ライター
さとり 外に出るオタク

京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

日本人にはあまり知られていませんが、インドネシア人は鳥が大好き。道を歩いていると、軒先に鳥かごが2〜3個かかっている家も珍しくありません。

そんなインドネシアで最近ブームになっているのが、「鳥の鳴き声コンテスト」という大会。噂によると、優勝賞金が車だったり、優勝した鳥に超高額な価値がつくこともあるのだとか。

今回は、謎に包まれたインドネシアの「鳥の鳴き声コンテスト」について紹介いたします。

 

鳥の鳴き声コンテスト、「ロンバブルング」とは?

photo by satori

鳥の鳴き声コンテストは、インドネシアでは「ロンバ(=競争)ブルング(=鳥)」と呼ばれています。

ロンバブルングに参加するのはほぼ男性、というかおじさんばかり。なぜおじさんばかりなのかはっきりとした理由はないので、私の考察で恐縮ですが、その理由はロンバブルングの仕組みにあると言えます。

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ロンバブルングのシステムは、掛け金(参加費)を支払い、持ち寄った鳥の中で一番得点を獲得した鳥の飼い主が多くのお金を回収できる、というもの。

参加費はピンキリで300円ほどのものもあれば、一番高い大会では15万円する場合もあるそうです。その分リターンも大きくなるわけですが、競馬のようにギャンブル性が高いため、男性の愛好者が多いのではないかと思います。

 

実際行われたロンバブルングに参加してきた

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鳥の鳴き声を競うロンバブルングは、一体鳥の鳴き声をどう評価するのでしょうか?今回は実際私が参加した、ジョグジャという観光都市での大会の様子をご紹介します。

 

まずは出場登録。部門は35部門も!

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出場者はまず受付で出場者登録をします(見学者は登録不要。自由に見て回ることができます)。

こちらが今日のコンテストの予定表で、なんと35部門もあります!部門は鳥の種類で分かれており、この大会では少ない部門は300円、多い部門は1,200円とそれぞれ参加料が異なります。

インドネシアの物価感覚は大体日本の1/3くらいなので、一番高い部門で3,600円くらいの参加費(賭け金)を払う感覚です。結構高いですね。

 

開会式では全審査員が公平に審査することを宣言

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開会式では全ての審査員が一斉に並び、神に誓って公正に審査することを誓います。確かに、「鳥の鳴き声」なんて聞くからに曖昧なものを審査する立場は、公平性が大事そうですね。

一番最初は、BRANJANGAN PARVA(日本名:ヤブヒバリ)部門。

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ヤブヒバリは、オーストラリアやインドネシアに生息するヒバリの仲間。ピチチッピチチっと短く鳴きます。

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参加者は鳥かごを自分の登録番号の下に吊るし、観客席で待ちます。

 

担当の審査員が現れ、いよいよスタート!

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採点の様子はというと、審査員「47番、鳴いた!(シートに書き込む)」、審査員「31番、鳴いた!(シートに書き込む)」の繰り返し。なんというか、地味です。鳥はピヨピヨと鳴いたり、鳴かなかったり。

審査員は、採点ボードを持って鳥かごの周囲を歩き、シートに点数をつけていきます。

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審査は5分ほどで終了。採点用紙を回収し、審査員が得点の旗を鳥かごの下に置いていきます。そして、一番高得点を獲得したの鳥の番号が読み上げられて結果発表。皆わらわらと自分の鳥を回収しに行きます。

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こちらが今回の優勝者です。Tシャツがヤブヒバリの柄です!よっぽど好きなんですね。日本では鳥の絵がプリントされたTシャツをきているおじさんはめったに見れないでしょう。

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審査員が書き込んだ採点のシートも、後ほどきちんと公開されていました。

採点の方法は部門によって異なりますが、ヤブヒバリの場合は「鳴いた回数」「鳴き方の安定性」「鳴き声のバリエーション」が評価対象のようです。

 

第二試合。今度は日本でもおなじみのセキセインコで、インドネシアでは「愛の鳥」と呼ばれています。

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こちらも、チュイッッチッチッチ! と短く鳴きます。

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先ほどの部門では、審査員がカゴの下を歩きまわっていましたが、今回は端から見て「15番!鳴いた!」と、鳴いた鳥を確認してボードに小さい旗を挿していきます。たくさん鳴く鳥がいい鳥のようです。

ちなみに、観客側からすると、60羽もの鳥が一斉に鳴くので何が何だかよくわかりません!

 

35部門もあるのでサクサク進みます。第三試合は今大会では最大賞金の部門で、大本命といえるムライバトゥ(アカハラシキチョウ)の試合です!

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ムライバトゥは尾も含めた全長約26cmの少し大きめの鳥。美しい鳴き声で知られ、ロンバブルングの代表格と言える鳥です。鳴き声は独特で「ピュイーーーーーーチッチッチットゥルルルル……」と、基本的に長め。

オウムのように、他の鳥の鳴き声を学習する鳥なので、それぞれで鳴き声が違うそうです。

 

ムライバトゥの今大会参加料は1,200円と一番高く、そのぶん優勝賞金も高くなります。出場鳥数によって変動しますが、おそらく1位の賞金は5万円ほどでしょうか。

また、この鳥は採点項目が多く、歌声だけでなく、メロディーや尻尾の振り方なども採点の項目になるようです。

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優勝賞金が大きいので、試合は大盛り上がり。主に周りの飼い主が、ピィピィ声かけをしたり手を叩いたりする音です(審査妨害の目的もあります、無法地帯!)。

優勝発表の流れは基本的に同じなので、終わっても勝利の余韻を味わったり、悔しがることなくみんなサッとカゴを回収します。この大会の見栄えは基本的に地味です。

大会は大体ずっと同じようなテンションで、35部門すべてが終わる夜まで続くそうです。

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京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

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