この道東の旅は、本来の自分のペースを取り戻すことのできた日々だったと振り返る。
心のゆとりを持つことの意味を教えてくれた旅でもあった。
「#余白をえがく道東旅」。
この言葉を聞いた時にまず思ったのが、「日々の過ごし方に余白というものが必要なのか」ということだ。余白を文字通り読むと、余った白い部分。
・参考:余白あふれる道東で、大自然を遊び尽くす旅を。道東トラベルウィーク2023冬を実施します|TABIPPO.NET(募集終了)
勉強、仕事でも日々の中でのんびりしている余裕はなく、その白い部分をなくし、埋めることが日々の充実につながるのではないかという考えがあった。
喧騒の中に身を置き、刺激を受け続けながら、ほかの方に負けたくないと気持ちを鼓舞することは、頑張る上で重要なことだ。
だが、この考え方で突き進み、ガソリン切れを起こした過去がある。喧騒の中にいるとそんな過去が日々の忙しさに埋もれ、時々忘れてしまう。
この道東で過ごす日々が教えてくれたのは、そんな自分の過ごし方を見つめ直すことだった。
「もしかしたら、東京で切羽詰まっていたのかな」
道東の大自然を目の前にしてそんなことが頭に思い浮かんだ。
耳を澄ますと静寂の瞬間が訪れ、すっと心が落ち着いた。
心がリセットされるような感覚。そんな旅の記憶が残っている。
移動時間の心地良さ、車窓から見える白銀の世界
今回、訪れたのは、帯広を拠点とした十勝エリア。
十勝は、とても広く、日高山脈から海岸までさまざまな自然に触れ合うことのできる沢山の魅力が詰まった場所。
北海道の旅の移動は車窓からの眺めが素敵で、冬は、広大な自然が白く染まる白銀の世界。一面白く染まったその景色は、見ていて飽きない。
そして、十勝の気候の特徴として「とかち晴れ」という言葉がある。
全国でも有数の日照時間ですっきり晴れた日が多く、青と白の世界を車窓から眺めていたらいつのまにか目的地に着く、その繰り返しの旅。
「移動時間も心地良い」そんなことをふと思った。
旅なので、もちろん車内が会話で盛り上がる瞬間もある。今回は、バス移動。
ただ時が経つにつれて、各々の自由な過ごし方になっていくのが印象的だった。
仕事をする、景色を眺める、各々自由に気の向くままに過ごす。車内の空気感は感じたことのない居心地の良さだった。沈黙していることが苦ではない。そんな瞬間が訪れた気がした。
真冬の十勝で出会った大自然と動物たち
道東には、昔ながらの自然が沢山残っている。
街中から少し足を伸ばすと、その幻想的な風景の数々に出会うことができる。
気分転換に最適な場所が沢山ある。自然は季節ごとに姿を変え、四季それぞれ違った魅力がある。
街中にいると感じることのできない日常の変化に直に触れ合うことのできる。
ハルニレの木
目の前に広がる空。空がこんなに広いと感じるのは久しぶりだと思った。
透き通るような空は、真冬の北海道の空気感を象徴するような色味。
空は刻一刻とその姿を変え、日没から30分後くらいには、星が見え始めた。
透き通るような空に広がる満天の星。
大津海岸
次は、真冬の大津海岸。この日の早朝の気温は、氷点下20度。極寒の日。
息も凍るような世界の朝日を見たら、自然と涙が出てきた。
全身が凍えるような寒さの中、太陽が顔を見せた一瞬にどこか温かみを感じた。
国内には、まだ見たこともない世界があるのだと実感した。自然の神秘を堪能。
タイミングが合えば、自然が作り出す透明な宝石のような氷、ジュエリーアイスにも出会うことのできる場所。
出会った動物たちの紹介
冬のエゾリス。
牧場の馬。
木を突くアカゲラ 。
ここでは、野生の動物たちが身近にいる。暮らしの近くに動物たちがいる。
北海道の昔ながらの自然が守られているからこそ、野生の動物たちが今、こんなに間近にいるのだろうと感じた。
動物と触れ合うことのできる自分にとっての非日常は、道東では日常の風景、そんな日常にお邪魔することができる。
サウナの魅力、心がリセットされた瞬間
また、十勝エリアのサウナも体験した。今、十勝のサウナには注目が集まっている。
・参考:十勝サウナ協議会
なぜなら、1年間の平均気温がサウナの本場・フィンランドに近く、アウトドアサウナの体験をするにはうってつけの場所だからだ。
そして、十勝のアウトドアサウナの良さのひとつに、自然の中で雑音のない外気浴が挙げられる。
とくに何も考えず真っ白な雪景色を眺め、外気浴ができる。頭の中で何を思い浮かべていたのか記憶にない感覚。そんな特別体験。
屈足湖「北海道アヴァント」
この何も考えない瞬間が心のリセットにつながる。
「サウナにどんな時に入るか」という質問は、自分にとって答えが難しい質問だったが、自分なりのひとつの答えが見つかったような気がした。
冬場に凍結した湖の冷水に飛び込む、真冬の特別体験。
道東が心の拠り所のひとつになった旅
「余白」に関する自分なりの答えのひとつとして、「旅を通じて知ることのできた心の余裕」のことなのかと感じた。
日常に疲れたと感じた瞬間に環境を変えてみること。
そんな一歩を踏み出すことで心に余裕ができる感覚。道東で、そんな心の拠り所となる場所を見つけることができた。
道東で過ごした旅を振り返ると、自分本来のペースを取り戻すような日々だった。
東京という場所は、とにかく刺激に溢れている。その刺激は、時に周りに負けたくないという気持ちにさせてくれるが、背伸びをし過ぎて、自分のペースを崩す場合がある。
道東で過ごす日々を通じ、人混みから離れ、出会うことのできた冬の大自然、動物たちに出会うことで本来の自分のペースを取り戻すことができた。
「走り続けて、焦燥感に追われた時に少し心を落ち着かせたい、旅から戻ったときに頑張ることができる」
そんな心のリセットに最適な場所だと感じた旅だった。
今回の旅で訪れた場所
「HOTEL NUPKA Hanare」
宿泊したホテルは「HOTEL NUPKA Hanare」。
帯広駅に近く、暮らすような旅ができるホテルというコンセプトのもと、旅人に人気のホテル。Wi-Fi、コンセントなどが付いたワーキングスペースも整っており、長期宿泊する旅人も多いとのこと。
そして、今回宿泊したのは、2021年の4月にできた「HOTEL NUPKA Hanare」。
このホテルの魅力のひとつが「馬車Bar」。
競走馬がそりをひきながら力や速さなどを争う競馬の競走の代表格「ばんえい十勝」を初め、馬文化が浸透する帯広だからこそできる体験で、名前の通り馬車の中がバーになり、なんと帯広の街を周遊してくれる。
が、今回は、道路状況の都合で残念ながら乗ることができず。次回に持ち越しだ。
広々としたコンセント付きのワーケーションスペース付き。
「森のスパリゾート 北海道ホテル」
今回、宿泊した「森のスパリゾート 北海道ホテル」。
現在のサウナブームに先駆け、本場のフィンランド式ロウリュを2019年に導入し、十勝のサウナの聖地とも呼ばれる場所。
天然の「モール温泉」も楽しめる。モール温泉とは、植物性の有機物を含み化粧水にも使用される美肌効果のある泉質。
そして、水蒸気や香りを楽しめるサウナのアクティビティ「モーリュ」「ウォーリュー」などが楽しめるのが特徴だ。
「然別湖コタン」
「然別湖コタン」とは、真冬になると然別湖が結氷し、その湖の上に氷と雪のブロックでできたイグルーと呼ばれる複数のテントからなる村のこと。
コタンとはアイヌ語で村、集落という意味。真冬の十勝の自然を上手く活かしたスポット。
アイスバーや露天温泉などが楽しめ、結婚式ができるチャペルもある。
「グランピングリゾート フォーリエンドルフ」
帯広空港の近くの中札内村にある森の中の宿泊施設。ドイツ風の可愛いコテージが立ち並ぶ。
ドイツ語で「フォーリエン」は、「休暇」、ドルフ「村」という意味。
童話のような世界が広がる。
そして、ここにもサウナが。名前は、「十勝エアポート スパそら」
天然モール温泉や本格的なフィンランドサウナが体験できる。
こちらは、レストラン ミュンヒ・ハンゼンの豚丼。
地元食材を使ったランチには、その他に親子丼、ポークカレー、牛とろ丼などが楽しめる。
自動運転バス(上士幌)
自動運転バスの実用化に向け、市街地を定期運行している自動バス。
運転手不足の解消、高齢者の多い地域で住んでいる方々の足になればと実用化に向け、動いている。
今後、観光客などの旅行者の足としても地元の活性化に繋がり、財政負担の軽減などの面も期待されている。
All photo by 相沢亮
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