ライター
鈴木 直哉 旅するデザイナー

旅するデザイナーの鈴木直哉です。リモートで仕事をしながら世界を回っています。現在グアテマラに在住しています。

3.村別ウイピルのご紹介

湖周辺には幾つかの村がありますが、村々で異なる模様や色使いが施されたウイピルが着用されています。以下では、主要な村のウイピルの特徴を順を追ってご紹介します。

 

①サンティアゴ・アティトラン(Santiago Atitlan)

Lapsus Temporisさん(@lapsus_temporis)がシェアした投稿 – 2018年 5月月5日午後4時30分PDT

アティトラン湖で一番大きい村であるサンティアゴ・アティトランでは、細かい鳥の刺繍が施されたウイピルが着用されています。格子模様の生地に、首元を飾るように鳥や花の模様が刺繍してあります。

また同じデザインで男性用のズボンもあり、年配の人が履いています。

 

②パツン(Patzun)

Patzún de Mis Recuerdosさん(@patzundmr)がシェアした投稿 – 2017年 9月月15日午後1時48分PDT

観光客があまり訪れないパツンの村のウイピルは、知る人ぞ知る美しいデザインをしています。エンジ色の上質な織物の生地の上に、パンジーやユリの細かい刺繍が施されています。

また首元を覆うように、草花の刺繍がリースのように円形にデザインされているものもあります。

このパツンの村は旅行者には少々アクセスしにくい場所にあるのですが、パナハッチェルの市場でも手に入るので時間のない方はそちらを利用するのが良いと思います。

 

③サン・アントニオ・パロボ(San Antonio Palopo)

Elisabet Vasquezさん(@elisabet_vy)がシェアした投稿 – 2018年 3月月8日午後1時03分PST

山の斜面に開かれた村のサン・アントニオ・パロンポでは、青、水色、緑、紫などの寒色の縦のストライプが特徴的なウイピルが着用されています。

落ち着いた青の色合いと洗礼されたストライプのデザインで、個人的にはアティトラン湖周辺のウイピルの中で一番オシャレで日本でも十分着用できると思います。

ちなみに、昔は赤いものが主流だったのが、赤紫、紫、青紫、青と変化していき、今は緑のものが主流になりつつあるそうです。

 

④サン・ルーカス・トリマン(San Lucas Toliman)

Andreaさん(@andrea_hovo)がシェアした投稿 – 2018年 5月月2日午後5時17分PDT

湖の南東に位置するサン・ルーカス・トリマンのウイピルは、細かい馬や鳥などの動物が一面にびっしり刺繍されているのが特長です。白地の生地に縦縞が主流です。

 

⑤チチカステナンゴ(Chichicastenango)

F E R N A N D Oさん(@fer_juannx)がシェアした投稿 – 2018年 5月月3日午後5時03分PDT

中米一大きいと言われる日曜市でも有名なチチカステナンゴでは、2種類のウイピルが着用されています。

まず、赤を中心とした極彩色で、ものすごく細かいひし形の幾何学模様がパズルのようにびっしりと刺繍されたウイピル。

そして、黒の下地に花柄(バラ、バンジー、ユリ、マーガレットなど)のモザイクのニードルステッチの一目一目細かい刺繍がしてある派手なウイピルも、チチカステナンゴのものです。

 

⑥サン・ファン・ラ・ラグーナ(San Juan La Laguna)

Tienda B’onilさん(@tienda_bonil)がシェアした投稿 – 2018年 5月月5日午前7時42分PDT

襟周りに虹色のギザギザ模様が施されているポップな印象のウイピルです。また、胸のあたりにはものすごくカラフルな四角い刺繍もされています。

下地は、赤色系のボーダー柄が多いです。

 

⑦サンタ・カタリーナ・パロボ(Santa Catarina Palopo)

この辺りで最も美しい色調を持つといわれているサンタ・カタリーナ・パロボのウイピルは、青地に16ビットにデフォルメした鳥や蝶、馬などの動物の柄が細かく刺繍されています。

青系以外にも、かつて主流だった赤色基調のものや緑、紫色のものも見られます。また、同じ柄の敷物やベルト、男性用のズボンなども購入することができます。

 

⑧ソロラ(Solola)

Te Amo Guatelindaさん(@teamoguatelinda)がシェアした投稿 – 2018年 4月月23日午前9時24分PDT

縦縞を基調としたものすごく細かい柄の織物の上に、重ねてさらに違う細かい柄の刺繍が施してあります。胸元の開き方も特徴的で、V字になっており、首回りの目立った装飾はないものが多いです。

色味は、とにかく沢山の色が使われているのですが、全体でみると落ち着いた渋い色合いとなっています。同じような柄のスカートを合わせていることも多く、全身柄まみれです。

またこの村では、年配の男性も同じ柄の民族衣装を着ていることが多くこちらも必見です。

 

4.現代的なデザインでアレンジして製造・販売しているブランド

マヤの先住民の方々が、自らのアイデンティティに誇りを持って織り、日々着用しているウイピルですが、我々日本人には少々日々の着用は難しいかもしれません。

そんな可愛い模様を目の前にして悶々としているあなたに朗報です。

ここグアテマラでは、マヤの先住民の女性の社会的立場の向上や能力開発のサポートのために、先進国からデザイナーやマーケティング・流通・ブランディング・小売の専門家が来て、マヤの織物を現代的にアップデートして販売しているブランドがいくつかあります。

それらのブランドを紹介させて頂きます!いくつかのブランドはオンライン販売もやっているようなので、気になるものがあれば是非!

 

①TEIXCHEL

Teixchel Tejidosさん(@teixcheltejidos)がシェアした投稿 – 2018年 4月月17日午前7時58分PDT

サン・ペドロ・ラ・ラグーナの製織業者で構成されているTEIXCHEL。母子家庭の母親や、未亡人の方々が家族を支えるために働いているそうです。

TEIXCHELでは彼女たちを経済的に支えるだけでなく、マヤの文化を守るために様々な織物製品が販売されています。

公式サイトはこちら → https://www.teixchel.org/

 

②STELA 9

STELA 9 #madeinguatemalaさん(@stela_9)がシェアした投稿 – 2018年 3月月17日午前8時34分PDT

2010年に設立されたSTELA 9は、2007年当時、考古学者としてグアテマラを訪れたJess Bercovici氏と数人の職人によってスタートしたブランドです。

グアテマラの文化の保存を目的に、現代的な衣類やハンドバッグを販売しています。

公式サイトはこちら → https://www.stela9.com/

 

③LUNA ZORRO

人々や地球規模の世界、創造的な精神、そんな様々な物語を美しい物によって伝えることをモットーに販売しているLUNA ZORRO。

人生のデザインをテーマに作られる衣類は、その名の通り独創的でデザイン性溢れるおしゃれな物ばかりです。

公式サイトはこちら → https://www.lunazorro.com/

 

終わりに

以上、グアテマラのアティトラン湖に住む、マヤの先住民の人々が着用している民族衣装について紹介させて頂きました。

世界の様々な場所で、その土地由来の民族衣装を今も変わらず着用している方々が沢山いますが、このアティトラン湖の土地に住む人々もその例外ではなく、己のアイデンティティに誇りを持って今もこのウイピルを着用しています。

グローバル化の影響により若者は民族衣装ではなく洋服を選ぶようになってきている、とは現地の友人の話ですが、こうした伝統は是非とも続いて欲しいと思います。

ライター
鈴木 直哉 旅するデザイナー

旅するデザイナーの鈴木直哉です。リモートで仕事をしながら世界を回っています。現在グアテマラに在住しています。

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