ライター
さとり 外に出るオタク

京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

参加者にインタビューしてわかった、奥が深いロンバブルング

photo by satori

試合の観戦は3つほどで切り上げて、残りの時間は周りの人に話を聞いて回りました。その結果、2人の業界関係者から奥が深いロンバブルングの話を聞くことができました。

一人目はこちら、鳥のブリーダーであり、鳥ジャーナリストでもあるYokoさん。Yokoさんからは、ロンバブルングの起源・インドネシア経済への影響についてお話を伺うことができました。

 

ロンバブルングの起源

photo by satori

ロンバブロングの発祥は、明確ではありません。鳥の鳴き声を楽しむ文化はジャワ島で昔からあったため、村で飼い鳥を持ち寄り、ちょっとした賭けをする、というのが始まりではないかと言われています。

ロンバブルングの協会ができて公式に大会が開催されるようになったのは、1980年代からだそうで、それ以後のSNSブームもあって2016年から特に人気が加熱しているというお話でした。

 

ロンバブルングはインドネシアの国策?

意外と歴史が浅いロンバブルングですが、実はインドネシア政府もロンバブルングを奨励しています。なんと、鳥の購入費用であれば銀行から簡単に融資してもらえるのだとか。

国がロンバブルングを推奨する理由は2つあります。1つは、ロンバブルングは職や学歴のない人でもすぐ始められ、収入につながること。2つめは、大会を地方で開催することによる観光振興です。

実際、夫がロンバブルングに参加している間に妻と子供は周辺観光をする、という日帰り旅行パターンも増えているそう。

 

1,000万の値打ちがついたレジェンド鳥の飼い主、Andyさん

photo by satori

もう一人は、今回こちらの大会に偶然参加していた鳥界隈の超有名人であるAndyさん。Andyさんは、「レジェンド」と呼ばれた百戦錬磨のムライバトゥの飼い主です。

photo by Andyさん

彼の所持していたムライバトゥの戦績は、通算200勝。残念ながら2年前に亡くなったそうですが、一時は1,000万の価値がついたのだとか。インドネシアの物価感覚は日本の1/3なので、日本の感覚で例えると3,000万円近くの鳥。

こちらが「レジェンド」のSuara Sakti くんの鳴き声の動画です。

Andyさんがこちらのムライバトゥを市場で購入した時、価格は7万円ほどだったそうです。

しかし、その後めきめきと才能を開花させ、「レジェンド」と呼ばれる鳥になりました。1度の大会で、120万円の賞金を獲得したこともあるそうで、まさに金の卵を産む鳥ですね。

 

勝つ鳥を育てる秘訣は、鳥にストレスをかけないこと

photo by satori

Andyさんによると、鳥の才能以外でロンバブルングに勝つ秘訣は2つ。

1つは、2週間に1度休ませること。2つめは、コオロギや、ヒアリの卵など、天然に近い餌を与えること。鳥にできるだけストレスがかからないように、トレーナーにも色んな工夫があることがわかりました。

いい鳥を入手する方法は、今までは鳥市場で声を聞いて購入するのが主流でしたが、最近は才能ある鳥を交配させて新たなサラブレッドを産ませる方法も増えているそうです。

 

ますます人気の高まる背景で、乱獲の観点から問題も

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最近の鳥人気の高まりで、ムライバトゥは1匹12〜17万円もする高級鳥になってしまいました。ムライバトゥに限らず他の鳥に関しても、スマトラ島・カリマンタン島のジャングルでの乱獲が問題になっています。

その問題はロンバブルングを開催している協会も認識しており、来年の大会からは「専門ブリーダーに卵から育てられた証明である、ステンレス製の輪がついた鳥以外は出場できない」というルールが始まるそうです。

 

インドネシアで鳥のコンテストを見るには?

photo by shutterstock

インドネシアの珍文化、ロンバブルングはジャワ島・スマトラ島の文化で、バリ島や他の島では行われていません。ジャワ島での開催頻度はかなり高く、私が今回参加したような規模の大会はほぼ毎週どこかでやっています(インドネシア語サイトですが、omkicau.comで確認できます)。

 

今回私が参加した大会の開催情報はこちらです。

■開催情報
・名称:WATU PUTIH CUP 1
・開催日時:2019年12月8日
・開催場所:Alun-alun Wonosari (ジョグジャカルタ)
・地図:

おじさんたちは鳥を愛しているか?大会を通して感じたこと

photo by satori

私は正直今回大会に参加するまで、鳥たちの飼育環境や愛情の観点はどうなんだろう?という不安を抱いていました。

しかし、実際大会に訪れて出場者に話を聞くと、皆、自分の鳥をかわいいペットとして、そして相棒・戦友として、大切に扱っていると感じることができました。

ロンバブルングの大会風景は少し地味ですが、鳥がとにかくたくさんいる空間なので、鳥好きにはオススメです。ちょっと変わった「ロンバブルング」文化。インドネシアを訪れる際は、ぜひのぞいてみてください。

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さとり 外に出るオタク

京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

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