前島のトンボロ(五島列島)
ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。

「海が割れて、道が開ける」

そんなモーゼの奇跡のようなドラマチックでふしぎな現象を見たことはありますか?

フランスのモン・サン・ミッシェルが有名ですが、実は日本にも全国各地にそうしたスポットが存在します。

道が開けることにかけて、恋愛成就や開運祈願、とにかく何かを打破したい・克服したいと感じている方々にはゲン担ぎにおすすめ!

今回は、モン・サン・ミッシェル的なスポットの中でも、長崎の穴場スポットをご紹介します。

海が割れて道が開ける、ふしぎな現象「トンボロ」

小豆島のエンジェルロード(香川県)Photo by Manyumi
海に囲まれて、本土とは隔絶した小島。そこに、海流や潮の干満によって陸地(本土)と島をつなぐ道(砂州)が現れる、そうした現象は「トンボロ」と呼ばれています。

旧約聖書に登場するモーゼの海割れはドラマチックな「奇跡」ですが、トンボロは科学的にもメカニズムが解明されている海洋現象のひとつ。

Photo by PIXTA
トンボロといえば、「海に浮かぶ修道院」として名高いフランスの世界遺産モン・サン・ミッシェルを思い浮かべる人が多いでしょう。日本国内では、西伊豆にある堂ヶ島(三四郎島)や香川県小豆島のエンジェルロードなどが有名ですね。

そんな地形学的にも貴重で珍しい海洋現象が発生するスポット、実は長崎に2か所あります。壱岐島の「小島神社」と、五島列島のひとつ、前島です。

ではさっそく、長崎のモン・サン・ミッシェル、もとい2つのトンボロを見ていきましょう。

“壱岐のモン・サン・ミッシェル”!島全体が御神域の「小島神社」

小島神社のトンボロ(壱岐島)Photo by Manyumi
九州北部、福岡県博多から玄界灘沖合約67kmの海上に浮かぶ「壱岐島(いきのしま)」。

壱岐島は、面積約134平方km、人口3万人弱の島です。中国の史書『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』に「一支国(いきこく)」として登場するほど、古くから大陸との海上交通の要衝、および交易の拠点として栄え、古代日本の歴史に欠かせない国境離島といわれています。

小島神社のトンボロ(壱岐島)Photo by Manyumi
島内には古墳群や歴史ある神社が数多く残されており、そのうちのひとつが創建400年を誇る「小島神社」です。

かつて「一支国」の王都であった原の辻(現在の原の辻遺跡)を訪れるために古代船が往来した、小島神社がたたずむ壱岐島東部の内海湾(うちめわん)。

ここもまた、潮が引いたわずかな時間だけ小島神社の島と壱岐本島をつなぐ1本の参道が出現し、その姿は「壱岐のモン・サン・ミッシェル」とも称されて人気の観光名所となっています。

小島神社(壱岐島)Photo by Manyumi

「神宿る島」として島全体が御神域とされ、島から”小枝1本すら”持ち出すことは許されません。

島の頂にある小さな社には、天照大神の弟神である須佐之男命(すさのおのみこと)やその母神である伊邪那美命(いざなみのみこと)などが御祭神として祀られており、恋愛成就や縁結び、商売繁盛、五穀豊穣、航海安全などにご利益があるとされています。

小島神社のトンボロ(壱岐島)Photo by Manyumi
訪れる際には、確実に道を目撃できるよう、干潮時刻の事前チェックはマスト。干潮時刻を狙って壱岐島観光のスケジュールを組み立てましょう。

当日の潮位表はインターネットで検索すれば簡単に手に入ります。道の出現は干潮時刻のおおむね前後1時間といわれているので、チェックしていくのがおすすめ。

■(参考)気象庁潮位表:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php?stn=X3

ちなみに、内海湾にはあの「生きた化石」といわれるカブトガニが生息しており、時折、その甲羅が道に漂着していることがあります。ぜひ探してみてくださいね。

■詳細情報
・名称:小島神社
・住所:長崎県壱岐市芦辺町諸吉ニ亦触1969番地
・地図:
・アクセス:芦辺港から車で7分
・壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/spot/10092

五島列島・前島に出現する「前島のトンボロ」

前島のトンボロ(五島列島)Photo by Manyumi
次にご紹介するのが、長崎県西部に浮かぶ五島列島。

五島列島といえば、2018年6月に登録された長崎の世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつとして脚光を浴びました。

そんな五島列島中央部に位置する奈留島(なるしま)の隣、周囲約5.6㎞、人口30人に満たない小さな離島の「前島」に、通称「前島のトンボロ」と呼ばれる砂洲の道が出現します。

前島のトンボロ(五島列島)Photo by Manyumi
全長約400m、幅約10mほどのトンボロの道は、砂地でできた砂州というより、大小の玉石が堆積した石州といった感じ。石と一緒に近隣諸国からからさまざまな漂着物が転がっているのも面白いところです。

前島のトンボロ(五島列島)Photo by Manyumi
前島と道でつながる末津島は、小島神社とは違って何かが祀られているわけではありませんが、やはりどこか神秘的なオーラをまとっています。

なお、大小の石があるため、かなり歩きづらく、藻で滑りやすくなっています。足元にはくれぐれもご注意を。

五島列島・前島の海Photo by Manyumi
余談ですが、前島のエメラルドグリーンの海は五島列島の中でも指折りの透明度!その美しさに思わず言葉を失います。

ただし、前島には海水浴場やシャワー施設、ショップなどが一切ないため、泳ぎたい方や釣りをしたい方は、ご自身で用意しておいてくださいね。

■詳細情報
・名称:前島のトンボロ
・住所:長崎県五島市奈留町泊
・地図:
・アクセス:奈留港から船で10分、江の浦港下船後、さらに徒歩15分
・五島市観光サイト「五島の島たび」:https://goto.nagasaki-tabinet.com/spot/61677

いざ、魅力の詰まった長崎の離島へ

離島ブームや世界遺産登録の影響で、ますます人気が高まる長崎の離島。

今回注目した前島や壱岐島以外にも、五島列島には島それぞれに個性や見どころがたくさん!島独自の歴史や文化もさることながら、抜群の海の美しさやトンボロ、イルカなど、海の魅力も兼ね備えています。

次の旅では、長崎の離島でアイランドホッピングを楽しんでみませんか?

ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

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