ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

旅人の心をくすぐる言葉「秘湯」。人里から離れ、山に囲まれ、美しい樹林や渓流を眺めながら、とびきりの癒やしと解放感に浸る――特に日夜、アウトドアフィールドを駆け巡り、自然に没入する旅をモットーとしている私にとっては、その魅力はひとしおです。

今回は、いろいろと日本各地を巡る中で秘湯フリークへ片足を突っ込みつつある私が、これは……!という「秘湯」を紹介していきたいと思います。

いわゆる野湯(やゆ)と呼ばれる、自噴した温泉に浴槽を設けただけ、というようなワイルドな温泉もありますが、それもご愛嬌。機会があれば、ぜひ足を運んでみてください!

ワイルドすぎる川見野湯「養老牛温泉 からまつの湯」(北海道)


北海道有数の火山地帯である、知床や阿寒摩周国立公園。至るところに温泉が湧いており、いわゆる野湯というスタイルの無料温泉が多くあります。

道東はツーリング聖地のため、旅の汗を流したいライダーが立ち寄ることも。かくいう私も自転車の旅でよく利用しました。

その中で、ちょっとマイナーながら最高のお湯だったのが「養老牛(ようろううし)温泉 からまつの湯」。裏摩周から中標津へ抜ける途中、道道505号線近くに位置しています。


驚いたのは、川のすぐそばにあり、渓流をのぞむワイルドなロケーション!そして、天然の河原石を使った浴槽です。ちょっと深いくらい、立派に作られており、肩まで浸かれます。

泉質はすべすべとした塩化物・硫酸塩泉。80℃近い源泉に川の水を足して、源泉掛け流しにしています。クセがなく、清涼感が気持ちのいいお湯です。

野湯でありながら脱衣所も完備。地元の方々に愛され、大切に守られているのが伝わってくるのも良いですね。

■詳細情報
・名称:養老牛温泉 からまつの湯
・住所:北海道標津郡中標津町養老牛
・地図:
・アクセス:網走市街から車で約1時間半、釧路市街から車で約1時間40分
・入湯料:無料

だいたいエゾシカに会える「幌加温泉 湯元鹿の谷」(北海道)


北海道の屋根を形成する、大雪山系(たいせつざんけい)。その山麓にも数々の秘湯が育まれています。

中でも忘れられない最高のお湯が「幌加(ほろか)温泉」。昨今知名度が上がってきた絶景、タウシュベツ川橋梁の近くに位置しています。

かつてはお宿が数軒あったのですが、現在営業しているのは「湯元鹿の谷」のみ。今でも密かに秘湯マニアが足を運ぶ、知る人ぞ知る名湯です。


そんな「幌加温泉」のポイントは2つ。1つ目は、同時に3色の温泉が楽しめるということ。「ナトリューム泉」「鉄鉱泉」「カルシューム泉」を比較しながら、心ゆくまで温泉に浸かれます。

ぬくぬくのんびり入りたい人は温めのナトリューム泉、少し刺激が欲しい方は熱めの鉄鉱泉がおすすめです。


2つ目のポイントは、エゾシカとの遭遇率の高さ。露天風呂に入っていると、雑草を食べにくる鹿の姿が見られます。隔絶した北海道の秘境ならではの日常風景ですね。

■詳細情報
・名称:幌加温泉 湯元鹿の谷
・住所:北海道河東郡上士幌町幌加
・地図:
・アクセス:帯広市街から車で約1時間40分
・日帰り入浴時間:8時~20時
・電話番号:01564-4-2163
・入湯料:500円

霊場内・総ヒバ造りの秘湯!「恐山温泉 花染の湯」(青森)


日本三大霊場の恐山。一度は足を運びたい青森県・下北半島を代表する名所ですが、その恐山の霊場内に、温泉が湧き出ていることをご存じでしょうか?

入山料を払えば、無料で温泉に入ることができます。中でも最高のお湯が「花染(はなぞめ)の湯」。境内のはずれにあるため見逃されがちですが、すばらしいお湯です。

泉質は白濁した硫黄泉。総ヒバ造りの浴槽に、源泉掛け流しのお湯がなみなみと注ぎ込み、それが美しいエメラルドグリーンの湯面を作り出していました。


綺麗な湯の花も浮き、熱めの温泉が身体を芯から暖めてくれる感じ。実直な、お湯の効能を感じられる気がします。

なお花染の湯は混浴。気になる方は、男女別で利用できる「薬師の湯」や「古滝の湯」、「冷抜の湯」を利用しましょう。日によってどちらが利用できるか変わります。

■詳細情報
・名称:恐山温泉 花染の湯
・住所:青森県むつ市田名部
・地図:
・アクセス:むつ市街から車で約30分
・営業時間:6時~18時
・電話番号:0175-22-3825
・入湯料:無料(入山料は大人一人500円)
※10月末から4月下旬まで冬季閉山
・公式サイトURL:https://osorezan.or.jp/

深い雪山の奥にたたずむ湯治場「青荷温泉」(青森)


冬の青森を訪れたときに楽しんだ忘れられない秘湯が、「青荷(あおに)温泉」です。当日、青森は猛吹雪。観光するにしても極寒の中、巡るのは難しいということで、秘湯を訪れることにしました。

まず驚いたのは、そのアクセス。虹の湖レストハウスから自家用シャトルバスに乗り換えましたが、バスは前後輪チェーンを換装し、雪壁を横目に、雪山へ続く急勾配の道を切り開くように進んでいったのです。

到着したら、こんな場所に温泉旅館が……!というロケーション。一面白銀の雪山の中に、ポツンと宿がたたずんでいました。


青森県は湯治(とうじ、温泉に長期滞在をして心身を整えること)の文化が有名。中でもこの青荷温泉は、電波の届かない隔絶した場所で、俗世を逃れてデジタルデトックスをすることができます。

お湯はクセのない単純温泉。無色透明、無味無臭のため、誰でも好き嫌いなくサラリと浸かれます。


青荷温泉のお湯はいくつか離れに分かれているので、湯めぐりがおすすめ。冬には、その間に雪化粧をした美しい渓流の風景も楽しめます。

■詳細情報
・名称:青荷温泉
・住所:青森県黒石市沖浦 青荷沢滝ノ上1-7
・地図:
・アクセス:黒石市街から虹の湖までバスで約40分、虹の湖で青荷温泉送迎バスに乗り換え
・電話番号:0172-54-8588
・入湯料:540円
・オススメの時期:冬
・公式サイトURL:https://www.aoninet.com/pc-index.html
ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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