インドネシアにある1000人の村で3ヶ月間一人で暮らしてみたら、人生が変わった話

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暗闇の一本道、道しるべは蛍の光

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photo by shutterstock

屋台からの帰り道、イケメンがいる果物屋さんに寄って、元気な女亭主がいる美容院に寄る。やっほーという具合に。これが定番の帰り道だ。村まで続く田んぼの中の一本道に外灯はない。暗闇の中、月明かりとたくさんの蛍の光が道しるべだ。

「暮らす」とはこういうことだと思う。顔見知りができて、いつも通う道ができて、その地で「日常」ができる。何気ない毎日が最高の贅沢に感じていた。

 

村の人とはすぐに仲良くなれた。不安なのは最初だけ。センチメンタルな気持ちになるのも慣れるまで。村の人に認められたい気持ち半分、でもすぐに私の心は好奇心で埋め尽くされて、ボランティア以外にも、田んぼの作業を手伝ったり、うんちまみれの牛を川で洗ったりもした。

(私、どんどん強くなってる)。勝手に思ってにやにやしていた。

 

自分の感情にどれだけ無頓着だったのだろう?

村には、不便に勝る豊かさがある。新しいことに毎日出会って、価値観が崩れて、心身が順応していく感覚がたまらなかった。人の優しさを知って、生きていく知恵を身につけて、度胸も少しずつ備わっていく。

少しのことで感動できる自分にも、初めて出会った。ごはんが美味しい、空がきれいだ。知らない人が優しくしてくれた。わくわく、どきどき、くやしさ、さびしさ、そんな感情の変化も、日本ではどれだけ無頓着だったか分かる。

つまりは、「私、生きてる!」って感じる日々だった。

 

2週間も経って暮らしに慣れると、授業以外の空き時間も多くなる。私は何か他にできることを探した。幼稚園を見つけて活動を始めさせてもらったり、放課後を利用したクラフト教室を開いたり、英語の絵本を読む時間をつくったり。

お休みをもらった時には、バスで 4時間ほど離れた孤児院や、売春街でボランティアを経験させてもらった。3ヵ月という期間は、あっという間に流れていった。

 

「Natsu、一生ここにいてほしい」

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photo by *saipal

3ヵ月間のボランティアの集大成として、私は最後にスカイプを使って日本とインドネシアの小学生をつなぐことにした。子どもたちは恥ずかしがりながらも、モニターの向こうにいる日本の子どもたちへ、一生懸命に練習した英語の質問を投げかける。

「雪で遊んだことがありますか?」「ドラえもんは本当にいますか?」「将来は何になりたいですか?」。可愛い質問が微笑ましい。この授業は先生方からも大好評で、子どもたちも英
語を学ぶ大切さを感じてくれたようだった。

 

それから、私は子どもたちと約束をつくった。タイムカプセルだ。子どもたちに思い思いの絵や未来の自分への手紙を書いてもらい、ひとつの箱に詰めた。開けるのは 3年後。「戻ってくるね」。そんな口約束ではなく、必ず会いに戻ってくるために、タイムカプセルを開けるという使命をつくった。

校長先生が言ってくれた。

「あなたはこれまでの誰よりもフレンドリーで素敵だったわ。子どもたちだけじゃなく、先生にも気軽に話しかけてくれて、みんなが嬉しかったのよ。みんな Natsu のことが大好きよ。だから、いつか必ず戻ってくるんだよ」。

 

ステイ先のお母さんも、私の手をさすりながら言ってくれた。

「みんな、Natsu が一生ここにいてほしいと思っているのよ。あなたがここにいてくれて本当に嬉しい」。言葉にできない想いが込み上げた。あたたかい手を握り返して、ありがとうしか言えなかった。

 

泣きながら、何度もハグをした

最後の週は、村中にあいさつまわりをした。よくしてくれた村の人みんなに、ありがとうとどうしても言いたかった。

私「もう帰らなきゃいけないの」
村人「え! 帰る必要なんてないよ! ここにずっといなさい」
村人「夫をつくりなさい」。みんなが言ってくれる。

そして必ず、「いつここに戻ってくるの?」と聞かれた。たった 3 ヵ月で、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、大切な人がたくさんできた。

空港にはたくさんの人が見送りに来てくれた。バイクで 6時間はかかる場所から、わざわざ来てくれた人もいた。普段はまったく村の外には出ない家族や親戚の姿もある。それだけで、もう本当に幸せだった。泣きながら何度もハグをした。

 

ボランティアをする動機なんて「誰かのため」じゃなくていい

私はとにかく行く国、行く国で、その土地の人になりたかった。現地の人と触れ合いながら、言葉を覚えて、同じ環境のなかで生活してみたかった。

このボランティアにくるまで、ちょっぴり切ない旅を繰り返してきた。やっぱり旅は日数が限られていて、せっかく仲良くなっても、すぐにさようならだから。

でも今回は、インドネシアで「暮らす」ということをやってみた。そしたら世界に家族ができた。日本以外にもう一つ、自分の居場所ができた。

 

その土地の人が、自分が知らなかったことをたくさん教えてくれた。その環境が、自分がやったことのないことに挑戦させてくれた。旅にしろ、留学にしろ、ボランティアにしろ、知らない世界に行くことは、私たちにたくさんのことを与えてくれる。

(動機なんて、誰かのためとか、たいそうな理由でなくていい)。

「自分のため」であっても、「やってみたいから」でもかまわない。私は本当にそう思う。そこで受けた優しさや経験を力に変えて、いつか社会に恩返しができればいいと思うのだ。

 

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TABIPPO.NET編集部
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全員が世界一周を経験したメンバーが学⽣時代に作った組織がTABIPPOです。設立して5年半、2014年4⽉に株式会社になりました。とにかく旅が好きで、たくさんの人に旅を広めたいと思っ…

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