜか客室乗務員として空の上で働いている。現在行ったことのある国は約100ヵ国。興味あることは国際協力とモアイとラーメン。

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