江戸時代は北前船の寄港地として栄えた北陸では、もたらされた富と伝わった文化で素晴らしい祭りが育まれてきました。美しさを追求する祭りの数々をご紹介しましょう。
砺波夜高祭
富山県砺波市では6月中旬に夜高祭が行われます。夜高行燈と呼ばれる竹と和紙で作られた山車に灯を入れて練り歩き、突き合わせを行います。砺波の行燈山車は繊細な図柄と豪華なことで知られていて、1日目は14基が勢揃いしますが息をのむほどの美しさです。
2日目は「喧嘩祭り」の異名通り行燈山車の喧嘩が行われます。十数メートル離れて向かい合った行燈山車が責任者の合図で全速力でぶつかり合い押し合う喧嘩です。
威勢の良いマイクパフォーマンスが喧嘩をあおり、いっそう盛り上げますが、「行燈の喧嘩であっても人の喧嘩ではない。」と言われ、勝敗がつけば爽やかに「ヨイヤサーヨイヤサー!」と互いをたたえ合います。
青柏祭
「能登はやさしや土までも」と言われる石川県七尾市に春を告げるお祭りが青柏祭です。5月3日から5日まで行われる大地主神社の例大祭は、高さ12m、重さ20tの「でか山」と呼ばれる巨大な山車が見どころです。
狭い路地を行く「でか山」の威容は言うまでもありませんが、中でも辻廻しは必見です。8mの大梃子に人がたくさん乗って、てこの原理を利用して前の車輪を浮かせて曲がります。また、観光客も山車を曳くのに参加できます。
越中おわら風の盆
富山県八尾の町は9月1日から3日まで人口の数倍の観光客が訪れます。210日の風鎮めに踊られる「おわら風の盆」を見るためです。八尾は坂の町で、道の両側の水路を流れる雪解け水の音が快く、中でも諏訪町本通りは昔ながらの雰囲気を残しています。
おわらは胡弓の哀切な音色が特徴で、それに合わせる踊りも、女性はなよやかで優艶、男性のはきっぱりと端正、全体としてこれほど芸術的に高められた盆踊りはないんじゃないかな。
能登キリコ祭り
石川県能登地方の祭りには神輿のお供にキリコと呼ばれる御神灯が練り歩きます。地域によって大きさも形も様々ですが、輪島塗をほどこしたり、金箔でキラキラしていたり地域の自慢が詰まっています。