ライター

自然豊かな島々をはじめ、さまざまな旅先で出会った感動を写真におさめることが好き。各地の景色や物語、人々のあたたかさに触れながら、その地域ならではの魅力をひとりでも多くの方に届けるために活動中。趣味はカメラ、アート巡り、ダイビング。

効率的に観光スポットをまわって、スケジュール通りに進める旅。そんな旅も楽しいけれど、心の赴くままに過ごしたいときもありませんか?

私が好きな旅のテーマは「感じること」。目で見る美しさだけでなく、肌で感じる風、耳に届く自然の音、舌で味わう地のものの恵み。五感をフルに使って、その土地の本当の魅力に出会うことを大切にしています。

日々の忙しさから離れて、大自然に触れながら心と体をリセットする。そんな旅の時間が、私にとってはとても大切なもの。

今回は東京から高速船で約1時間45分、フェリーでも6時間程度で行ける離島、伊豆大島を例に、「感じる旅」のスタイルを紹介します。

移動手段はレンタサイクル。全身で自然を感じる

東京から近いところにありながら、美しい自然と、どこかほっとする町並みが広がる伊豆大島。島の真ん中にそびえる三原山は活火山として有名で、火山島ならではのダイナミックな景色を楽しめます。観光地化されすぎていない素朴な雰囲気が残っていて、島の人たちの温かい暮らしにも触れることができるのが魅力です。

島の自然を満喫するには、移動手段はレンタサイクルがおすすめ。島風を全身で感じながら自転車をこぎ、体を動かす心地よさと、大自然を肌で感じる爽快感が同時に味わえます。


島内には、自然の力を感じられる絶景スポットがたくさんあります。火山灰で真っ黒な砂が広がる「砂の浜」や、バウムクーヘンのように積み重なった地層が見られる「地層大切断面」。そして大きな根が印象的な「泉津の切通し」など、島の歴史を感じることもできます。


これらのスポットを自転車でゆっくり巡りながら、それぞれの場所で立ち止まって、その瞬間の空気に触れる時間も大切にしています。

海の中で究極の没入体験を

離島を旅するときに楽しみにしているのが、自然豊かな海の中での時間。今回も趣味でもあるダイビングで、海の世界を満喫しました。

伊豆大島の海は透明度が高く、色とりどりの魚たちと一緒に泳ぐことができます。また、潜った瞬間に水に包まれる「没入感」もダイビングの醍醐味のひとつ。日常の騒がしさから切り離されて、自分の呼吸音だけが響く静かな世界。いろいろな雑念から開放され、ただ目の前に広がる景色を楽しむことに集中することができます。


ダイビングだけでなくシュノーケリングなどの体験も可能。インストラクターの方も丁寧にサポートしてくださるので、初心者の方も安心です。海が持つ癒しの力を、ぜひ体感してみてください。

地のものを味わって、島の恵みに感謝

島での食事は、その土地の文化や自然の恵みをダイレクトに感じられる体験だと思います。伊豆大島では、島の名産として知られる明日葉を使った料理はもちろん、新鮮な海の幸も味わうことができます。

漁師さんが営む食堂では、その日に獲れたばかりの魚を使った料理に出会えることも。魚の新鮮さはもちろん、漁師さんならではの調理法で、魚本来のおいしさを最大限に引き出した料理は本当に絶品です。


特に島の郷土料理「べっこう寿司」は、絶対に味わってほしい一品。島唐辛子のピリッとした辛さが効いた醤油だれに漬けた白身魚のお寿司で、日本酒にも焼酎にも最高に合う、島ならではの味。

また、伊豆大島は酪農も盛んな島。大島牛乳を使ったアイスは、濃厚なのにさっぱりした後味でおすすめです。

予定に縛られすぎず、感じるままに過ごす

島の穏やかな雰囲気に包まれて、いつもより肩の力が抜けて、のんびり過ごせるのが島旅の特徴。都市部での生活とは時間の流れ方が異なり、自然とゆったりしたペースで過ごせるようになります。

そんな環境だからこそ予定を詰め込むのではなく、天気や気分、その時の体調に合わせて過ごし方を決めるのも、楽しみ方のひとつだと思います。

晴れた日は自転車で島を巡って、新しい景色や出会いを求めてプチ冒険。雨の日は宿やお気に入りのカフェでのんびり過ごして、読書したり島の人たちとの会話を楽しんだり。疲れを感じた時は予定を変更して、ただ海を眺めながらぼーっと過ごす。そんな柔軟な旅の仕方が、心の余白につながる気がしています。


実際、島の一部エリアでは電波が入りづらい場所もあります。最初は不便に感じるかもしれませんが、これが自然なデジタルデトックスにも繋がります。

SNSのチェックに追われることも、誰かからの連絡に急かされることもない。ただその瞬間の自分の心の赴くままに時間を使える環境が、心地よいリラックス状態へとつながります。

夕日を眺めながらぼーっと過ごす時間、満天の星空を見上げて深呼吸する瞬間。そんな何気ない時間こそが、実は最高の贅沢なのだと気づかされます。
「効率よく観光地を回らなきゃもったいない」っていう思い込みを手放すと、旅の楽しみ方や発見の幅がぐっと広がる気がしています。

「感じる旅」のススメ

今回紹介した伊豆大島での旅は、私が好きな「感じること」「ゆだねること」を大切にした旅のスタイルでした。

レンタサイクルで島風を感じながら巡った絶景スポット、海の中での瞑想のような没入体験、島の恵みをたっぷり味わった食事、そして予定に縛られることなく心の赴くままゆったりと過ごした時間。これらすべてが心と体のリセットにつながり、また日常を頑張れるパワーの源になっています。

効率性や生産性を重視する日常から一歩離れて、自然のリズムに身をゆだねること。日々、何かに追われて、効率的に物事を進めることが求められることも多いですが、ときにはそのペースを緩め、本来の自分らしさを取り戻す時間も必要だと感じています。

東京にいることを忘れてしまうほどの非日常感がありながら、気軽に行ける距離感。この絶妙なバランスも伊豆大島の魅力です。忙しい毎日の中で疲れを感じたとき、自分を見つめ直したいとき、「感じる旅」を通して豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

All photos by yuri

ライター

自然豊かな島々をはじめ、さまざまな旅先で出会った感動を写真におさめることが好き。各地の景色や物語、人々のあたたかさに触れながら、その地域ならではの魅力をひとりでも多くの方に届けるために活動中。趣味はカメラ、アート巡り、ダイビング。

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