インドでは、古来から芸術の街として栄えてきた地域があります。それがインド東部に位置するオリッサ州。オリッサ州は、仏教の街やビーチの観光地として知られる一方で、お洒落な雑貨や骨董品がたくさん並ぶエリアが州内にたくさんあります。
今回は、オリッサ州に3週間ほど滞在した筆者が、オリッサ州とはどんな場所なのか、なぜオリッサ州が芸術村にになったのか、私が実際に行ったおすすめのエリアなどについてご紹介します。
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オリッサ州ってどんな場所?
photo by tabizukan
オリッサ州はインド東部に位置する州であり、約5,000万人ほどの住民が住んでいます。州内には国際空港や大規模なショッピングモールが建つ州都ブヴァネシュワル、世界遺産であるジャガンナート寺院、インドの4大巡礼地として多くの巡礼者が訪れるプリーなどがあります。また、ビーチもあり、多くの観光客が訪れる場所です。
オリッサ州は、もともと住んでいた少数民族が多く住む街でしたが、後に諸王朝のもとで仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教の文化が浸透し、さまざまな文化が融合して独自の文化が作り出されてきました。
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また、古来から芸術の街として栄えており、今となってはインド東部の芸術文化を牽引する存在となっています。
オリッサ州が芸術村になった経緯はカースト制度にあり
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オリッサ州は、多様な手工芸が有名な伝統的な村で多くの職人が集いますが、なぜこんな芸術村が形成されたのかというと、実は、カースト制度が原因なのです。カースト制度は、縦の身分制度(バラモンからシュードラまで)以外に、職業や血縁などで区分する横の制度が存在します。横並びのカーストには、絵師たちの(カーストチットラカール)が存在し、彼らが集まる地域がここオリッサ州だったのです。
カースト制度は現在の法律で禁止されていますが、インドで根付いてきたカースト制度は、国民の習慣や意識を形成しています。
日本国内で芸術の街といえば、トリエンテナーレが開催される瀬戸内海の島々などを思い浮かべるかもしれません。しかし、オリッサ州はこうしたアーティストたちが意図的に集まってできた村ではなく、カースト制度が根付いていた何百年も前から代々受け継がれてできた芸術村なのです。そうした独特の背景からできた街の姿と、代々描かれてきた作品の数々について紹介します。
手工芸品の宝庫「ピプリ村」 へ
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ピプリ村は、ブバネシュワルから約20kmほど南にある街で、世界遺産のスーリヤ寺院にも近い場所に位置します。後述するラグラージプールは美術村として有名ですが、ここピプリ村では工芸村として栄えています。
ここでは、アップリケで作ったパラソルや鏡片や布を縫い付つけたランプシェードなど、お土産グッズが多く並んでいます。高度な技術を用いたさまざまな手工芸品が作られており、現在も主要な産業として街の経済を支えているのです。
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路肩には地元の木工職人が実演中。このように、商品のひとつひとつが職人の手によって作られています。
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ヒンドゥー教の神様とされるジャガンナートをあしらった作品も多く見られました。
・名称:Pipli Village
・住所:Jagannath Sadak、Pipili、 Odisha
・地図:
・アクセス:ビジューパトナイク国際空港からトゥクトゥクで40分ほど
・オススメの時期:暑くない日