いきなり「アイルランド」といわれても、あまりピンとこない人もいるかもしれません。じつはわたしもそのひとりでした。
それでも、もっと知りたくなる!見たくなる!そんなスポットに訪れたので、ぜひ紹介させてください。
ご紹介する3つのスポットに共通するのは、自国の文化への誇りと愛情を感じることができるということ。そして、数多くの工夫を凝らしてわたしたちを魅了してくれます。
それではひとつずつご紹介していきましょう。
ビールに魅せられて|ギネスストアハウス
こちらは、アイルランドが誇る「ギネスビール」について存分に体感できる施設です。
壁の高い煉瓦造りの建物に近づくところから、基地に潜入していくような臨場感があります。皆さんにも、ギネスストアハウス周辺一帯が、他とは違う雰囲気が漂っているのを感じてみて欲しいです。

予約時に送られてきたQRコードを見せて建物に入ると、その先でまた本入場まで少し待機。薄暗い倉庫の中のようなところで待つ時間は、大阪の某テーマパークで感じるわくわくに似たものに包まれました。
数フロアにまたがり、次々と繰り広げられる展示を見ながら建物の上に上に誘われます。こだわりの原料や製造過程、歴代の広告も。フォトスポットで写真を撮るゲストもたくさん居ました。
魅せ方の工夫が至るところで施されており、今度は何が観れるのだろう?と、足を進ませるのが楽しいのです。
缶パッケージもビールの大事な要素のひとつ
なかでもわたしが感動したのは、ビールの熟成について説明しているブース。樽をつくり、ビールを充填し、寝かせる工程を動画で観ることが出来るのですが、普通に観るのではありません。ゲストは、その場に複数ある樽の中に埋め込まれたスクリーンを覗き込むのです。
最上階まで上がると、グラヴィティ・バーが待っています。ゲストはギネスビールをはじめ、好きなドリンクを1杯飲むことができます。わたしは、これまで展示を見学した総まとめとしてギネスビールをいただきました。
クリーミーな泡とビールの苦味を同時に味わえます
見学と試飲を終えたゲストを待ち受けるのはお土産屋さん。たっぷりとグッズが揃えてあり、ここでまたギネスビール愛を感じました。
家族連れのゲストもたくさん。ビール好き同士で行くのはもちろん、ビールが好きではない人も、展示そのものを楽しめると思います。
歴史を語り継ぐ場所|トリニティ・カレッジ・ダブリン
アイルランドの国宝である「ケルズの書」にお目にかかれるのがこちら。「ケルズの書」とは、8世紀に作成された福音書で、世界一美しい本とされています。
また、ずらりと並んだ本棚が出迎えてくれる「ロング・ルーム」も見どころです。
ロング・ルーム
そのほかにも、偉人たちの像が会話しているところに出会したり、ケルズの書のこれまでについての映像を見ることができたり、目が離せないものばかりです。
さまざまなアイデアを形にしている工夫を目にするたびにわくわくして、とても刺激的。世代問わずに興味を持てる仕掛けをつくりだしていて、歴史や展示そのものへの愛情を感じました。
いろいろな国の人たちが集まり、アイルランドにまつわる映像を観るこの光景のなかに、自分が居れたこと。それは我ながら非常に新鮮で不思議で、貴重な体験ができたなと思います。
現代技術を用いて、歴史を語り継ぐ場所をつくること。そこには住んでいない人々をも魅了して、未来へ向かっている最中なのだと、実感した場所です。
さまざまな角度から知るアイルランド|アイルランド移民博物館
こちらでは偉人、音楽、美術、食文化、スポーツなど、さまざまなテーマに沿って、アイルランドについて知ることができる博物館です。
ちなみにわたしは滞在中、アイルランドにルーツを持つエド・シーランの曲を聴き込みました
倉庫のような空間で足を進ませながら、映像を観たり、ときに手を動かして、多くのインプットを得る時間になるでしょう。
映像を観るスクリーンの前には椅子が用意されており、休み休み展示を見ることができるのも嬉しいポイント。
スタンプラリーも楽しいですよ。スタンプ台紙をスタンプ台の下に差し込めば、枠にちゃんと収まるようにスタンプそのものが固定されているのが画期的でした。
スタンプ自体のデザインは全て似たものですが、ガチャンという押し心地がクセになります。
そしてびっくりしたのが、展示の出口にスタンプ台紙のリサイクル回収箱が置かれていたこと。綺麗にスタンプが揃ったものがたくさん回収箱に入れられていました。
思い出に持って帰らないのね……と思ったのと同時に、潔さや環境への配慮も感じます。
入場時にもらったレシートを持って行けば、10日以内は無料で再訪することができました。見どころが多い施設なので、とてもありがたいサービスです。
さいごに
アイルランドが誇る文化や歴史を「体感」できる場所。ご紹介した3つの施設以外にも、まだまだたくさん存在するのでしょう。
まるで過去と現在の融合地点のような場所が、とても魅力的につくりあげられており、わたしがびしびしと感じた感動がこの記事で少しでも伝わると嬉しいです。
異国での思い出を胸に、もっと日本の博物館や歴史を語り継ぐ場所に赴いてみたいという気持ちも芽生えました。
All photos by Natsumi Nakamoto