ライター
さとり 外に出るオタク

京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

海外に興味にある方ならおそらく一度は耳にしたことがある、「青年海外協力隊」。協力隊の試験に受かってから実際に派遣される前に、70日間の合宿訓練があるのはご存知でしょうか?

今回は、あまり知られていない「青年海外協力隊・派遣前70日合宿訓練」の生活と、実際私が途上国で役に立ったスキルなどを紹介します。

※訓練の情報は2019年のものであり、もちろん多大に私個人の主観が含まれています。

訓練の目的は、途上国に行く前にそれ相応のスキルを身につけること

photo by JICA

青年海外協力隊は、 JICA海外協力隊という政府のボランティアプログラムの一部で、年間約1,000人が各開発途上国に派遣されています。

協力隊についてあまり知らない人に「70日間の派遣前訓練」があることを教えると、「なぜそんなに時間がかかるの?何を学ぶの?」と聞かれることがあります。その疑問への一番簡単な答えとしては「語学の習得に70日間必要だから」。

 

しかし、公式HPの合宿訓練に関する説明文を読むと、「訓練は、海外協力活動を行うために必要な知識を学び、能力と資質を養うことが目的」とあります。

つまり、この訓練は語学能力の習得のみを目的としたものでなく、途上国へ派遣される前の総合的なスキルを身につける場所でもあるわけです。

実際、派遣国の公用語が英語で、すでに英語が堪能な人であっても70日間の訓練を受ける必要があります。

 

訓練所での生活は、ほぼ勉強!時々休み

photo by satori

訓練所は日本に2箇所、福島県と群馬県にあります。どちらも都会から非常に離れているおかげで娯楽の誘惑が極端に少なく、勉強に集中できる(というかするしかない)環境といえます。

実際の70日間の、日曜を除く毎日の合宿スケジュールはこのような感じ。

photo by satori

このように、1日のほとんどは語学です。現地のコミュニティで仕事をする青年海外協力隊にとって、現地語を話せることは必須。授業は平均毎日5時間みっちり語学を学び、多くの人は夜も自習します。

授業以外の時間も、体づくりや健康法の講義、訓練生(70〜200名)全体での共同生活を通しての課外活動があり、とにかく学ぶことが多い日々!

そのことを踏まえ、実際に途上国に来て特に役立ったと感じるスキルを紹介していきます。

 

現地の言語はやっぱり最重要!

photo by satori

やはり、1日のほとんどが語学なだけあって、現地の語学を日本で習得することの意味はとても大きいです。訓練所では、スワヒリ語(タンザニア)やテトゥン語(東ティモール)などの、日本では学ぶのが難しいマイナー言語もみっちり勉強することができます。

 

「70日の訓練でどこまで喋れるようになるの?もうペラペラ?」とよく聞かれるのですが、これは正直、言語及び個人差によって変わります。

文字の書き方や読み方から違うタイ語・アラビア語や、発音が複雑なベトナム語など難易度の高い言語もあれば、もともとローマ字で英語との共通単語も多いインドネシア・マレー語もあります。

ただ、卒業した時点で、全員が「なんとか現地語でコミュニケーションがとれる」というレベルにはなるように調整されています。

 

70日間でインドネシア語能力は、辛うじて意思疎通できるレベル

photo by satori

私の学習していたインドネシア語は、「かなり簡単な言語」に含まれるらしいのですが(過去の訓練生のレポートに「他の言語学生から「インドネシア語は簡単だからいいよな」と言われるのが地味に辛かった」と書いてあるほど)、それでも現地に行くと、ネイティブの会話は全く聞き取れませんでした。

語学学校の教師など、わかりやすく喋ってくれる人と話すとやっと聞き取れるというレベルです。やはり仕事で成果を出そうと思うと、自主的な勉強が必要でした。

 

その国の言葉を話すことのメリット

協力隊員は現地のコミュニティで活動するため、その国の言語能力は必須とされていますが、海外で働く人の中には「職場の公用語が英語なので現地語を喋る必要がない」という人もいます。

ですが私は、仕事で使わなくても、現地の言葉を話せること・学ぶことは非常にメリットが多いと思います。そう感じる一番の理由は、現地語を話すことで現地の人に喜んでもらえたり、すぐ仲良くなることができるから。

私もよく、インドネシア国内の観光地で出会った地元の人に「インドネシア語できるの?上手いね!」と喜んでもらえ、観光客の行かないディープな場所やおいしいお店に案内してもらえたりすることがあります。

また、現地語は英語と違って老若男女が使える言語。このように村の子どもたちと触れ合うこともできます。

photo by satori

デメリットとしては、現地語によって英語能力が上書きされてしまうことでしょうか。

この前、観光地で台湾人と話そうとした時に「How many times?」すら全く出てこず、辛い思いをしました。現地語でいっぱいいっぱいにならず、英語の勉強も続ける必要を痛感した出来事です。

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京都出身。ジョグジャというインドネシアの古都の観光局で働いていました。(青年海外協力隊として)京都と東南アジアが好きです。

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