ヨーロッパの中央に位置する国・ハンガリー。
歴史ある建築物やクラシック音楽などの文化や、自然の美しさで知られています。


photo by ハンガリー観光庁

また、ハンガリーで有名なのは「温泉」!ハンガリーは温泉大国としても知られていて、北海道より少し大きな国土に約1300か所の源泉があります。それぞれ違った効能や特徴があり、老若男女問わず多くの人で賑わっているんです。


(photo by Adobestock)

そんなハンガリーの首都・ブダペストがいま、観光するのにぴったりな時期を迎えていることをご存じでしょうか?

それは今、ブダペストの景観が次々とアップデートされているから。

長い年数をかけて修復された歴史的な建築物もお披露目となり、初めてブダペストに行く方はもちろん、せっかく行ったのに修復中で十分に景色が見られなかった…!という方にもぜひ行っていただきたい場所となっています。

ヨーロッパ中央の国!ハンガリーってどんな国?

ハンガリーの首都・ブダペストは、ドナウ川の西岸の街「ブダ」とその北側の街「オーブダ」、さらに東岸の街「ペスト」が1873年に合併してできた街。空の玄関口、リスト・フェレンツ国際空港からシャトルバスで30分で向かうことができます。

ブダペストの特徴は、なんといってもその景観。1987年にはドナウ河岸とブダ王宮の景観が世界遺産に登録され、世界中の建築家から一目置かれています。

スケールの大きさで知られるバロック建築をはじめ、新古典主義、折衷的なネオ・ルネサンス、アール・ヌーヴォーなど、様々な装飾が施された建物は、まるでおとぎ話のよう!


「ブダ」と「ペスト」を結ぶ「セーチェニ鎖橋」(photo by Adobestock)


まっ白な外観と、お城のようなとんがり屋根が印象的な「漁夫の砦」(photo by Adobestock)

世界中の建築様式で建てられた建築物が入り混じっていることから、“建築物の宝庫”とも呼ばれています。


国会議事堂は、ひとつの建物の中に多様な建築様式が合わさっていることでも知られています

クルーズで楽しめる「ドナウの真珠」

そんな美しい建築物を見るのにおすすめしたいのは、夜のドナウ川クルーズです。

ブダペストは、夜のライトアップされた街並みが格別!ライトアップされた国会議事堂やセーチェニ鎖橋が、幻想的でロマンチックな雰囲気を放ちます。

特にドナウ川からクルーズで望む夜景は、まるで宝石箱のような煌びやかな輝きを放つことから「ドナウの真珠」や「ドナウの薔薇」とも呼ばれるんです。


ドナウ川といえば、クラシック音楽の舞台としても有名ですよね!(photo by Adobestock)

ちなみにブダペストは、このような景観と治安の良さから、ヨーロッパ旅行におすすめな地域ランキング1位に2年連続で輝いたこともあります。(European Best Destinationsより)最近はグルメやワインも注目を集めており、女子旅にもぴったりな場所となっているんです!

改修プロジェクトが終わりに近づき、より美しい街に。ブダペストが今、アツい理由

そんなブダペストは今、これまでの歴史の中で最も魅力的な街になっていると言っても過言ではありません。

実は近年、ブダペストでは歴史ある建物や公園を改修する国規模のプロジェクトが複数進行しています。もしかすると、最近ブダペストに行った方の中には「工事している場所が多かったな」「お目当ての場所が改修中だった…!」という方もいるのではないでしょうか。

これらの目的は、建物が建てられた当初の街並みの美しさを取り戻すとともに、歴史を繋ぐこと。これまで数々の出来事を見守ってきた建物やアートを保存することは、歴史を保存することと言っても過言ではないのではないでしょうか。

そんなプロジェクトの多くが今、完成へと向かっています。これまでも「ドナウの真珠」と呼ばれていた美しい街並みがアップデートされ、さらに輝きを増しているんです。ここではその中から、2つのプロジェクトをご紹介します。

歴史を見守る「ブダ城」を改修。「ハウスマン国家事業」

ペスト側からドナウ川越しに眺めると美しい「ブダ城」。数世紀に渡って破壊と再建が繰り返されたためさまざまな建築様式が用いられているのが特徴で、他の名所とともにユネスコの世界遺産に登録されています。

現在は城内に美術館や博物館、図書館を有しており、一般客でも入ることができる観光スポットとなっているんです。


ハウスマン国家事業により再建が進んでいるブダ王宮。 © THE NATIONAL HAUSZMANN PROGRAM

そんなブダ城と周辺を対象とした改修プロジェクトが「ハウスマン国家事業」です。お城の内部や美術館、図書館だけではなく、周辺道路、公園、城壁なども対象となっているこのプロジェクト。

2019年に始動し、現在までに第二次世界大戦で失われていた覆い馬場やお城の内部の再建築や改修が終わり、引き続き大戦により失われた建物の再建を残すのみとなっています。

ハンガリー最大規模の公園をリニューアル。「リゲト・ブダペスト・プロジェクト」

ブダペストを訪れた多くの人が足を運ぶ市民公園「ヴァーロシュリゲト」

100年以上の歴史を誇るシティパークで、1866年に開園したブダペスト動物園と植物園や、19世紀から20世紀の変わり目に建てられた美術館やミューチャルノク現代美術館、ヨーロッパ最古の野外アイススケートリンクに、1913年以来営業を続けるブダペスト最大の温泉・セチェーニ温泉など多くの歴史を感じることができます。

そんなヴァーロシュリゲトは、10年前から始まった「リゲト・ブダペスト・プロジェクト」によって再開発が進んでいます。

かつてヴァーロシュリゲトは人々の憩いの場として親しまれてきましたが、徐々に建物の老朽化や手入れの不届きによって「錆びた街」として見られるようになっていました。そこで始まったのが、長い期間をかけて公園全体をアップデートするプロジェクトです。

ちなみに「リゲト」とは、小さな森・木々を表す言葉。日本で公園の「再開発」というと木々を切り倒し、そこに建物を建築する印象を持ちますが、このプロジェクトではその名の通り、自然の景観を残したまま、より豊かな公園を作ることを目指しているんです!


(photo by Adobestock)
リニューアルされた後も公園内の建築物の割合は7パーセント未満にとどまり、緑地はさらに拡大されるとのこと

着手から10年。予定されていたことの多くが実現され、公園はみるみる美しい姿を取り戻しています。音楽ホールやギャラリーなどの新しい文化施設が建設されるほか、国立民族学博物館や歴史的な美術品などを保存する空間の改修が終わるなど、歴史を保存する側面も佳境を迎えた状況です。

サイクリングや現地人による観光ツアーなども拡充されており、ブダペストならではの美しい景観を壊さないままに盛り上がりを見せています。

日本人建築家も多く参加!

実はリゲト・ブダペスト・プロジェクトには、日本人も参加しているとのこと!

クラシックコンサートや音楽に関する展示会、ワークショップを行うことを目的に建てられた「ハンガリー音楽の家」を手掛けたのは、建築家の藤本壮介さん。国際コンペに応募された168のプロジェクトの中から、ハンガリー国民と国際審査員の支持によって選ばれました。


世界中で自然との調和が美しい建築物を建築しています。© Palkó György

また、現在建設中の建物のうち、最も注目を集めるものを手がけるのも日本人の建築家です。ルーブル美術館や21世紀美術館で設計を手がける建築家ユニット・SANAAは美術品が展示される「新国立ギャラリー」を担当します。

https://youtu.be/ctR9YUsJY3E?si=Mhc7fxVZ1SiOhgT0

実はハンガリーで国際建築コンペによって外国人の建築家が設計を担当する建物が建設されるのは、実に60年ぶりのこと。「建築物の宝庫」と呼ばれるハンガリーで、ハンガリー人以外の、しかも日本人の建築家が担当する建物を見られるのはとても貴重なことなんです!

輝きを増した「ドナウの真珠」を見に行こう!

他にも、街の象徴「セーチェニ鎖橋」の改修工事がこの夏に終わるなど「ドナウの真珠」と呼ばれる光景がさらに輝きを増したハンガリー・ブダペスト。


ライトアップも美しくよみがえっています。

おとぎ話の世界に入り込んだような街並みを楽しんだり、温泉に浸かりながら海外らしく広大で美しい風景を楽しんだり。ブダペストは今、かつてないほど観光にぴったりな時期を迎えていると言っても過言ではありません!

ちなみに2023年現在、日本からハンガリーまでは飛行機で17時間。ヘルシンキやパリなどを経由して、アクセスすることが可能です。

ハンガリーは、ヨーロッパの中央に位置する国。周辺国にアクセスするのにも便利な土地ですので、「ヨーロッパを数カ国巡って旅がしたい!」「旅のはじまりをどこにするか迷っている」という皆さんは、ぜひ旅の出発地にハンガリーを選んでみてはいかがでしょうか?

ライター

埼玉県生まれ。あまいものと音楽を愛でるヲタク気質な19歳。高校を卒業し、自分の「好き」と向き合うためにギャップイヤーを謳歌中。一日をちょっとだけ豊かにするアイデアブログ「PEACHY mode」の管理人。夢は 「自由でご機嫌な人生を送ること」。来年からはマレーシア国内の大学に留学予定。

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