全国各地に活火山が点在する日本には3,000を超える温泉地があり、古くからお風呂や温泉は私たち日本人にとって欠かすことのできない重要な文化です。
特に10月を迎え、朝夕が涼しくなってきたこれからの季節は、ポカポカの温泉にゆっくりと浸かってリフレッシュしたいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、源泉数、湧出量ともに日本一を誇る別府の地にある温泉旅館「界 別府」の魅力をまるっとご紹介したいと思います。
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空の玄関口、大分空港からバスで別府の市街地へ
Photo by Kento Sato
首都圏から大分県へのアクセスは飛行機が便利。羽田空港→大分空港は毎日10便以上が就航し、約1時間30分のフライトであっという間に大分県へと到着します。
大分県からは、別府、由布院、大分などの主要な都市へはバスが毎日運行。今回訪れる「星野リゾート 界 別府」は、別府駅前行きのバスに乗車し、途中のバス停「別府北浜駅」で下車後、徒歩約3分ほどで到着です。
賑やかな温泉街をイメージ。星野リゾートの温泉旅館ブランド「界 別府」
Photo by Kento Sato
星野リゾートが運営する「界」は、全国各地に20以上を展開する温泉旅館ブランド。和の快適さを追求した空間と、その場所その季節でしか体験できないおもてなしが特徴的。空間や体験を通してその地域ならではの魅力や、上質な温泉を存分に楽しむことができるお宿です。
今回私が宿泊した「界 別府」は、2021年7月にオープンした九州地方3つ目となる新しい施設。設計は日本を代表する建築家の隈研吾氏が手掛け、昼と夜でドラマティックに変わる別府の温泉街さながらの様子が楽しめるのが特徴的。
1階のエントランスは黒を基調とした落ち着いたトーンのデザインで、入口の奥から照らされる光が美しく、洞窟の中に入っていく様子をイメージしているのだとか。エントランスから冒険心がくすぐられるデザインに思わず心が躍ります。
Photo by Kento Sato
エレベーターで2階に上がってすぐの「湯の広場」では、ガラス張りで開放感溢れるオーシャンビューの風景が出迎えてくれました。天井の照明は季節ごとにデザインが変わるのだそうで、私たちが訪れた時期は赤と白のお祭り感溢れる佇まい。
Photo by Kento Sato
向かって左に目を向けてみると、温泉の象徴であるサワラの桶が幾重にも重なった風情ある手湯がありました。手湯に流れる温泉では手を洗うことができるので、コロナ対策にもなって安心して利用できるのが嬉しいですね。
ロビーではウェルカムドリンクを頂きながら、チェックイン手続きと館内の説明をスタッフさんが丁寧にしてくださり、スムーズにチェックインが完了。手続きが全て終わると、いよいよエレベーターに乗ってお部屋へと向かいます。
オーシャンビューの絶景が楽しめるご当地部屋
Photo by Kento Sato
いくつかの種類があるお部屋の中で、今回私たちが宿泊したのは最上階の11階に位置する「露天風呂付き特別室」。大分県の名産品の竹であしらわれた部屋番号が、可愛らしいデザインです。
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お部屋の中に入ると、まず最初に視界に飛び込んでくるのが、オーシャンビューの絶景です。別府湾を望む海沿いの贅沢なロケーションに佇む「界 別府」は、全部で70ある客室の全てがオーシャンビュー。
大海原を絵画のように楽しめる大きなピクチャーウィンドウからは、眼前に広がる別府湾の雄大な景色が楽しめます。天気が良ければ四国まで見渡すことができるのだとか。いつまでも眺めていられる絶景に思わずテンションが上がってしまいます……!
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お部屋の壁は、別府の観光名所である「血の池地獄」から着想を得た古代色の柿渋色を採用。日本一の源泉数や湧出量を誇る別府温泉の熱気や、温泉が湧きだす溶岩大地をイメージし、客室から眺める海の色がより引き立つようデザインされているのだそう。
また、ヘッドボードや照明などのインテリアには豊後絞りが取り入れられ、地域の文化や伝統工芸に触れることができました。別府ならではの個性を感じる空間も、とても素敵ですね。
Photo by Kento Sato
さらに今回宿泊した「露天風呂付き特別室」には、海を眺めながら入浴ができる露天風呂が。移り変わる景色を眺めながらゆっくりと温泉に浸かる時間は至福そのもの。広々とした温泉を独り占めして入浴できるなんて、贅沢な心地にうっとりしてしまいますね。
Photo by Kento Sato
館内着は楽に過ごすために設計された作務衣が準備。アイテムひとつ取ってもゆったりと過ごすための心遣いが感じられます。
スタッフさんの丁寧なサービスや素敵なお宿の雰囲気の中にあっても、館内で自然体で過ごすことができたのは、気取らない作務衣のおかげだったのかもしれません。
別府の温泉を深く知り、楽しめる「温泉ミスト作り」
Photo by Kento Sato
現代社会において、長期間温泉で療養する時間を取るのは難しいもの。そこで、1泊2日で温泉の効果を最大限引き出すために「界」が提案しているのが「うるはし現代湯治」です。
その取り組みのひとつとして、日本全国の界では、その地域の温泉や効果的な入浴方法について学ぶことができる「温泉いろは」が開催されています。「界 別府」の「温泉いろは」は、全国的にも珍しい体験型の温泉ミストづくり。
別府の街中に点在する温泉の配管をモチーフにした「ラボ」で、乾燥しがちなお風呂上がりの保湿にぴったりのオリジナルの温泉ミストが作ることができます。
Photo by Kento Sato
開催時間は、PM3:30~ / PM4:15~ / PM5:00~の1日3回。
温泉ミスト作りでは、小さい頃に理科の実験で使ったことがあるような懐かしいアイテムの数々がズラリ。実験っぽさにラボらしい雰囲気も相まって、参加者の表情は真剣そのもの。
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それぞれの参加者が温泉水やグリセリン、香り付けの精油などを調合し、オリジナルの温泉ミストを作成することができます。
温泉ミストの香りは、「ラベンダー」「かぼす」「杉」の3種類。悩みに悩んだ末に、私は森林浴をしているような清々しい香りが特徴的な「杉」のミストにしました。
Photo by Kento Sato
出来上がったミストは、容器につめて「界」のオリジナルシールを貼ると完成!お土産として持って帰ることができるのがとても嬉しいですよね。乾燥に悩まされるこれからの季節は手放せないアイテムになりそうです。
足湯に浸かってまったりと寛ぐひととき
Photo by Kento Sato
温泉ミスト作りの後、夕食まで少し時間があったので、「湯の広場」にある足湯でまったりと過ごしました。足湯は24時間いつでも利用可能。足湯からはオーシャンビューの眺望で、いつでも気軽に癒やされるのが嬉しいですよね。
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また、全国の「界」にはその土地に関する歴史や文化についての本や、無料のドリンクなどが楽しめる「トラベルライブラリー」があります。「界 別府」のトラベルライブラリーは、ベージュを基調とした落ち着いた雰囲気。
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コーヒーや紅茶、大分名産のかぼすのドリンクやスパークリングワインなど、様々な種類のドリンクがラインナップ。トラベルライブラリーにあるドリンクは、足湯に持って行って飲むのもOK。ドリンクを片手に足湯でまったりと過ごすのがとても贅沢なひとときでした。
地元の食材を使用した絶品の夕食
Photo by Kento Sato
夕食は17:30~と19:30~の2つの時間帯があり、私たちは夕方17:30からちょっと早めの夕食を頂きました。
地元の食材が楽しめる絶品の夕食のお供は、大分県が誇る日本酒「知恵美人」。フルーティな香りが特徴的で、日頃から日本酒をあまり飲まない方でも飲みやすい爽やかな味わいがおすすめのお酒です。
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彩り豊かなお料理はどれを食べても絶品。その中でも特に海沿いの町である別府は海の幸がひときわ美味しく、旬の関サバや関アジはお酒との相性も抜群です。
大分名産の竹が散りばめられた食器や、風味付けで随所に取り入れられたかぼすなど、大分らしさが感じられる点もとても素敵です。
Photo by Kento Sato
お食事を語る上で外せないのが、別府にちなんだ食材が彩る豊後なべ。伊勢海老やクエ、ふぐなどの新鮮な魚介類や、自家製の団子麺などが楽しめるお鍋に舌鼓。
魚介の出汁とカボスの果汁をふんだんに感じるお鍋は、笑ってしまうくらい美味しくて、幸せな時間を過ごすことができました。
Photo by Kento Sato
しっかり旨みが染み出たお鍋の締めは雑炊で決まり。お米と卵を投入し弱火でぐつぐつと火を通すと、見るからに美味しそうな雑炊の出来上がり。魚介の旨みと優しい味わいがお食事の締めくくりにぴったりの一品です。
提供されるお食事は、季節によって異なり、訪れるその時々で旬の食材を使ったお料理が楽しめますよ。
賑やかな夜の温泉街の風景を楽しむ
Photo by Kento Sato
夕食を終え、湯の広場に来てみると、昼とは様子が一変。華やかに彩られ、出店が出ている様子は、まるで賑やかな夜の温泉街のよう。コンセプトでもあるドラマティックな温泉街の風情にワクワクが止まりません。
Photo by Kento Sato
「地獄バー」では、ピニャコラータやグリーンアップルなどの原液を炭酸や焼酎で割って、色鮮やかなカクテルが楽しめます。お酒やドリンクを片手にゲームに参加すると、気分はたちまちお祭り気分に。
Photo by Kento Sato
昼間に温泉ミストを作ったラボは、夜になると「スマートボール」会場に様変わり。ボールを弾いて穴に入れるというシンプルなゲームなのに、思わず白熱してしまいます。盛り上げ上手な女将さんがいらっしゃったので、その場にいた人みんなで大盛り上がりのひとときとなりました。
Photo by Kento Sato
こちらは温泉街の遊びの代表格である「輪投げ」。別府八湯にちなんだオリジナルのデザインで、30秒間で全ての輪の達成を目指します。簡単そうに見えて、これが意外と難しく、昔懐かしい遊びに夢中になること間違いなし。友人や家族、パートナーと訪れる際には、競い合ってみても楽しいですよ!
Photo by Kento Sato
小腹がすいてきたら、「地獄ラーメン」で夜食を頂くこともできます。湯けむり漂う屋台では、セルフサービスでラーメンを茹でて一丁上がり。夕食後の時間にラーメンなんて罪悪感を感じつつも、これがまた美味しいんですよね。
「地獄ラーメン」という文字通り、激辛ソースのトッピングができるので、辛いものが得意な方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。