④お金のありがたみ、日本の守られた生活を改めて知る
日本にもホームレスと呼ばれ家も職も失い、路上で生活をする人は少なくはありませんが、日本のなにかに守られて生きていることは事実です。貧富の差が今も存在するインドでは、物乞い、路上でお金や食べ物を下さいと後ろをついてくる子供、お金を騙す人、泥棒など、胸が痛む光景も少なからずインドでは、毎日目にします。
インドの物価は日本の半分以下であり、同じ感覚でいると何でも激安で手に入ってしまい、逆にインド人からすればとんでもないお金持ちになるのです。日本人がお金をたくさん持っていることを承知で、堂々とぼったくりをしにきたり、上手に人を騙す人も多く、たくさんの日本観光客が涙を流す姿を見てきました。
「もし今の自分に何もなくなってしまえば、同じように道路に座って、誰かが手を差し伸べてくれる日を待つしかない。それが生きるためだから」と物乞いを、仕事と呼ぶインド人もいました。
インドにいる間は、インドの生活が当たり前になっていますが、帰国すれば元の生活になる。あの時間は、まるでタイムスリップしたかのような世界だったのでは?と、日本のありがたさを痛感します。
同じ世界、同じ時間にも、世界中では色々なことが起きている……いまの自分のしあわせを噛み締めようと再確認しました。
⑤ガンジス川が全部受け止めてくれる
バラナシでガンジス川を眺めながら、ふと感じたことがありました。沐浴をしながらお祈りを捧げる人、全身を泡まみれにしてお風呂がわりにしている人、洗濯をしている人、泳ぎの練習をしている家族、その隣で牛も沐浴をするし、ゴミは山ほど浮いている。
ガートの端では死体を焼いている人やそれを見つめる家族、その隣で元気に遊ぶ子供たち、同じ場所なのに起きていることの温度差に驚きました。
わたしから見ればだだっ広い川に見えても、インド人からすれば神聖なるガンジス川。人生の最期はここに流されるために生きてきたという方も多く、違う州から火葬にやってきます。
「あなたの悲しみも、ガンジス川がすべて流してくれる」
そう言ってガンジス川を指差し、ガンジス川の前ではウソは付いちゃいけないよ?と笑顔で去って行った人。
こうして文化を守り続けるインドに魅力を感じたのは、この瞬間でした。
【結論】インドに行って人生は変わった?
インドに行くと人生は変わる?「いいえ、変わりません」とわたしは答えますが、価値観や人生において、どう生きるか?というヒントをもらいました。
インドに行くと人生が変わるなら、きっと誰もが訪れるでしょう。インドに出会ったから、その後の人生をどう生きようか考えさせられ、自分自身の手で変えたという言葉が正しいです。
実際にインドから帰国後、自由に時間を調節できるフリーランスの道へ進みました。理想の人生を過ごすためには、縛られて仕事をするのではなく、自分で選ぶメリットが魅力だったからです。
「いつか時間ができたらやりたい」という考えを「後回しじゃなく、今にしよう」と自ら行動に移しました。そしてまたインドに行って、ガンジス川でボーッと散歩できる日を楽しみに。
自分にとって大切な【生き方】を見つけた旅
バリバリ働くことが生き甲斐で、仕事に毎日を捧げるなんて当たり前だと思っていました。どこかで「ちゃんとしないといけない」という固定概念。
インドで旅した時間で、わたしはいつも現地の方と過ごしていました。常識が壊され、次第に自分にとって本当に必要なものを気付かせてくれる時間になりました。
今回、わたしがお伝えした「人生・生き方とはなんぞや」をテーマにした、インドのお話。勇気が出ずに、旅に出れない方への第一歩の後押しとなりますように。
All photos by Mayu Takano