ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

日本一遠い島がどこなのか皆さんご存知でしょうか?

実は東京都に属しているあの島で、世界中訪れている私にとって一番の場所の一つでもあります。

“遠い”だけじゃない、小笠原諸島・母島という場所

日本一遠い島といわれているのは「小笠原諸島の母島」です。

飛行機は飛んでおらず、東京の竹芝桟橋から船でしかアクセスができず、その船は6日に1回の就航。そして片道26時間もかかるという島なのです。

約2時間で父島と母島を結んでいる、ははじま丸。
2011年に「小笠原諸島」で世界遺産登録されており、天気予報でもよく発されるワードなので「小笠原諸島」と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

そんな小笠原諸島には有人島が二つあり、それが父島と母島です。

現在は無人島になっていますが、他にも兄島、姉島、姪島など、島の名が家族になっておりなんだか愛らしい島々で形成されています。

竹芝⇔父島は小笠原海運が運航している
父島のことや、行くきっかけになったエピソード、なぜ私にとって一番の場所なのか等はこちらに記載しているので合わせて読んでいただけると嬉しいです。
◆関連記事:https://tabippo.net/plan-until-travel/「ここを超える場所はない。70カ国以上旅をしてきた私の一番の場所「小笠原諸島」」

世界遺産に属する島・母島の概要

日本一遠い島ともいわれる母島は、東京から南へおよそ1,050km。東京都に属しながらも、そこは都会とはまったく異なる、ゆったりとした時間と手つかずの自然が広がっています。島の面積は約20平方キロメートルで、東京都北区とほぼ同じ規模とされ、現在は450人ほどの人々が暮らす小さな島です。

竹芝⇔父島を結ぶおがさわら丸は定員約900名の巨大な船
母島は、世界自然遺産に登録されている小笠原諸島の一部として、貴重な動植物や原生的な自然環境が今も大切に守られています。透明度の高い海や緑深い森、島のあちこちから望める雄大な景色は、訪れる人の心を静かに解きほぐしてくれます。

温暖な気候に生息し、のびのびと育つ植物たち
同じ小笠原諸島の父島とはまた異なり、より素朴で落ち着いた雰囲気を持つのも母島の魅力のひとつ。観光地化されすぎていないからこそ、島の日常や人々の温かさを身近に感じることができます。

そんな母島には、自然・歴史・島の暮らしを感じられるおすすめスポットが点在しており、ゆっくりと巡ることで、この島ならではの魅力をより深く味わうことができます。

内地では見たことがない植物がたくさん生息している
この先では、母島を訪れたらぜひ立ち寄りたい、おすすめのスポットを紹介していきます。

母島の自然を体感するなら、まずは乳房山

まず必ず訪れてほしいのが、この乳房山。

乳房山の登山道は集落から歩いてすぐ行ける
母島のほぼ中央に位置し、その名の通り乳房のような丸みを帯びた独特の美しい形をしていることから名付けられ、母島の最高峰であり固有植物の宝庫でもあります。

小笠原諸島が世界遺産として認められた固有種のカタツムリが生息しており、オガサワラオカモノアラガイはここ母島にしか生息しておらず、乳房山で見れる可能性が高いです。
他にも目のまわりが黒い、ハハジマメグロなども見ることができる場所です。

動植物の生息地を守るため、決められたルールで散策をする
往復は約6km、約4時間の道のりで遊歩道も整備されているため登山初心者や個人でも登れる山です。ただ前途のとおり固有種が豊富な山なので、ぜひガイドをつけて説明を聞きながら散策するのをおすすめします。

ジャングルの中を登山しているような感覚だった

乳房山
住所:〒100-2211 東京都小笠原村母島西浦
アクセス:港から徒歩10分ほどで乳房山遊歩道入口

ここが東京都の最果て。都道最南端

母島の玄関口である港から車でおよそ10分。島を南北に縦貫する都道241号を南へ進んでいくと、その終点に「都道最南端」を示す看板が現れます。

ここは、東京都が管理する道路として一般の人が立ち入ることのできる最南端地点で、看板の先から続く歩道は都道ではなく村道へと切り替わります。

看板は地元の中学生の卒業制作とのこと
この場所は、旅好きや地理ファンにとっては特別感のあるスポットで、位置は北緯26度37分、東経142度11分あります。青い海と南国らしい景色に囲まれた看板は、母島を訪れた記念にもぴったりなフォトスポットとなっているので、ぜひ立ち寄って、最南端到達の証として写真を撮ってみてください。

海と空がつながる母島の景色

都道最南端
住所:〒100-2211 東京都小笠原村母島南崎
アクセス:港から車で約10分

かつての暮らしと、今の海が残る場所・北港

母島の港から車でおよそ30分。島の北側に位置する北港は、かつて戦時中の疎開が行われる前まで、島の重要な港として利用されていた場所です。当時は多くの人々の暮らしや物流を支える拠点であり、現在とは異なるにぎわいがありました。

今は波の音が響き渡る静かな場所
現在の北港は、地元の人たちに親しまれている海水浴スポットとなっており、透明度の高い海が広がります。海中には色とりどりのサンゴ礁が点在し、運が良ければアオウミガメがゆったりと泳ぐ姿を間近で見ることもできます。自然の豊かさを実感できる、母島ならではのビーチです。

現在は元地集落が母島唯一の集落になっている
港のすぐ近くには、疎開が行われる前まで約600人もの人々が暮らしていた集落の跡地も残されています。小学校へ続いていた石段や門柱など、当時の生活を物語る遺構が今も静かに佇み、島の歴史に思いを馳せることができます。美しい海とともに、母島の過去と現在を感じられる場所として、ぜひ訪れてみたいスポットです。

北港
住所:〒100-2211 東京都小笠原村母島
アクセス:港から車で約30分

母島の歴史と暮らしを知る、ロース記念館

母島の中心部に建つロース記念館は、大正時代に使用されていた砂糖の貯蔵庫を復元した民俗・歴史資料館です。島の産業や暮らしを今に伝える施設として整備され、母島の歩みを知ることができる貴重な場所となっています。

母島に訪れた観光客は必ず訪れる場所
「ロース」とは、母島で採れる石材の名称で、耐熱性に優れ、加工がしやすいという特長を持っています。その性質から、かつては建物の基礎やかまど、貯蔵施設などに幅広く使われ、母島を代表する特産の建材として人々の生活を支えてきました。記念館の建物自体にも、このロースが使われており、素材の質感を間近で見ることができます。

パイナップルのようなタコノキの実は昔の人は食べていたのだとか
館内には、島で実際に使われてきた生活用具や漁業用の道具、農作業に関わる品々が展示されており、開拓時代から続く母島の暮らしの様子を具体的に知ることができます。展示を通して、自然と共に生きてきた島の人々の工夫や知恵を感じられる、母島観光の合間にぜひ立ち寄りたいスポットです。

ロース記念館
住所:〒100-2211 東京都小笠原村母島字元地
アクセス:港から徒歩10分

日本一遠い島が、心に一番近くなる場所

日本一遠く、でも東京都に属している母島は、東京の喧騒からはるか南へ約1,050キロメートルも離れた場所にあり、深い静けさと豊かな自然が息づく、他とはまったく違う空気が流れている島です。ここでは、青く澄んだ海と緑の森が織り成す風景が日常となり、目の前に広がる光景に思わず息をのむ瞬間が何度も訪れます。

ははじま丸出港の際はたくさんの人が見送りにきてくれる
母島は、希少な固有種や手つかずの自然が今も息づく“生きた自然の宝庫”です。そんな特別な場所だからこそ、訪れた旅人を温かい人々の笑顔と優しい島時間が迎えてくれ、島の魅力が心に染み渡り、いつの間にかこの場所が自分自身の“居場所”のように感じられる――そんな余韻を残してくれる島です。

船内で見る夕日は何度見ても飽きない
母島に一度足を踏み入れたら、その空気と時間の流れに魅せられ、きっとまた戻ってきたくなるはず。自然と寄り添い、人と出会い、ここでしか得られない感動と安らぎを五感で味わってみてください。

All photos by Tamami Mizunoya

ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

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