ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。

国内5例目となる世界自然遺産への登録が決定した、今注目の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」。

奄美大島は奄美群島のうちのひとつで、奄美群島は、北の大島本島や南の加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)、与路島(よろしま)などから構成されているのをご存じですか?

実はこの加計呂麻島がまた絶景の宝庫なのです。そして、この島ならではのゆるやかでおだやかに流れる島時間も、ぜひ多くの方に味わっていただきたいものです。今回は、奄美大島の中でも、加計呂麻島にクローズアップして見どころをご紹介します。

加計呂麻島とは

Photo by Mayumi Kawai
奄美大島から大島海峡を渡った先に浮かぶのが加計呂麻島(かけろまじま)です。島全体が山岳に覆われ、人口1000人ほどの小さな島には、リアス式海岸の入り組んだ入り江と白い砂浜、そして“加計呂麻ブルー”といわれるまばゆいマリンブルーの海が存在します。

離島の離島というと、うんと遠く離れたイメージですが、大島本島の古仁屋港(こにやこう)からフェリーで片道20分ほどの距離。実は、気軽に日帰りできてしまう隠れ家的ビーチリゾートなんですよ。

では、加計呂麻島ならではのとっておきの魅力を紹介していきますね。

絶景展望台!花富峠のタカテルポイント

Photo by Mayumi Kawai
まずは、絶景展望台として知る人ぞ知る花富(けどみ)峠、通称「タカテルポイント」。加計呂麻島南部、花富(けどみ)集落と西阿室(にしあむろ)集落をつなぐ峠の途中、視界がひらけたその先に、見晴らしの良い絶景ポイントが広がります。

Photo by Mayumi Kawai
白い砂浜と加計呂麻ブルーが織りなすシークレットビーチのような入り江。視界右手には「須子茂離れ(すこもばなれ)」という無人島も一望できます。

丸太一本の素朴なベンチの展望台から望む風景は、下から吹き上げる潮風にあおられ、どこか怖ろしいぐらいです。ここは夕日の名所としても知られています。

タカテルポイントへの峠道は非常に狭いので、レンタカーやバイクで運転の際は十分気をつけましょう。

■ 詳細情報
・名称:花富峠(タカテルポイント)
・住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町花富
・地図:
・アクセス:瀬相港より車で25分

まるで森の主。武名と於斉の巨大ガジュマル

Photo by Mayumi Kawai
奄美や沖縄をはじめ、亜熱帯地域でよく見られる樹木といえば、ガジュマルの木。別名「締め殺しの木」といわれるこの木は、大地にどっしり根を張り、幹や枝から無数に気根を垂らし絡みつく姿が異様な迫力と生命力を放つふしぎな木ですよね。

加計呂麻島を代表する2つの巨大ガジュマルのうち、一つがこの「武名(たけな)のガジュマル」。樹高約20メートル、幹周り約12メートルの巨木で、武名の集落から歩いてすぐの森の中に静かにたたずんでいます。

このただならぬ森の主のような貫禄……思わずひれ伏しそうになります。なお、森にはハブがいるかもしれないので足元にはくれぐれも気を付けて。

■ 詳細情報
・名称:武名のガジュマル
・住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町武名
・地図:
・アクセス:瀬相港から車で約15分

Photo by Mayumi Kawai
2つ目は、於斉(おさい)集落にある「於斉のガジュマル」。樹高約30メートル、幹周り約10メートルで、目の前にはビーチが広がり、ハイビスカスの花とともに島らしい雰囲気が味わえるスポットです。ちなみに、足元には墓守ならぬ猫守りがたたずんでいましたよ。

ここは寅さん映画『男はつらいよ』の第48作「寅次郎紅の花」編のロケ地でもあり、その記念碑も建てられています。

■ 詳細情報
・名称:於斉のガジュマル
・住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町於斉
・地図:
・アクセス:瀬相港から車で約6分

加計呂麻自慢の「実久ブルー」広がる実久ビーチ

Photo by (一社)奄美群島観光物産協会
「加計呂麻ブルー」の中でも、加計呂麻一美しいと誉れ高い、目の醒めるようなまばゆいブルーを称えるのが、実久(さねく)ビーチ。地元の方は「実久ブルー」として親しんでいます。

島最西端に位置し、港からもやや離れていることもあって、ビーチは実に穏やかでゆるやかな島時間が流れています。

Photo by Mayumi Kawai
ビーチの目の前にはテラスが設置され、ランチを食べながらのんびり海を眺めたり、まったり過ごしたりすることも可能。近くにはキャンプ場もあるため、海水浴にバーベキュー、夜は満天の星空キャンプと楽しい夏時間が過ごせます。

■ 詳細情報
・名称:実久ビーチ
・住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町実久
・地図:
・アクセス:瀬相港から車で約30分

「島唄」にも登場する、デイゴの花の並木道

Photo by PIXTA
「デイゴの花が咲き 風を呼び 嵐が来た」の歌い出しで知られるTHE BOOMの『島唄』。歌詞に登場するデイゴの花は沖縄の県花であり、春先から初夏に鮮やかな赤い花を咲かせる南国の植物です。

加計呂麻島の諸屯(しょどん)集落にはこのデイゴ並木があり、例年5月末頃見頃を迎えます。とはいえ、デイゴの花は毎年満開になるわけではなく、年によって花の咲く量はまちまち。『島唄』にもあるように、デイゴの花が見事に咲けば咲くほど「嵐が来る年」「台風の当たり年」として天災に見舞われるという古い言い伝えが残されています。

花がなくても巨木が立ち並ぶこの並木道は見ごたえがあり、人気の観光スポット。また、映画『男はつらいよ~寅次郎紅の花』で使われたリリーの家も残されています。

■ 詳細情報
・名称:諸屯デイゴ並木
・住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町諸鈍
・地図:
・アクセス:瀬相港から車で約40分、生間港から車で約10分

【番外編】24時間365日子どもたちを見守り続ける「伊子茂マモル君」

Photo by Mayumi Kawai
これはちょっとクスリと笑えるB級スポット番外編。

加計呂麻島中央部、伊子茂(いこも)湾に面して立つ伊子茂小学校正門前には、雨ニモマケズ風ニモマケズの不屈の精神で24時間365日子どもたちを交通安全から見守り続けるポリス人形が立っています。その名も、通称「伊子茂マモル君」。

昭和40年代頃に瀬戸内町内の5ヶ所に設置された交通安全のポリス人形のうち現存するひとつで、平成16年に地元有志によってお色直しされたそうです。

この堅実かつシュールな姿が今や人気の観光スポットのひとつに。そういえば、宮古島にも「宮古島まもる君」っていましたよね?もしかして兄弟でしょうか……。

■ 詳細情報
・名称:伊子茂マモル君
・住所:〒894-2236 鹿児島県大島郡瀬戸内町伊子茂 伊子茂小学校前
・地図:
・アクセス:瀬相港から約10分、生間港から約30分 

ゆるやかな島時間と絶景を味わいたいなら加計呂麻島へ

Photo by Mayumi Kawai
奄美大島本島は、奄美群島の本拠地だけあって町や観光拠点としての機能も充実し、意外なほど人出が多くにぎやかな印象。一方、加計呂麻島はまだまだ素朴で穴場感があり、密にならずにゆったりとした島時間が過ごせる貴重なスポットです。

世界遺産に登録され、ますます世界から注目される奄美地方。奄美大島を訪れて、絶景の中、ゆるやかな島時間を過ごしたら、ぜひ加計呂麻島まで足を伸ばしてみてくださいね。

ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

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