ライター
阿部サキソフォン TABIPPO編集部 / ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

毎日やるべき仕事に追われて、なかなか自分の時間がとれない。周りの目が気になって、自分らしくいられない。せっかくの休日も、リラックスできないままあっという間に時間がすぎる。そんな風に感じたことはありませんか?

わたし自身も忙しい日々を過ごすなかで、余裕がなくなってイライラしてすることも度々あります。

しかし先日フィンランドを訪れた際、どこか日本とは違う空気感を感じました。誰もが生き生きしていて、自分らしさを大切にしている。心に余裕があって、人間らしい生活に重きを置いているように見えました。

「世界一幸せな国」といわれるフィンランド人には、多くの人に共通する考え方がありました。

追われるのではなく「今」に集中する


何人かのフィンランド人に話を聞く上で、よく聞かれたのが「今(the present)」という言葉でした。たとえば、森へ森林浴へ出かけたとします。せっかくの休日なのだから、ストレスから解放されてリラックスしたいですよね。

でも多くの人、特に日本人は「明日の会議のことが心配……」「プレゼンの用意をしなきゃ」と、ふと常に仕事に意識を向けてしまう人が多いのではないでしょうか。

気分転換をするつもりで場所を変えたのに、いつの間にか追われている感覚になる人もいるはず。


そこで大切なのが、今、目の前のこと集中することです。火を起こしてゆらゆらと揺れる火を眺めて心を落ち着かせたり、森の中に身を置いて自然の音に耳をすませたりして、この瞬間に集中する。

そうすることが、心の余裕を取り戻すきっかけになるのだそう。

自分にとって心地がいいものに囲まれる


幸福度を上げるためには、身のまわりの環境を整えることも大切です。

いま自分のまわりを見渡したときに、何が目に入りますか?もし山積みになった書類、ほこりをかぶった本、シワシワになったシャツが目に入った場合は、それは自分にとって心地いい環境とは言えませんよね。

新しい場所へ引っ越したときには、最初はわくわく感と同時にかなりのストレスも感じると思います。慣れない街で見知らぬ人たちと暮らすのは、想像以上に大変です。

住み慣れた家へ帰りたい、丘から見える海が懐かしいと思うこともあるかもしれません。


フィンランドを代表する作家、トーベヤンソンのムーミン谷の物語でも、似たようなお話がありました。ムーミン一家はムーミン谷で暮らしていましたが、あるときムーミンパパが灯台守になると決心し、何もない島へ移り住みます。

父としてのプライドからムーミンパパは島での暮らしに奮闘しますが、なかなかうまくいかないことばかり。新しい土地での生活になじめないムーミンママは、鬱っぽくなってしまうのです。

そこでムーミンママは、もともと暮らしていた美しいムーミン谷の風景を描き始めます。お気に入りの花やインテリアも。

自分の好きなものを描き、それらに囲まれて過ごすことで幸せを感じるようになっていったのです。

自然とともに生活する


フィンランドでは、国民はもちろん国を訪れる観光客にも「自然享受権」が与えられています。難しい権利のように聞こえますが、自然の森や公園の植物を採取することが許されている権利のこと。

フィンランド人はベリーやキノコを採りにいき、食卓に取り入れています。幼い頃から採取する習慣があり、どの種類が食べられるか、食べられないかは誰でも見分けることができるそう。

わたしがフィンランドを訪問したのはまだ寒い3月でしたが、ガイドの方と一緒に森のハイキングへ。フィンランド人は夏だけでなく冬の時期も森へ出かけるらしく、緑に囲まれてリラックスするんだとか。


坂道を登っていき、見晴らしのいい場所へ出たときになんとも言えない心地よさを感じました。目の前には緑、湖が開けていて、のびのびできる空気感。

ガイドをしてくれたフィンランド人の女性は「フィンランドには”スペース”がたくさんあるからいいのよ」と話しました。

自然の中を歩き、自然のものを食べ、広い空間を使ってリラックス。幼い頃からその習慣がフィンランド人に染み付いているからこそ、幸せを感じやすいのかもしれません。

キャリアではなく、個人の幸せを考える


最後に、将来について考えてみましょう。

日本では受験戦争に勝って名門大学に入り、大手企業に就職し、いつかは高い役職につくことが目標になり、「幸せ」として捉えられていることが多いように思います。もちろん優秀な人物であることには間違いないですし、社会的権威も得られると思います。

しかし、その生き方は果たしてその人らしい、幸せな生き方なのでしょうか?敷かれたレールの上を順調に歩んでいくことに、幸福を感じられるのでしょうか。


フィンランドの義務教育は9年間で、その後はどんな道に進むか個人に委ねられています。高校に進む人もいれば(フィンランドの高校は学費が無料)、専門学校に進んで資格をとる人もいるそう。

多くの選択肢があり、その人らしい進路を自分で選ぶことができます。

フィンランド人が考える幸せの定義とは、キャリアの成功ではなく「個人」の幸せ。自分が自分らしくいられるかどうか、幸せだと思えるかどうかにフォーカスをしています。

少しの工夫で、幸せを感じられる


遠い国のように感じるフィンランドですが、彼らの習慣や考え方は決して難しいものではありません。日本でも生活にも少し取り入れてみることで、より生活を豊かにしてみませんか?「幸せ」を感じるヒントは、意外と身近にあるかもしれません。

All photos by Abe saxophone

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阿部サキソフォン TABIPPO編集部 / ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

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